秋の味覚の一つであるキノコ。キノコの美味しさのポイントは、その旨味にあります。でも実は、生のキノコには旨味成分がほとんどありません。
こちらは、とあるキノコの味覚データ。旨味をはじめ全体的に味が弱いことがわかります。
一体どうしたら、旨味が出てくるのでしょうか?今日は、キノコの旨味アップ法について検証してみましょう!
キノコの旨味が出てくるのは、ずばりキノコの細胞が死んだ時です。キノコの細胞が死ぬと、細胞の中にあるRNAと呼ばれる物質やタンパク質の分解がはじまり、旨味物質である「グアニル酸」「アスパラギン酸」「グルタミン酸」などが作られるようになります。細胞が死ぬのは、キノコに火を通した時や、冷凍した時です。
これより、次のことが考えられます。
冷凍してからキノコを火に通せば、もっと細胞が死んで旨味がアップするのではないか!?
旨味の強さの測定といえば、味覚センサー「レオ」の出番です。
食べ物の味を数値化できるこのセンサーに、調べてもらいましょう!
こちらは、冷凍してから茹でたキノコと、冷凍せずに茹でたキノコの旨味のデータです。
生のキノコに比べて冷凍せず茹でたキノコでは旨味が35%アップし、さらに冷凍せず茹でたキノコに比べて、冷凍して茹でたキノコは10%も旨味がアップしていました!仮説通り、冷凍してから火を通すことで、たしかに旨味がアップすることが確認できました。
ちなみに、干すことでもキノコの細胞は死にます。今回は天候が悪く干すことを試せませんでしたが、干して冷凍して茹でればもっと旨味がアップするかもしれませんね!
天候に関わらず、冷凍するのは冷凍庫に入れる一瞬の作業で終わります。あなたも、この秋キノコを食べるときは、ぜひ冷凍してから使ってみてくださいね♪
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。