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インタビュー

自分が食べたいものを作る!和田明日香さんの“ごはんが炊ける38分の間に作る家族5人分の晩ごはん”

テレビなどで見惚れるような手際の良さでたくさんの料理を披露している和田明日香さん。お姑さんは、言わずと知れた、料理愛好家の平野レミさんです。結婚したばかりの頃は料理ができなかったという和田さんだからこそ伝えられるコツや、38分で作る毎日の晩ごはんについてお話を聞きました。

ごはんが炊ける38分の間に作る晩ごはん

炊飯器のスイッチを入れてごはんが炊けるまでの間に晩ごはんを作ります。以前は早炊きで36分だったんですが、最近炊飯器を買い換えたら早炊きをしなくても38分でごはんが炊けるようになりました(笑)。その間に、お味噌汁、メイン、副菜2品を作ります。これが我が家の基本の晩ごはん。

38分で4品作ることに驚かれることもありますが、手際に関しては慣れだと思います。ごはんが炊ける間に作るというのが体にしみ込んでいるので、頭で考えていなくても体が勝手に動くようになってきました。

効率アップのためにしていることは、調味料を調理台の下の引き出しにまとめて収納していること。どんな調味料も2秒で取り出せるこの収納は、かなり効率アップに貢献しています。

キッチン用品は、見た目、使い勝手、機能がシンプルなものが好きです。スピードが大事なので、じゃんじゃん使って、洗ったらすぐ別のものが作れるレミパンは必須アイテム。熱伝導がいいのでスピーディーに仕上げられるんです。蓋もついているから、煮物や揚げ物にも使えてとっても便利ですよ。

決まらないと時間がかかってしまう味付けも、基本の調味料の黄金比があるので味に迷うことがありません。酒、みりん、しょうゆ、砂糖を3:3:3:1の割合で使うのですが、照り焼きソースとしても、煮物の味付けにも使えます。

晩ごはんの献立は、私が食べたいものというのが大、大、大前提!

毎日15時頃になると、「今日は何が食べたいかなぁ」と考えはじめます。子どもたちの給食を確認したり、前日に何を食べたか思い出したりしながらスーパーへ。なんとなく献立を決めて行くけど、食材を見て最終決定することが多いです。先日は、炒め物にしようと決めてスーパーに行ったら、とうもろこしが出始めていたので、ひき肉と一緒に炒めてスプーンで食べたら楽しそう! と、献立を決めました。

よく「献立が決まらない」という声を聞きます。私は、作る人が食べたいものを作ることが大事だと思っているんです。我が家の晩ごはんの献立は、私が食べたいものというのが大、大、大前提!

「家族のために作らなきゃいけない」「食べさせなきゃいけない」と、食事作りが義務みたいになってしまったら、「献立が浮かばなーい!」ってなってしまいますよね。でも、「あ~! これが食べたかったんだよね」というものを作って自分を喜ばせてあげると、献立が決まらないという悩みが、だんだん幸せを感じられるものにシフトチェンジしていくと思うんです。

それに、絶対とは言えないかもしれないけど、ママがおいしそうに食べていたら、子どもって「それ、なに? おいしそう」って興味を持つんですよ。子どもって、親のことよく見ていますからね。

食べたいもの自体が浮かばないときは、スーパーのお惣菜売り場を見て、「なるほど。鱈の甘酢あんね!」なんて、並んでいるものからヒントを得ることもあります。あと、お腹が減っていると食べたいものも浮かびやすいので、お昼ごはんを減らして、めちゃくちゃお腹を減らしたら食べたいものがすぐ浮かぶかもしれません。私、お昼を食べすぎちゃった日は、なかなか献立が浮かばないから(笑)。

子どもたちの好き嫌いについて

お子さんの好き嫌いに悩んでいる方も多いですよね。私も、せっかく作ったものを食べてもらえなくて、「二度と作らない!」って腹を立てたこともあるし、「食べられるものを作ってあげられなくて申し訳ない」とか、「料理の仕事をしているのに子どもに好き嫌いがあるなんて恥ずかしい」と悩んだこともあります。でも今は、好き嫌いが出てくるのも、子どもたちの自我の成長だと思うようになりました。今は嫌いでも、大人になるまでになんとなく食べられるようになればいいんじゃないかなって。

長女は、好き嫌いがないのでなんでも食べます。中でも、好きな食べ物はお寿司。長男は、海の生き物は基本苦手ですが、最近、魚をガーリックバター醤油で炒めたらよく食べていました。好きな食べ物は卵かけご飯。末っ子の次女は、お肉が好きじゃないんです。レミさんが焼いたローストビーフは食べるんですけどね(笑)。好きな食べ物はフライドポテト。なんと3人とも、好物がママが作る食べ物じゃないという…(笑)。

