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コラム

実は“お米の旬”は2月だった!?本当においしい「お米を食べるタイミング」とは

【お米ライターのオコメバナシvol.13】私たちにとってお米はあって当たり前の存在ですが、実は意外と知らないことだらけ。そこで、巷でよく耳にするお米に関する「疑問」や気になる「噂」をお米ライター柏木智帆が検証します。おいしい白飯や米料理さえあれば食卓は豊かになる!をモットーにお米のおいしさを追究していきます。

「新米」じゃなくなってからがおいしい?

毎年9月・10月頃の新米の時期になると、店頭やメディアなどで「新米」という文字やごはんのおともの特集などを目にしますが、12月頃からは人々の関心は新米からクリスマスに変わり、クリスマスが終わった年明けには、店頭で「新米」の文字を見かけなくなります。それは、現在の米業界では収穫された年内のお米を「新米」と呼ぶためです。そのためか、年明け以降は、新米の時期に比べると圧倒的にお米への関心が薄くなってしまうように感じます。

では、新米の時期が過ぎると、お米の味や魅力は落ちてしまうのでしょうか? 複数のお米屋やお米を扱う飲食店に聞くと、十中八九、「年が明けてからのほうがおいしい」と口をそろえます。(ただし、玄米の状態で冷蔵保存されている場合です。精米後の白米は酸化が進みますので2週間ほどで食べ切ることをおすすめします)。

新米は「みずみずしさ」や「艶やかさ」、「香りや風味の高さ」、「粘りの強さ」といった魅力がある一方で、「味がのっていない」のだそうです。 たしかに、新米時期に味が薄いなあと思っていたお米が、収穫から2〜3カ月ほど経つと「味が濃くなった!」という経験が何度もあります。そういう意味では、「お米の旬は1〜2月」と言っても間違いではないように感じています。

あるお米屋によると、新米の頃は旨み成分がまだ水っぽいため旨みが薄く感じられますが、時間を置いて水分が枯れてくると、旨み成分の濃度が増すため味が濃くなるのだそうです。

ちなみに、「新米は水分が多い」とよく言われていますが、誤りです。たしかにみずみずしくはありますが、細胞の水分が落ち着いていないだけで、水分量が多いわけではありません。(詳細はお米ライターのコメバナシvol.1にて)

低温保管された玄米の“賞味期限”は?

では、年明け後ならば、収穫から1年や2年経ったお米もおいしいのでしょうか? 以前、同じ生産者と品種のお米を、収穫後に玄米のまま低温保管して
・1年近く経ったもの
・2年近く経ったもの
・3年近く経ったもの
それぞれを精米して食べてみましたが、いずれも劣化していました。とは言え、3年近く経ったお米が一番劣化しているかと思いきや、一番劣化していると感じたのは2年近く経ったお米でした。また、他のお米では1年近く経っても劣化があまり感じられず、むしろ味が濃くておいしいものもありました。やはりお米の品質や保管状況によって一概には言えません。

ただ、海外では7年物のヴィンテージ米が高級米とされている場合もありますが、水だけで炊飯して白飯で食べる日本の文化においては、夏を2回越したお米を白飯で食べるのは厳しいように感じました。

「お米の旬」をそれぞれ楽しもう

新米の時期がおいしさのピークのお米もあれば、年明けからおいしくなるお米もあり、春先から劣化するお米や、1年近く経つと味がのるお米もあります。ちなみにあるお米屋は、今年のお米は例年よりも劣化の早さを感じる場合が多いと話していました。

秋になると各地でお米のコンテストがありますが、受賞したお米はもしかしたら年明けにもっと味がのるかもしれませんし、年明けになると味が落ちてしまうかもしれません。つまり、お米のコンテストはあくまで「新米時期においておいしいお米」を決めるものなのです。

「新米はうまい」という先入観にとらわれずに、新米の時期だけでなく、ぜひいろいろなお米を食べてみたり、ごはんのおとも探しをしてみたりと、“お米の旬”を楽しんでみてはいかがでしょうか。

柏木智帆

お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。
【ブログ】柏木智帆のお米ときどきなんちゃら
【クックパッド】柏木智帆のキッチン