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コラム

被災後の心理的ストレス軽減に効果あり!覚えておきたい非常時の簡単スイーツレシピ【在宅避難時に役立つ防災レシピ特集 第5回】

地震や台風・豪雨など、自然災害はいつ自分の身に降りかかるかわかりません。大規模災害に見舞われた場合、日常生活を取り戻すまでには時間がかかるケースも想定されます。被災直後の緊急避難を経て、「在宅避難」へと移行することも少なくないでしょう。在宅避難経験のあるクックパッドユーザー1191名へのアンケート調査結果から、イザという時に役立つ「食の備え」とは何かを読み解いていきます。

食の確保以外の困りごと

本特集では、在宅避難経験者1191名へのアンケート結果をもとに、これまで4回にわたって在宅避難時に本当に役立つ「食の備え」についてご紹介してきました。最終回となる今回は、「食の確保以外の困りごと」に着目します。

アンケート回答の中のフリーコメントでは、「食の確保以外の困りごと」として、ライフラインの不具合から生じる暑さ・寒さ対策携帯電話の充電確保トイレ・お風呂問題などが圧倒的多数を占めていました。

そしてもう一つ、数多く意見が挙がっていたのが、以下のような「不安・ストレス」の問題でした。

在宅避難時の不安・ストレス経験談

  • 「不安が強かった。いつどうなるかわからず、精神的に疲弊した」
  • 皆がピリピリしてる感じで、ストレスが急激にたまって辛かった」
  • 「ガスを使うのも、お風呂に入るのも怖くなり、家族みんなで同じ部屋で過ごした」
  • 「外に出られず、やること・できることがなく、1日災害ニュースを見て暮らす日々がストレスでした」
  • 「電気がなく、テレビもDVDもゲームもできず、夜も早く寝るしかなかったので、子どものストレス発散に苦労した」
  • 「子ども向けのTV番組はもちろん、娯楽も音楽も自粛されて、延々映像ニュースばかりで気が滅入った」
  • 「情報を得るために電気がつながっているときはTVを付けっぱなしにしていたが、身体に感じない程度の余震でも、驚くほどけたたましい音で地震速報が流れ、その都度幼い娘が怖がって震えてトラウマになってしまったことが一番辛かった」

被災生活のストレスを軽減してくれる「甘いもの」

当然ながら、被災時には大人も子どもも、非日常の生活様式に大きなストレスを抱えることになります。

「ライフラインの不具合」によって生じるさまざまな課題に対しては、水の備蓄用のポリタンクや携帯用トイレ、ラジオ、乾電池などの防災アイテムを備えておくことや、寒い時にゴミ袋や新聞紙を活用して暖を取る方法などの知識を備えておくことで、解決や負担の軽減がある程度図れるでしょう。事前の備えによって、ストレスを最小限に抑えられる可能性が高いと言えます。

そして、ストレスの中でも、被災生活中の「心理的な不安」を解消する手段の一つとしては、「食」が有効であることがアンケート回答から見えてきました。

アンケート回答者の多くが、在宅避難当時の状況を振り返り、今改めて備えておくべきものとして「甘いもの」を挙げています。その理由は、気持ちを落ち着かせてくれる効果があるから。

下記は、「ご経験したからこそ言える、在宅避難時の食の確保のための備えとして一番大切なことは何だと思いますか?」という問いに対してのフリーコメント回答の一部です。

食の備えで一番大切なことは?

  • 「常温で日持ちがするもので、調理が不要なもの。そして美味しいこと。『食べる』ということがとても大切なことだと改めて感じました。お菓子も必要だと思いました。子どもも自分たちも1日の楽しみに毎日1個だけチョコレートを食べました。その1つで、みんな笑顔になり、心が豊かになりました」
  • 「食べ慣れた物や好きなお菓子を、わずかな喜びと日常を味わうために置いておくのが大切だと思います。 寒い時は特に、温かい物を食べることが心も身体も満たしてくれるので、電気とガスどちらかが使える時用に調理器具をそろえておくことも大切だと思います」
  • 「災害時でもできるだけ栄養が偏らないよう、普段通りの食生活をするために、魚の缶詰はストックしておくと良いと思う。 また、ふりかけなどすぐに食べれるものや、子どもが小さかったので、お菓子など気分がまぎれるものも大事だと思う」
  • 「お菓子などの子ども達のおやつは、不安な気持ちを落ち着かせると思うので、非常食と一緒に準備しておいた方が良い」
  • 「甘い物とパン。甘い物を食べると心が落ち着く。ご飯ものが多かったので、パンが食べたくなる」

被災時にもできる簡単スイーツレシピ

「食の備え」を考える時、生命維持のための栄養補給という側面だけでなく、心理的ケアの役割を担う食材も非常に重要であることがわかります。

特に、在宅避難生活の中で「甘いものが欲しい」と思ったけれどストックがなく食べられなかったというご経験をした方は、菓子類も備えておくべきという思いを強くされていました。

市販のお菓子のほか、被災時でもできる簡単な手作りスイーツレシピを覚えておくと、ストックが残り少なくなった時などに役立ちます。

また、被災時にはなかなか手に入りにくい「菓子パン」が無性に食べたくなったというご経験談も多く寄せられています。そんな時、ストックしてあった小麦粉やホットケーキミックスを活用して甘いパンを作ったという方も多くいらっしゃいました。

乾パンのアレンジレシピ

ホットケーキミックスを活用



自然災害にいつ見舞われるか。それは誰にもわかりません。しかし、「災害大国」と言われる日本に住む以上、すべての人が“いつか来るその時”に備えておく必要があるでしょう。

アンケート回答のフリーコメントに、「鍋でごはんを炊いたら、鍋炊きを初めて見た子どもが楽しんでいた」という体験談がありました。食べること、料理をすることは、非常時に人の心を癒やし、前を向いて日常を取り戻すための大きな原動力となります。

いかにたくさんの食材を備蓄しておくかよりも、いかに限られた食材と調理環境の中で料理ができるか。そのスキルを身に付けておくことこそが、最も重要な「食の備え」と言えるのではないでしょうか。

(TEXT:福井千尋)

【アンケート調査概要】

調査テーマ:「被災時の料理に関するアンケート」
調査方法:インターネット調査(クックパッドのメールマガジン)
調査地域:全国
調査対象:クックパッドのユーザー2777名(うち在宅避難経験者1191名)
調査実施時期:2019年3月29日(金)〜4月1日(月)

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