あまり子どもに遠慮しすぎたり、甘やかしたりはしないようにしているので、嫌いなものは並べないということはしていません。魚がメインの日は、長男がもしかしたら今日タンパク質を一口も食べないかもしれないと思うので、保険的に肉料理みたいなものを少量作ったり、逆にガッツリお肉料理な日は、お肉嫌いな次女のためにお魚のものを作ったりはしますが、「この料理はあなたのために作ったけれども、家族みんなが食べている他の料理も、苦手だとしても一口食べてみようね」という感じで選択肢を増やしています。

毎日の晩ごはんを、完全にバランス良く作るというのは幻想。そういう思いは捨てて、1週間から10日くらいでなんとなく肉、魚、豆、豆腐、野菜のバランスが取れていればOKという考え方でよいと思います。子育てって、「やるしかない!」ってときがあるんですよね。一生懸命やっていたら、それが自分の自信になっていくと思うから、悩みすぎないで大丈夫です! 

本を作ることの背中を押してくれた1品

2021年4月に出版された『10年かかって地味ごはん。』という本を作るとき、夫に「あなた推しの1品ってある?」と聞いたんです。そしたら、「あーちゃん、同じものを作らないじゃん。使っている野菜が違ったり、味付けが違ったりするから、いつもお決まりのあれっていうのはない!」って言われたんです(笑)。喜んで良いことなのかわからなかったけど、言われてみると、私は同じものを作ることがあまりないんです。どのレシピも作る度にバージョンアップしているから。

本の中で紹介している「きんぴらごぼう」。わざわざ本で紹介していいものかすごく迷った1品です。結婚した頃、料理ができなかった私が、納得できるきんぴらの味にたどり着けたのは最近のこと。料理ができなかったからこそ見つけられたポイントがあるし、レシピ通りに作っても失敗してしまう壁とか……。そういうことを乗り越えてできたレシピです。

きんぴら物語

『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)より

材料

ごぼう…1本(180g)
米油…大さじ1
A
 酒…大さじ2
 醤油…小さじ2
 白だし…小さじ2
 砂糖…大さじ1
炒りごま…適量

作り方

1.フライパンに米油を熱し、ごぼうを炒める。ここは強火で。
2.ごぼうが油でしっとりしたらAを加え、湯気からアルコールの香りがしなくなったら火を弱くする。そのまま汁気がなくなるまで炒める。
3.器に盛り、炒りごまを指でひねりつぶしながらかける。

キッチンを好きな場所にする

「なんだか頑張れない……」。毎日、キッチンに立っていたら、頑張れない日や、全然ダメだ~! という日があって当たり前。そうなったときは、自分を責めちゃダメです。出前にしたり、お惣菜を買ってきたりしていいんです。気持ちやパワーが復活してきたら、またおいしいものをたくさん作ればOK!

私は、キッチンに好きなものを持ち込んじゃいます。音楽が好きなので、いつも音楽をかけて無理矢理テンションをあげているようなところがあります(笑)。あと、ビールが好きなので、終わりが見えてきたらビールを開けて、「お疲れ! お疲れ! 私!」って自分にヨシヨシします。好きなものを集めて、キッチンを好きな場所にする。毎日の料理を楽しくするための、私からのアドバイスです。

(TEXT:上原かほり)

メイン写真:『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)より

 和田明日香さんの新刊著書

10年かかって地味ごはん。-料理ができなかったからこそ伝えられるコツがある』(主婦の友社

「嘘も背伸びもなく作った一冊です。本を出すために考えたレシピではなく、私が10年をかけて作ってきたレシピの中から、選りすぐりのものをご紹介しています。レシピを並べてみたら、全てにエピソードがありました。自分の家だし、いつものお皿で、よく見る風景が本になって不思議な感じがしたけど、家族と料理の歴史が感じられる一冊になりました。うちのそんなエピソードを見て作ってみようとなるのかな? という不安はあるのですが、さっそく『うちのごはんにぴったりはまりました』という声や、『日常が垣間見えるから自分の日常にも取り入れやすかったです』という声をいただいて安心しています。毎日のことだからこそ、自分が食べたいものを楽しく作ってみてください」(和田さん)

和田明日香(わだあすか)

料理家。食育インストラクター。東京都出身。3児の母。 料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM、ドラマ出演など、幅広く活動する。2018年、ベストマザー賞を受賞。著書に『子どもは相棒 悩まない子育て』(ぴあ)。『和田明日香のほったらかしレシピ・献立編』(辰巳出版)も好評発売中。本書では、和田家の食器を使ってスタイリングも担当。

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