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ラクにおいしく健康に!管理栄養士・吉澤まゆさんに聞いた「毎日の献立作りが苦にならない極意」【プロの日々ごはんVol.9】

今日のごはん、何を作ろう…という悩みは誰しも経験したことがあるはず。おいしくて、作るのがラクで、なおかつ栄養バランスも取れている…そんな三拍子そろった理想の献立を日々実践するのは難しいですよね。料理や栄養に関するコラム執筆や料理教室講師として活動する傍ら、素材を生かしたシンプルなおいしさが評判のお弁当やケータリングの提供も行うGOHAN-MAYUこと、管理栄養士の吉澤まゆさんに毎日の献立に悩まない極意を伺いました。

食べるのが大好きで管理栄養士に

はじめまして、管理栄養士のGOHAN-MAYUこと、吉澤まゆです。
小さい頃から食べることが大好きで、自然と料理に関することを仕事にしたいと思い、大学で管理栄養士の資格を取得しました。

大学を卒業後、福祉関連の施設で高齢者の方向けに献立作りの仕事を始めました。食べることは大好きでしたが、いざ仕事になると、実際の料理スキルが追いついておらず、私の考えた献立をプロの調理師に見せると「これじゃあおいしく作れないよ、食べても物足りない味になるよ」と言われてばかりでした。

机の上で栄養計算した献立では、本当においしいと思ってもらえる食事を提供することはできないということが分かり、自炊の回数を増やしたり、調理師の方にアドバイスをもらったりして料理スキルを高めていきました。

こうして、献立を考え、実際に作るというサイクルを何十回、何百回と繰り返していくうちに、シンプルな味付けで、素材そのもののおいしさを味わえる料理が、作るのもラクで、体にもやさしくて、飽きずにおいしく食べられる、ということが分かったんです。

毎日の料理をラクに!出汁は取らなくてもいい

私は、GOHAN-MAYUという屋号で、まかないのお弁当やカフェなどでケータリングの食事を提供することもしているのですが、その料理の内容は、家で家族に作るごはんとあまり変わらないものをお出ししているんです。シンプルで、素材そのものを味わう素朴なお料理なのですが、それがとても皆さんに喜んでいただけています。

健康に良くて栄養バランスの取れた食事にこだわりすぎて、味気のない食事を我慢して食べ続けるうちにストレスが溜まり、脂のこってりしたラーメンや焼き肉をドカ食いしてしまう、なんていうのは本末転倒ですよね。

だから、私が家で作るごはんは、おいしくて、食べて満足できるもの、それが自然と体にも良いものになるように、と考えています。大切なのは、あくまでもおいしくてココロが満足すること。そしてもう一つ大事なのは、作るのがラクなこと(笑)。

献立を考えて、買い物をして、料理をしたら片付けをして…と、毎日のごはん作りは頭も時間も使い、ただでさえ大変です。料理が仕事の私でも大変だと感じるので。

なので、作るのがラクなことは外せない条件です。例えば、おみそ汁を作るにしても、普段出汁はほとんど取りません。出汁を取らなくても、いろいろな種類の野菜を入れて具だくさんにすれば、それぞれの素材から旨みが出るのでおいしいおみそ汁ができますよ。おかずでも、旨みが出る食材を使えば、出汁を使わなくってもおいしくなります。

そして、調味料はなるべくシンプルに。使う調味料が少なければ少ないほど、失敗しないように思います。

たくさんの調味料を複雑に組み合わせた料理は、レストランなどのプロのシェフにお任せして、毎日の料理はシンプルでおいしいものを。蒸しただけの野菜にお塩を一振りするだけでも、立派な副菜が出来上がりますよ。

バランスの良い献立にするには

◯◯を食べると体に良い、といった健康に関する情報があふれる今の世の中で、管理栄養士が発信する言葉って本当に普通すぎてつまらないと思うのですが(苦笑)、やっぱり体に良いのはバランスの取れた食事に尽きるんです。

では、栄養士の知識がなくてもバランスの良い献立にするにはどうしたらいいのか?と聞かれることがありますが、これもやっぱり当たり前のことではありますが、「主食+主菜+副菜」の組み合わせで考えることが基本です。

でも、毎日1食ごとに一汁三菜の献立を考えて実践するのは、忙しい日々の中で難しいと思いますし、つらくなってきてしまいますよね。なので、1日〜2日の間でトータルでバランスが取れていれば大丈夫

例えば脂っこい焼き肉を夕食に食べたら、次の日は植物性たんぱく質の豆腐を使って、油を使わない調理法にする、といった形でバランスが取れていればいいんです。我が家では、私も夫も、外食では基本的に何を食べても大丈夫、好きなものを食べていいと考えています。その分、家で食べるごはんで調整するようにしています。

家族に栄養バランスの取れた食事をと、毎日、毎食、肩に力を入れていると疲れてしまいます。今回お伝えしたお話で、ただでさえ大変な毎日のごはん作りが少しでもラクになってもらえたら嬉しいです。

(TEXT:入尾野由子)

吉澤まゆさんの新刊著書

からだが温まる とろみのレシピ』(池田書店

やわらかでホッとするやさしさのある「とろみ料理」のレシピ集。素材から出た栄養をまるごと食べられる、カロリーや塩分を抑えられる、喉ごしが良いので不調な時でも食べやすいといった、からだへの効果も。

「豚肉とキャベツから出る旨みと甘みを生かして、出汁や砂糖を使わずに、味付けはお醤油だけで仕上げた『豚肉とキャベツのとろみ蒸し』は、家でもよく作る一品です。油を使わずに作れるのでヘルシーですし、とろみをしっかり付けて、ごはんや焼きそばにかけるなどのアレンジもできますよ。

また、『里いものグラタン』は、手間のかかるイメージのあるホワイトソースを使わずに、里いもの持つ粘り成分をとろみに生かしました。お肉やお魚が入っていなくても食べごたえがある主役級おかずになります。」(吉澤さん)

寒い季節に食べたくなる、とろっとおいしくヘルシーなとろみの料理。シンプルな食材で手軽に作れるレシピばかり! ぜひ、毎日のごはん作りに生かしてみてください。

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吉澤まゆ(よしざわ・まゆ)

女子栄養大学卒業後、管理栄養士として、給食施設での献立作成や調理業務、特定保健用食品等の食品試験に関わる業務、出張料理や料理教室講師など様々な業務に携わる。「決して特別な日のごはんではなく、毎日食べたいココロもカラダもマンゾクするものを。」をモットーにフリーランスの管理栄養士として、〔GOHAN-MAYU〕の屋号で活動中。よりおいしく、より健康的に、より手軽に、多くの方が、食を味方につけて豊かな生活を送れるよう、料理の経験と栄養学の知識を生かし、食に関する相談業務やセミナー、レシピ提供、コラム執筆等を精力的に行っている。
WEB:ココロもカラダもマンゾクごはん
Instagram:@gohan_mayu

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