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コラム

子どもと一緒に簡単「スコーン」作り!親が掛けてあげたい一言は?【今日から始める親子クッキング vol.6】

子育て世代にとっては、やはり気になる「食育」。でも、何から始めればよいかわからない、という方も多いのでは? この連載では、子ども料理研究家・武田昌美さんに、子どもと一緒に料理を楽しむ方法と、料理を通して子どもが得られる成長について、わかりやすく解説してもらいます。日々の料理を親子のコミュニケーションの場に変えてくれる魔法のアドバイスをどうぞ♪

子どもへの“要求”はいつの間にか増えていく!

桜が満開になり、すっかり暖かくなりました。もうすぐ入園式。袖を折って、身体より大きい制服を着た初々しい子どもたちの姿を見ると、希望がいっぱい詰まったその真新しい鞄の後ろ姿に愛おしさを感じます。

4月は子どもにとっても何かと新しいことでいっぱいです。入園・入学式、進級、クラス替え、新しい先生、新しい勉強。みんな緊張の面持ちで過ごすことでしょう。

我が家の娘もあっという間に年長さん。入園式で大泣きし、毎日泣きながら幼稚園に行っていたのがまるで昨日のように思い出されます。当時は、とにかく「泣かないで幼稚園に行けるようになってほしい」、ただそればかり願う日々でした。そんな心配をよそにすっかり幼稚園が大好きになった娘は、朝、園の門まで送り届けた後は、母の姿なんて振り返ることもなく、一目散に教室に駆け抜けていくようになりました。

そうなると不思議と別の悩みが出てきます。「もう年長さんか、お友達は鉄棒ができるようになったって聞いたな。うちも練習させないと」、「6歳になるまでには、カタカナを書けるようにならないといけない」など、書き出したらキリがないほど出てきます。

でもこれってなんかおかしい。初めは泣かないで幼稚園に行ってほしい、ただそれだけの願いだったのに、いつの間にかどんどんハードルが上がっていく。しかも、その基準がお友達や一般論をもとにできている。お友達ができるからうちの子もできるようにならなきゃ……生まれた時は、とにかく無事でいてくれたら、それだけで良かったはずなのに。

大きくなるにつれて、周りの子どもと比較しては「これをもっと頑張って」「6歳までにこれができないとダメ」と、どんどん欲が出てきてしまい、あれもこれも要求していってしまいます。

敏感な子どもは、きっとすぐに親のその思いに気づくでしょう。お友達が鉄棒できるから、私もできるようにならなきゃ。お友達がひらがな書けるから、私も練習しなきゃ。……誰かを基準にした頑張り方、それって子どもにとって良いのでしょうか?

「私は私。これでいい」と認める強さ

もちろん、人間社会において協調性や共感する心は大切です。ライバル心だって成長の糧になります。

でも、「私は私。これでいい」と自分で自分の考えを認めて、それを貫く強さも兼ね備えてほしい。親も同様です。「この子はこの子の物差しの世界を生きている」ことをしっかりと認識することが大切。親も子どもも、“人と比べない強い心”を養っていきたいと思っています。

さて、この漠然とした話を子どもにどうやって理解してもらいましょう? 楽しく学ぶには、スコーン作りが最適です。

料理教室でスコーン作りをすると、子どもたちは最初、「スコーン? 何それ?」と不思議顔です。固定観念ゼロの状態からスタート。「生地を伸ばしてスケッパーで切ってごらん」と言うと、大人が想像もしないスコーンが出来上がります。

とにかく、普通の四角のスコーンがほとんどない!(笑) 長ほそ〜いスコーンにハート型のスコーン、ドーナツ型のスコーン……子どもには、「スコーンとはこういうもの」という解がありません。一人一人、頭の中で目指している形が違うのです。

でも、ゴールは皆一様に「スコーン」。焼き上がったスコーンは、みんな違うけど、みんな正解です。これが料理の素晴らしいところ。全部が正解なのです。

だから、できた・できないを他人と比較なんてしません。比較する必要がないのです。これは子どもだけではありません。私たち親だって、同じことです。

子どもたちはというと、お互いのスコーンを眺めて「素敵だね!」と言い合う姿が見られます。でも一番多い声は、「先生見て! 私のスコーンはハートなの! 可愛いでしょ?」。このスコーンレッスンの最大のポイントは、「自分の作ったものが一番センス良い!」と子どもたち自身がそれぞれ思っているところ。お友達のも良いね。でも私のは世界で一番! この揺るぎない自信を子どもに与えたい。そう願っています。

バター不使用のサクサク「スコーン」

さて、実際のスコーンのレシピはこちら。驚くほど簡単で美味しいので、ママたちにも大人気のレシピなんです。

このレシピは、バターを使用しなくてもサクサクのスコーンを作るために、豆乳とお酢と油を使用しています。バターだと、子どもがたくさんこねるとサクサク感がなくなってしまうので使っていません。

豆乳・お酢・油の3つをを混ぜると、豆乳が乳化剤の役割をしてマヨネーズ状になるため、バターの代替品として使いやすいのです。なので、豆乳を使うことがポイント! しかし、豆乳が家にない場合は、多少サクサク感は減ってしまいますが、牛乳でも作れるので大丈夫です。とっても手軽に作れるので、ぜひお試しを♪

そして一緒に作る時は、とにかく子どもの意思を尊重してあげましょう。どんなスコーンになっても正解なのです。見栄えより、作っている工程が大事。子どもの奇抜な発想を楽しみながら、「それ良いね! ママには思いつかなかった素敵なスコーン!」とたくさん褒めてあげてくださいね。これこそが、お子さんと一緒に料理を楽しみながら学びを深める「EduCooking(Education×Cooking)」です。

ぜひ親子で、お友達同士で、ご兄弟で、一緒に作ってみてください。

武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2歳児から始められる料理教室を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。
【HP】https://little-chef-cooking.com/
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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