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コラム

「ノー買い物デー」を始めよう♪家庭でできる飢餓&フードロス対策

飢餓にあえぐ発展途上国が存在する一方で、「フードロス」が深刻な社会問題となっています。本来は食べられるはずの食品が廃棄されるフードロスを減らすために、私たちが家庭でできることとは? フードロス問題解決に向けてさまざまな活動を行っているHAL YAMASHITA東京のオーナーシェフ・山下春幸さんに伺いました。

日本で「飢餓」を考える難しさ

そもそも「フードロスって何?」という方もきっと多いですよね。フードロスとは、その言葉の通り「食料(フード)がなくなったり、捨てられてしまう(ロス)」ことですが、あまり耳馴染みがない上に、私たちは具体的に何をすればいいのかわからない…という人がほとんどだと思います。

世界では「飢餓」や「貧困」が問題になっていますが、日本人の大半が「飢餓」には縁遠い状況でしょう。多くの人が「いかに痩せるか」ということを考えている日本では、「飢餓」や「フードロスの問題」への意識を高めましょう!と言っても、なかなか実感が湧かないのが現実です。

でも、実はそんなに難しい話ではないんですよ。

ボランティア団体にお金をたくさん寄付したり、大きなことをしなくても、私たちの生活の中で1%でもいい、もっと言えば0.5%でもいいからほんの少し意識を向けるだけで、フードロスの問題は解決に一歩近付けるんです。

日々の暮らしの中で、ほんの一瞬でも「この地球上のどこかで今も飢餓にあえいでいる人がいる」と頭の中に過るようになるだけで、少しずつ自分の行動は変わっていくものです。何も大げさに「こんな活動をする!」などと宣言する必要はありません。ただ、思いを馳せること。それを忘れないことが、まずは重要な一歩だと思います。

きっかけは「阪神淡路大震災」だった

かく言う僕だって、昔からこうした意識を持って生きていたわけではありません。寄付だってしたことなどなかった(笑)。

飢餓問題に取り組む食料支援機関である国連WFP(国連世界食糧計画)の活動に参加するようになったのは10年前。そもそも、“食”で何か人の役に立つことがしたいと思うようになったきっかけは、「阪神・淡路大震災」での被災経験にあります。

ある日突然、ライフラインが絶たれ、お風呂も入れない、1リットルの水を5人くらいで分けなければいけない、という生活を余儀なくされました。全国各地から救援物資が届いたのですが、その時にもらった「うなぎの蒲焼きの味」が忘れられなくて。冷たくて硬いけど、その状況下ではとても美味しく感じたんですよ。

それで、「いつか自分もこんなふうに誰かの力になることをしたい」と思い、六本木にお店を開く時に、1年に1度だけチャリティーイベントを開催する営業日を設けることを決めました。その日の収益金を国連WFPに寄付することにしたのが、僕なりの“ボランティア活動”の始まりです。人の思いは優しさにつながる。そのことを多くの人に知ってほしいーーそんな気持ちで、年に1度のイベントは盛大に盛り上げることにしています(笑)。

「もったいない」はケチなのか?

日本には「もったいない」というすばらしい言葉があります。電気のつけっぱなしはもったいない。食べ物を残してはもったいない。その意識はとても大切なんです。

けれど、今の日本人は「もったいない」と聞くと、「ケチ、せこい」というイメージを抱いてしまうところがありますよね。でも、本来の「もったいない」の概念は「ものごとを大切にする」ということなんです。

例えば、スーパーに並んでいる「見切り品」。皆さんは、近所の人に見切り品を買う姿を見られると、ちょっと恥ずかしい気持ちがしませんか? 値引き品を買ってると、ケチな人とか貧しい人と思われやしないか、と。

きっと、「見切り品」という名前がいけないのでしょうね。北欧では、値引き品には“しろくまマーク”を付けているのだそうです。その商品を買うことで環境破壊を救い、しろくまの保護につながる、というのを明確に分かりやすく伝えてくれている。かわいいし、何だかオシャレですよね。

「見切り品を買う」=「人のためになること、環境に良いことをしている」=「カッコいいことをしている」という文化が日本にもあれば、皆もっと進んで見切り品を手に取るでしょう。そうした新たな価値観の提案が、日本でももっと進んでいけばいいなと考えています。

「ノー買い物デー」が世界を救う!?

私たちが普段の生活の中で楽しんで取り組めること増やしていけるといいですよね。例えば「サルベージ・パーティ」。家庭で使い切れていない食材を持ち寄って料理をするパーティが最近注目されていますが、とてもすてきなことだと思うんですよ。

10月1日から国連WFPが実施しているキャンペーン「Zero Hunger Challenge」で、僕が考案した「滋味 野菜の簡単和風コンソメ」のレシピもまさにその発想。

このスープは、野菜の皮や軸でとった出汁を使ったものなんです。具体的な食材は決めずに、冷蔵庫の余り物で作ります。野菜と魚や肉のタンパク質類は、食材は指定せずに総量として何グラム必要かだけを設定し、調味料のみ決めてあるレシピです。どんな食材を使ってもOK。わざわざ買い物に行かなくても、家にあるもので一品作ることができるレシピなんです。

皆さんも、例えば週に1日、家にある食材だけを使って料理する「ノー買い物デー」を作ってみてはどうでしょうか? 缶詰でもいい、余った野菜でもいい。ものをムダにせず、あるものを使い切る、そんな1日が飢餓の解決につながっていく。これはサボりでは決してないんですよ(笑)。人や環境のためになる、とてもカッコ良くて楽しい1日の過ごし方なんです。

皆さんがクックパッドでレシピを探す時、野菜の皮まで使うことや、見切り品の食材で料理を作ることを、「カッコいいライフスタイルだ」と考えて楽しみながら取り組んでくれるようになったら、こんなにうれしいことはないですね。

世界食料デーキャンペーン2018「Zero Hunger Challenge ~食品ロス×飢餓ゼロ~」

国連WFP協会は2018年10月1日〜31日の1カ月間、世界食料デーキャンペーン2018「Zero Hunger Challenge ~食品ロス×飢餓ゼロ~」を実施します。 食品ロスに配慮したレシピを作って、SNSに「#ゼロハンガーレシピ」と「#wfp」を付けて投稿すると、国連WFPの途上国での食料支援に100円が寄付されます。
>>詳しくはこちら

山下さんが考案したゼロハンガーレシピは、国連WFP協会のキッチンで公開中です。

山下春幸さん

HAL YAMASHITA東京 エグゼクティブオーナー兼エグゼクティブシェフ。1969年、兵庫県神戸市生まれ。大阪藝術大学藝術学部卒業。国連WFP協会顧問。
料理の見聞や技術、国境のない感覚を養うため世界各国で修業を積み、 素材の持ち味を最大に引き出す「新和食」を確立。そのパイオニアとして国内外にて活動中。その範囲はテレビ・雑誌等、各メディア、ホテルと幅広い。 2010年にシンガポール、2012年にアラブ首長国連邦にて、世界グルメサミットに2大会連続して日本代表として出場。2010年にはその年の最も優れたシェフとして称された。

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