料理研究家のホルトハウス房子さんによって、1976年に刊行された『カレーの秘伝』が、 『ホルトハウス房子の世界でいちばんおいしいカレー』(PHPエディターズ・グループ)として刊行されました。
世界でいちばんおいしいカレーを作ってみたい、食べてみたい。そんな気持ちで、前回の記事では、レシピの実践と研究を進めました。後編では、2日かけた「ビーフを使ったリッチなカレー」のレシピを紹介します。
・カレーソース…2カップ
・牛ランプ肉…500g
・ラード…大サジ2杯
・カレー粉…大サジ1杯
・スープストック…適量
・プレーンヨーグルト…小サジ1杯
・ゲランド塩…適量
・黒コショー…適量
・カルダモン…3粒
・シナモン(粉末)…小サジ1/4杯
・クローブ(粉末)…小サジ1/4杯
・ナツメグ(粉末)…小さじ1/4杯
*カルダモンを割ってカラを取り、すり鉢で砕きます。そこにシナモン、クローブ、ナツメグを加えて混ぜておきます。
料理を始めます。牛ランプ肉は、脂を切り落とし、10コに切り分けます。3センチから5センチ角が目安です。肉をバットに入れて、塩、黒コショーを振りかけ、手を使ってしっかりまぶし、カレー粉適量を同様にまぶします。
厚手の鍋を火にかけ、ラードを大サジ2杯溶かし、肉を焼きます。中火くらいがよいでしょう。焦がさないように表面のみを焼きます。すべて焼けましたら、バットに戻します。
鍋の内側をキッチンペーパーでよく拭いておきます。そこに肉を入れ、スープストックを肉全体が軽くかぶるくらい加え、フタをして弱火で1時間煮込みます。
煮込みながら、アクと脂をていねいに取り、カレーソースを2カップ加えて、弱火でさらに30分煮込みます。様子を見ながら火加減は調整します。
味見をしてみましょう。味が薄く感じたら、カレー粉を大サジ1杯加え、よくかき混ぜます。そこへ上澄みを除いたプレーンヨーグルトを加え、さらに10分ほど煮立て、食べる直前に用意しておいたガラムマサラを加えます。最後にもう一度味見をし、お好みでゲランド塩を加えます。プレーンヨーグルトは完全に溶けません。固まりが多少残っても大丈夫です。
ビーフを使ったリッチなカレーが完成しました。とてもいいスパイスの香りが立ち込めています。
いわゆるカレーライスというよりも、極上のビーフと、たっぷりの野菜を煮込んだカレーソースをいただく一皿です。
世界でいちばんおいしいカレーをこしらえるにあたって、材料を選ぶ、切る、煮る、まぶす、焼く、待つ、炒める、漉す、味つけなど、料理の基本のノウハウが詰まっていました。そしてその都度、感動と気づきがありました。まさに自分自身へのごほうびとも言える料理でした。
*スープストックはカレーだけでなく、シチューやスープにも。ラードは炒めものに。カレーソースは、様々なカレーにお使いになれます。
参考文献:『カレーの秘伝』ホルトハウス房子/著(光文社)/『ホルトハウス房子の世界でいちばんおいしいカレー』(PHPエディターズ・グループ)/『暮しの手帖別冊自家製レシピ春夏編』(暮しの手帖社)
文:松浦弥太郎 写真:片山育美
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