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クックパッドが実施した「消費税率引き上げによる食卓への影響」アンケートでは、食費節約術として『冷凍保存』と回答した方が多数でした。冷凍保存と組み合わせて検索されるキーワードでは、これまで不動の一位だったお弁当を抜き、『下味冷凍』が一位になっています。この連載では各回でプロの方々においしい下味冷凍の仕方や、具体的な活用法を教えていただきます。第三回は、管理栄養士の永吉峰子さんに、冷凍保存に関する基本ルールや気をつけるべきポイントなどを教えていただきました!
そもそもどうして冷凍すると食べものは日持ちするのでしょうか? それは冷凍庫の温度に保管することで、食中毒の原因となる細菌やウイルスのほとんどがはたらかなくなるからです。品質の劣化や栄養素を壊してしまう酵素のはたらきも、冷凍することでほぼ抑えることができます。
また、冷凍することで食品中の水分が凍ります。凍った水分は結晶となるため、これが食品の細胞を壊してしまうことがあります。細胞が壊れると旨味が水分が流出することになり、食感が失われたり味が落ちてしまいます。「冷凍するとなんだか味が落ちる」原因はこの結晶にあるのです。
冷凍と解凍を繰り返すと凍った水の結晶がどんどん大きくなってしまいます。すると品質の劣化につながってしまうので、使う分だけすぐに取り出せるよう、小分けにして冷凍することが大切です。
冷凍するときに気をつけなければならないのが乾燥。ただでさえ水分が逃げやすいのに、ここに乾燥が加わると食べものの味が落ちてしまいます。しっかり密閉をして保管するようにしましょう。
ラップは分けたい分だけ包めるというメリットがあります。ただ、包むことになるのでどうしても完全に密閉することができません。そのため、ラップで小分けにして密閉できるジップ付き保存袋などに入れるのがベター。小分けにする必要がないときはそのままジップ付き保存袋でも大丈夫です。必ず冷凍対応しているものを選びましょう。
家庭の冷蔵庫は開け締めをするため、開け締めをするたびに温度の上げ下げがあり、長期保管には向きません。冷凍した食品は1ヶ月を目安に使い切りましょう。
肉や魚はほぼ冷凍することができます。ただ旨味が水分とともに出てしまうと味が落ちてしまうため、下味をつけるのがおすすめ。例えば豚肉は生姜焼き用に味をつけて冷凍する、魚を味噌に漬けてから冷凍するといった具合です。
下味をつけることで、味付けの塩分によって食品の中の水分量が減り、結晶を最小限に抑えることができて旨味の流出を防げます。また調味料によって臭みが抑えられる、下味がついているので時短になるといったメリットもあります。
冷凍するときは小分けして密閉するのはもちろん、なるべく早く凍るように厚さをなるべく薄くして冷凍しましょう。使うときは冷蔵庫で解凍してから使います。
水分が多く生で食べるようなきゅうり、トマト、レタスなどはあまり冷凍に向いていません。水分の流出が多く食感が変わってしまうからです。ただし、凍ったトマトをトマトソースに使うなど加熱をする場合は食感があまりかわらないので、冷凍したものでもおいしく食べられます。
冷凍するときは使いやすいようにカットをしてから冷凍します。まるごと冷凍すると冷凍、解凍に時間がかかり味の劣化につながるので基本的はNG。使う用途によりますが、なるべく食感が悪くなったことがわからないようにするほうがおいしくいただけます。大きめにカットするよりも、薄切りやみじん切りなどのほうがよいでしょう。
またほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどは固めにゆでてから冷凍しておくと、使いやすく、また加熱によって酵素がはたらくなくなり味や栄養の劣化も少ないと言われています。調理をするときは野菜は基本解凍せず、冷凍したままで大丈夫です。
たまごは実はそのまま冷凍することができます。冷凍したたまごを解凍すると、ねっとりとした食感が味わえます。ただし、冷凍することはできても保存目的はNG。冷凍することが殻が割れ、細菌がついてしまうことがあるからです。
加熱をするときは卵焼きや炒り卵、錦糸卵などがおすすめ。密閉して冷凍すればおいしく食べることができます。解凍は冷蔵庫で解凍しましょう。殻を割ったら、2時間以内に食べることをおすすめします。
また注意が必要なのがゆでたまご。白身がパサパサになってしまうのであまりおすすめはできません。
きのこは冷凍にむいている食材のひとつ。冷凍することが旨味成分がアップするとも言われています。冷凍するときはカットをするか、小房に分けてすぐに使えるようにしておきましょう。解凍せず、そのまま炒めものや汁物に使うことができます。
豆腐は冷凍して水分が抜けると固くなります。そのため、煮物や炒めものに使うのであれば冷凍したほうがより型崩れしにくくなりおすすめです。絹ごし豆腐はつるっとした食感が特徴で、冷凍すると食感が失われるので基本冷凍はNG。木綿のほうが冷凍向きですし、水分がもともと少ないので煮物や炒めものにもむいています。また冷奴や温豆腐など豆腐のつるっとした食感を楽しむのであれば、冷凍しないほうがよいでしょう。
冷凍するときはカットをしてから冷凍すると便利。調理の前には冷蔵庫で解凍が必要です。解凍するときは水気がでてくるので、キッチンペーパーでくるむなどし、しっかりと水気を切ってから使いましょう。
冷凍保存の際は乾燥を防ぐ、小分けにするといった基本が大切。また食材ごとに合った冷凍、解凍、調理方法があります。上手な方法で、冷凍でも食材をおいしくいただきましょう。
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