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コラム

好きな色なあに?三食離乳食で子どもの「好き」を新発見【料理で子どもの好きを見つけるvol.3】

「食育」ってそもそもなんでしょう。「子どもにとって良いこと」という認識はあるけど、じゃあ具体的に何をしたら「我が家では食育をしています!」と胸を張って言えるものなのでしょうか? 栄養素を教えることが食育? それとも野菜や果物、食物の知識そのものを教えること? …どこから手をつけていいのかがわかりませんよね。この連載では「食育わからない!」のお手上げ状態から、「なーんだ、こんなことも食育って言えるのか、これならできる」という食育フレンドリーに一歩でも近づける様なヒントをお伝えしていきたいと思っています。

離乳食の好き・嫌いは本当に大変…

私が経営している料理教室リトルシェフクッキングでは、料理を通じて子どもの「好きの芽」を見つけることに徹底的にこだわっています。楽しい料理に集中していると、家族も知らなかった子どもの興味や得意がどんどん見えてきます。そして、これはまだ言葉を話さない乳児でも一緒。第3回では、離乳食を通じて子どもの「好き」を発見してみましょう。

2人目の息子が小さい頃、食べたり食べなかったり食べむらがありました。こりゃ困った。食べない時は、プイッと横を向いて口を真一文字にしてこちらがどんなに楽しませても首を縦に振りません。

1人目の離乳食との違いは、丁寧に作ったものとは違って、大人の分から取りわけてささっと作ったということ。慣れない2人育児に体力も精神力も限界だった私は、とにかく洗い物を少なくしたくて、離乳食も普通の食事も全てワンプレートによそっていました。ただでさえいっぱいいっぱいの毎日の中で、「離乳食を食べない」という新たな問題までもが浮上してしまい、3年前私の心はポキっと折れる直前だったのです。

息子よ。なぜ食べてくれないのかい…。

料理の“色”から子どもの「好き」を発見

そんなある時、ちょっとした行事のため、鮮やかな色ごとに料理をわけた離乳食プレートを作りました。すると、色を指差しながら嬉しそうにもぐもぐ。あれ!? もしかして、色がいっぱいあると楽しい? ふと思いました。

その後試しに、オレンジ、赤、緑の色ごとに料理を小皿によそって出してみました。すると、いつもとは違う離乳食に目が輝きます。嬉しそうにオレンジを指差し、むしゃむしゃ。そしてそれが食べ終わると赤を少しずつパクパク。最後に緑をチラッとみてから「いらない」と手で拒絶のジェスチャー(笑)

そうなのです。息子は食べ物の色を見るのが好きだったのです。そして、自分の好きな色から選んで食べ始めました。それからというもの、なるべく離乳食は小皿ごとに色をわけて出しました。すると、うーんと悩んだあと、「これっ!」とその時に好きな色を指差します。

このことがきっかけで、私は息子の色に対する興味を知ることができました。どうやら息子はオレンジが好きなことが多いよう。これは離乳食を通しての発見でした。

小さな時から、自分の意志で選択させることが大切

子どもの「好き」を知るのってワクワクします。子どもが1人の人間として、「これが好き」と自ら選択する姿がなんとも可愛く、「選んだその色、どうして今日はそれにしたんだろうー⁉︎」と小さな頭の中を見ているようで愛おしくなります。

小さな時から、自分自身で様々な決断をすることは大切です。与えられているものをただ受容するのではく、自らの意思で選び取る。離乳食でここまで言うとちょっと大げさかもしれませんが、幼少期から選ぶ練習をすることを意識して行いたいと思っています。この好きの選択の積み重ねが、自ら考える力を生んでいくと信じています。

武田昌美(子ども料理研究家)
リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2017年より「ママも知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。
【HP】https://little-chef-cooking.com/(ご予約はこちらから)
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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