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コラム

ふわふわなのに周りはカリッ♪ひと味違う我が家の「豆腐ステーキ」【高柳明音の懐かしレシピ vol.1】

2019年10月にSKE48からの卒業を発表した高柳明音さん。子どもの頃から料理が好きで、「SKE48メンバーの中で一番の料理上手」と評判だった高柳さんには、忘れられない料理の記憶がたくさんあるそう。おいしくて懐かしいレシピたちを、高柳さんの思い出エピソードとともにお送りします♪

初めて作った料理の思い出

幼い時、初めて料理をした記憶を、みなさんは覚えていますか?
私はたぶん幼稚園生のときか、小学校低学年の時に作った「カレー」でした。

今でも覚えているのは、自分の目線より少し高い台所では危ないからと、低い机を用意してもらって、子どもでも安全な調理器具をと、プラスチックでできたまな板と包丁を渡されたこと。

人参の皮をピーラーでむいたり、じゃがいもを切ったり。自分の背より高い位置にあった鍋の中に、カレーのルウは自分で入れたのだったか、入れてもらったのだったか……曖昧な記憶の中だけれど、そんな光景と、それを横で母がずっと見守ってくれていたことを思い出します。

なぜ私はあの時カレーを作ったのか? 今まで単純にお手伝いで作ったのだと思っていたのですが、最近になって母に「一番最初に私が作った料理って覚えてる?」と聞いてみたら、「たしか母の日だからご飯作る!って言ってやってくれたのが最初な気がする」と返されてビックリ! そうか…母の日だったのか。全然忘れていました。

子どもの頃よく見ていたしまじろうで、そういうことを知ったような気がします。「母の日はママのお手伝いをしよう!」「カレーを作ろう!」みたいな。実際、そんなことが書いてあったのか、映像で見たのかまでは、正確にはもう思い出せないのですが。

ただ、しまじろうがカレーだかシチューだかのにんじんを残してしまって、「好きじゃないもん」とダダをこねていると、にんじんやじゃがいも、玉ねぎさんたちが悲しくて泣き出してしまい、しまじろうが最後は頑張って食べるというお話が私は大好きで(なぜか)、何度も繰り返し見ていたことと、その映像はわりとしっかり記憶に残っています。(ただし、全然カレー作りの物語ではない……)

ああやって好き嫌いを子どものうちから減らそう!という大人の努力を、大人になった今、つくづく大事だなと実感しています。なぜなら、おかげで私は昔からあまり好き嫌いがありません。苦手なものも、「嫌い」で残すのではなく、「今日は食べられるかもしれない」とチャレンジする精神です。これって大切。

ちなみに、今少しずつ克服しつつあるのはパクチーです。どこで食べても、何回チャレンジしても撃沈してきたパクチーですが、最近行ったベトナム料理のお店で出てきたパクチーは匂いがきつすぎず、食べられたんです。嬉しかった……。ちゃんと子どもの頃から、しまじろうが教えてくれたおかげですね。

……と、前置きが長くなりましたが、この連載ではそんな子どもの頃の思い出と共に、いろんな懐かしい料理を紹介していきたいと思います。

意外? 我が家の「豆腐ステーキ」

我が家には、1人前用の鉄板のお皿が2つあります。主にそこに乗って出てくる料理はこの3種類(だと思う)。

・名古屋名物の鉄板ナポリタン(卵が敷いてあるもの)
・カレーピラフ(母が好きだった喫茶店のメニューを再現したもの)
・豆腐ステーキ

昔から作ってくれているものだから、どれも“そういう料理”と思って食べてきたけど、3番目の「豆腐ステーキ」。これ、みなさんはどんなメニューだと思いますか?

わりと一般的なのは、薄く切った豆腐に片栗粉をまぶして焼き、お醤油ベースのタレをかけたものでしょうか。全く食べたことがないという人は、「豆腐を焼いたステーキ?どんなビジュアル?もはや味あるの???」なんて思うかもしれませんね。私も家で食べてなければ、同じようなイメージをしただろうし、おそらく食べようともしなかったでしょう。

でも、うちの豆腐ステーキはそのどれでもないんです。どんな料理かというと、豆腐をつぶして、すり下ろした山芋と細かく切った大葉を混ぜ、だし・塩・醤油で味を付けて、平たくして焼いたもの。みなさんが想像したものとは大分イメージが違うのではないでしょうか?

ふわふわで、周りがカリッとしていて、子どもの頃から大好きな料理なんですが、思い返してみるとウチでしか食べたことがない……。私にとっては、ごくスタンダードな実家ご飯なのですけれど。

そうそう、最初に鉄板のお皿に乗って出てくるとお話しましたが、小さい頃はこの豆腐ステーキ、両親だけが鉄板のお皿を使っていました。私は子どもで危ないので、普通のお皿だったんです。

鉄板皿はコンロの上にそのまま置いて調理するので、アツアツで出てきます。当然、子どもは大やけどのおそれがあるわけです。それを理解できていなかった子ども時代は、「テッパンのが美味しそう!!!!」「テッパンのがカッコイイ!!!」とか言っていた気がします(笑)。

鉄板と普通のお皿じゃ味が違う!とまで思うのが子ども。わざわざ鉄板皿に乗った豆腐ステーキを親が少し分けてくれて、「同じでしょう?」と言っていた……気がします。

大人になった今でも、昔使っていたのと同じ“憧れの鉄板皿”に乗った豆腐ステーキを目の前にすると、そんな子どもの頃の豆腐ステーキエピソードをいつも思い出すのです。

高柳明音(たかやなぎ あかね)

AKB48の姉妹グループとして、名古屋・栄を中心に活動する秋元康プロデュースグループSKE48の一員。2019年10月にグループ卒業を発表した。小学生から始めた料理が趣味で、SKE48メンバーの中で一番の料理上手と評判。得意料理は麻婆豆腐、スープカレー、茶碗蒸し、炒飯、酢豚。

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