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コラム

体に負担をかけない!「よく噛んで食べる&腹八分目」のススメ

早藤千紘

子育て奮闘中の管理栄養士

【元気になれる食事術 Vol.3】食材の選び方や食べ方、献立の考え方など、健康維持のために知っておくと役に立つ「食事術」をご紹介。不調知らずの毎日を過ごすために、ちょっと取り入れてみませんか?

毎日の食事は生きていくうえでも欠かせない、とても大切な時間。最近では何か食べたい時に、いつでもどこでも手に入るようなり、とても便利な環境が整っています。健康維持のために栄養のあるものをきちんと食べることができていても、忙しいとつい急いで食べてしまったり、お腹がはちきれるまで食べてしまうこともありませんか?

第三弾のテーマは「よく噛む」ことと「腹八分目」について。このふたつを意識することで、さらに健康維持に繋がりますよ。

「よく噛むこと」と「腹八分目」は何で大事なの?

腹八分に医者いらず」という言葉をご存知ですか? 世界でも「Light suppers make long life」、軽めの夕食は長寿の源といった言葉があります。

体に良いものならたくさん食べてもいいわけではなく、過食は肥満以外にも、細胞の老化を進行させると言われています。細胞の老化は、がんや糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病を発生させる原因のひとつでもあります。

腹八分目を実践するためには、ゆっくりとよく噛んで食べることが重要なポイント。最近では、生活習慣の変化や、やわらかい食感が好まれる傾向にあり、昔と比べると噛む回数が減ってきていると言われています。

よく噛んで食べることで得られる効果は以下の通りです。

・少量で満足できる

・脳が活性化され認知症を予防する

・唾液の分泌が高まり虫歯を予防する

・味覚の発達

・顎の発達

急いでよく噛まずに食べてしまうと、満腹中枢のサインが脳に伝わるまで時間がかかるため、意識的に満腹を感じる頃には食べすぎている状態になってしまいます。ゆっくりとしっかり噛んで食べることで満腹中枢をきちんと感じ、食べすぎを防ぎます。これが腹八分目に繋がっていくのです。

また、唾液がしっかり分泌されると消化を助け、胃腸の負担を軽減したり、虫歯や歯周病の予防にも繋がります。また、よく噛めば味わって食べることができるので、子どもの場合は味覚やあごの発達の助けにもなるのです。

でも、腹八分目と言っても、腹八分目ってどのくらいなのか少しわかりづらいですよね。目安としては「もう少し食べたいな」と感じるくらいで、満腹になる一歩手前の状態。だいたいいつもの食事量全体の20~30%ほど減らすイメージです。

満腹の状態だと胃に負担がかかってしまうため、消化吸収の働きが低下し、消化不良を引き起こしてしまうこともあります。腹八分目は、体に負担をかけない食事の基本と捉えてみてください。満腹感ではなく、体が満足感を感じられるようにすると、自然と腹八分目になることが多いです

体を満足させるには、しっかりと栄養を満たしてあげることが大切です。食事の減らしすぎはバランスが崩れたり、かえって食事に対する欲求が高まりコントロールが効かなくなってしまうので注意しましょう。

実践するための具体的な方法は?

次に、どのように「よく噛むこと」と「腹八分目」を実践していけばよいのか、具体例を挙げてみます。

よく噛むためのポイント

・硬いもの、繊維質の食材を使う

・大きめに切る

・硬めに食感を残すように調理する

・一口ごとに箸をおく

根菜やきのこ、豆類、こんにゃくなど食物繊維が多いものや弾力のあるものを食事に取り入れることで、自然と噛む回数が増えていきます。さらに、大きめにカットしたり、少し硬めに食感を残すように調理するのもおすすめです。

噛む回数は一口30回が目安ですが、数えるのも大変なので、一口ごとに箸をおいて口いっぱいにどんどん食べ進めないようにしてみましょう。

腹八分目を実践するポイント

・大皿ではなく1人前ずつ盛り付ける

・品数を増やす

・ながら食いをしない

大皿で食卓に並べてしまうと、どうしてもたくさん食べてしまいがちです。一人分ずつ取り分けていくと食べすぎを防ぐことが出来ます。また、品数を増やすことで様々な栄養素を摂取できるので、体の満足感を得やすくなります。少し小さめのお皿にワンプレートで盛り付けると、たくさん食べている感覚が得られ、全体の食事量を減らせる効果もあります。テレビやスマホを見ながらの食事は、集中できずついつい食べすぎてしまう傾向があるので注意しましょう。

また、食事の内容からエネルギー摂取量を減らす工夫も効果的です。揚げ物を蒸し料理にしたり、お肉の脂身(鶏肉なら皮)を除くだけでも摂取エネルギーを減らすことができます。気を付けたいことは、食べる量に決まりはなく、人それぞれ基礎代謝や活動量なども異なりますので、体の調子を見極めながら、ストレスにならない程度に意識してみてください。

いかがでしたか? 腹八分目は肥満予防だけではなく、細胞の老化を防ぎ、生活習慣病予防の効果もあります。大人は健康維持のために、お子さんは食育や未来の体のために、よく噛む習慣を身につけ、腹八分目を意識した食生活ができると理想的です。満腹感は量ではありません。体が食べずぎずに満足できるよう、品数を増やしたり、栄養素をまんべんなく摂取できるよう意識してみましょう。

執筆:早藤千紘

管理栄養士、食学士、野菜ソムリエ。 大手企業の社員食堂栄養士、有名クッキングスクールの講師、食学士としてセミナー講師などを経験。現在は自身の子育てをメインに、管理栄養士の資格を活かして、食事と健康・美容の大切な繋がりや、子どもへの食育の大切さを多くの方に知っていただけるよう活動中。

執筆者情報

早藤千紘

管理栄養士、食学士、野菜ソムリエ。 大手企業の社員食堂栄養士、有名クッキングスクールの講師、食学士としてセミナー講師などを経験。現在は自身の子育てをメインに、管理栄養士の資格を活かして、食事と健康・美容の大切な繋がりや、子どもへの食育の大切さを多くの方に知っていただけるよう活動中。

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