塾弁リクエストは「スープ」!週3回のスープ作りがくれた意外な楽しみ【おいしい思い出 vol.10】

塾弁リクエストは「スープ」!週3回のスープ作りがくれた意外な楽しみ【おいしい思い出 vol.10】

クックパッド初代編集長であり、自他共に認める料理好き・小竹貴子のエッセイ連載。誰にでもある小さな料理の思い出たちを紹介していきます。日常の何でもないひとコマが、いつか忘れられない記憶となる。毎日の料理が楽しくなる、ほっこりエピソードをどうぞ♪

「お弁当よりも、野菜スープがいい」

半分残ったピーマン、1個だけのしいたけ、いつ買ったのか忘れてしまった少ししなびたごぼう、冷蔵庫の野菜室を開けると、出てくる出てくるちょっと干からびた小さな野菜たち。これは我が家の野菜室のお話です。

自分で多くの人に「料理好き」と言っておきながら、調理の段取りや切ったり焼いたりの作業は得意だけど、実は食材を上手に使いこなすのがとてもとても苦手なのです。

スーパーから買ってきたばかりのキラキラした新しい食材につい目を向けてしまい、野菜室にある古い野菜を見て見ぬふりをして他の食材を手に取ってしまう。それが何日か続いて結局腐らせることになり、「もったいないことしたな、ごめんなさい!」と言いながら生ゴミとして捨てることも少なくはありません。……いや、ありませんでした。

はい、そう過去形で言えるようになったのは、何も特別なことがあったわけではなく、娘に頼まれて野菜スープを週に3日作るようになったからです(パチパチ)。

10歳になる長女が学習塾に通い始めて、間もなく1年が経ちます。週に3日、17時から21時までの4時間の授業の間(今どきの子どもは大変ですね、本当に)、途中20分の休憩時間があります。そこが彼女の晩ごはんタイム。

最初は気合を入れたお弁当を作って持たせていたのですが、「たくさん食べると眠くなるから、お弁当よりもおにぎり1個かパンと、野菜スープがいい」とリクエストされて、スープを作るようになりました。それがきっかけです。

スープ作りはとても楽しい

私のスープの作り方はとても簡単で、素材を食べやすい大きさに切って、お好みのスープでことこと煮るだけ。クックパッドでレシピもたまに見ますが、基本、私の創作料理です。

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少し丁寧に、スープ作りを1日の流れで説明すると、朝起きたらまず冷蔵庫の野菜室をチェックし、使えそうな食材を調理台にずらりと並べます。その日の気分で小さく切ってみたり、ごろごろとした食感を楽しめるように大きめに切ってみたり、大きさをそろえてみたり、バラバラにしてみたり、包丁を使わずスライサーを使ったりしています。

そして次はスープです。前日にボウルに浸しておいた煮干しや昆布を使うことも多いですが、そればかりだと飽きてしまうので、市販のコンソメキューブや中華だしを使うことも。おいしいだしが出るツナ缶や鶏肉、ベーコンを入れるときは、だしはあまり使いません。

スープには豆乳を加えたり、おいしいトマトジュースを使ったりします。記事の一番上の写真のスープには豆乳が入っています。

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アクセントとして、仕上げにクミンを入れたり、味噌を少し加えたりもします。スープに添えるおにぎりの代わりに、茹でて少しオイルを絡ませたショートパスタを添えて、一緒に食べてもらうこともあります。

……と、書き始めると止まらないのですが、食材、調理の組み合わせがほんと無限大で、作り手としてとても楽しくてしょうがありません。

何より良いのは、どんな組み合わせでもほぼ失敗がないこと。「今日もおいしかったよー」と、娘から空っぽのスープジャーを渡されたときには嬉しい気持ちになります。

夏場は、冷や汁やビシソワーズなどの冷たいスープにもチャレンジします。自由に絵を描いているような気分。

できあがったスープを、娘は学校から帰ってくると、鍋を自分で温めてスープジャーに入れて持って塾に向かいます。だから温かいままでいただけます。

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そうして始まった週3日のスープ生活も長く続けていると楽しくなってきて、それ以外の日にも朝ごはんに具だくさん味噌汁を作ったり、最近はスープづいていたりします。

もちろん、おかげで「ごめんね」と言ってポイしてしまう野菜は格段に減りました。ゴミが減った話を娘にすると、「スープを提案したのは私だから、お母さんよかったね」とちょっと得意そうです。

ケの日の料理を楽しくするコツ

每日の普段のごはんづくりは、正直言うと、とても地味な行為です。そして、終わりもなく続いていきます。つまりハレとケでいうとケ。テーブルに着いて、お気に入りのレストランでその日の気分に合わせてメニューを選ぶような、ワクワクした気持ちだけでお料理づくりはできないのが現状かなと思います。

テーブルでお友達と座ってるだけでお料理が出てくるのとは違い、今週の食費はいくらで作らないとなとか、家に帰ったら30分でごはん作らなきゃというお料理にかけられる時間の制限(仕事帰りだとめちゃくちゃ短い)、そして元気いっぱいでいてもらいたいから家族の健康にも配慮したり。とにかく、いろいろなことを考えなければいけなくて、お料理をつくる前の頭は高速フル回転状態です。

私の場合でいうと、朝目覚めてベットの中で「さぁ、朝ごはんと塾のスープどうしよう」と、ぐるぐるぐるぐる10分くらい頭をフル回転させて考えるのが日課です。そして寝ぼけ眼でお料理して、その段取りがうまくいったときは、ガッツポーズ。正直言うとそれはまれで、なかなか全部完璧は難しく、私はいつも食材の使いこなしというところがポーンと抜けてしまうことが多いです。

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毎日続く地味な作業だからこそ、何か自らを駆り立てるきっかけや要素を持つことはとっても大切。今回はスープ作りというお題と出会ってお料理ゲームを楽しんでいますが、いつまでこのテンションが続くかはドキドキです。なんせ私は、あらゆることで凝り性の飽き性。でもスープブームが終わったら、また次のブームを探そうとは思います。

さ、今日も娘のスープ作りに励もうと思います。早起きできるかなぁ。


小竹貴子

Dffec93b2e01878fbff1a0f0a86003e4 クックパッド株式会社ブランディング・編集部担当本部長。1972年、石川県金沢市生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオを経て、2004年に有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。編集部門長を経て執行役に就任し、2009年に『日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010』を受賞。2012年、同社退社。2016年4月から再びクックパッド株式会社に復帰。現在、日経ビジネスオンラインにて『おいしい未来はここにある~突撃!食卓イノベーション』連載中。また、フードエディターとして個人でも活動を行っている。

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