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コラム

【今が旬】釣りたては美しきレインボーカラー!情熱の釣り人が語る「アジの魅力」

【今週のおすすめの一冊 vol.39】編集部が特に「おもしろい!」と注目した料理にまつわる本をピックアップし、気になる中身をダイジェストでお届け。今回は『お魚イラストレシピ大百科』(つり人社)についてご紹介します!

釣りたての魚の色、見たことある?

突然ですが、最初は全く興味がなかったのに、情熱のある人の話を聞いているうちに話にのめり込んだ経験をしたことはありますか? 今回ご紹介するのは、まさにそんな本。

読めば読むほどに魚が食べたくなり、最終的には、全く興味のなかったはずの釣りにも行ってみたいと思ってしまうほど、不思議な魅力のある本なのです。

タイトルは『お魚イラストレシピ大百科』。スーパーでお馴染みのアジをはじめ、ウマヅラハギやカワハギなど、全部で19種類の魚で作る147種類のレシピが紹介されています。

作者が手書きで描く魚は、スーパーで見かけるビジュアルと全く別物。なぜなら、釣り人しか見ることのできない、釣りたての色の魚が描かれているのです。作者曰く、釣りたてのアジはレインボカラー、タイはピンク&コバルトブルー、アカイサキはショッキングピンクなんだとか。

魚を描き続ける、魚愛に満ちた釣り人

綺麗なイラストの他にも、ダジャレが炸裂していたり、魚が一人称で喋りまくっていたり、ユーモラスな絵も満載。ダジャレには突っ込みたくなる愛おしさが湧いてきます

「こんなにダジャレを重ねるなんて、作者はさぞかし釣り好きのおじさまなのでは…」と思いながら作者のプロフィールを見るとびっくり。作者である大垣友紀惠さんは、釣りをする姿があまり想像できない、おしゃれな女性。

さらに驚くべきことに、大垣さんは小学6年生の時に、ANAの機体デザインコンテストで最優秀賞を受賞し、クジラと海の仲間たちを描いた絵がマリンジャンボとして採用された経歴の持ち主だったのです。そう、筋金入りの魚好き。作者のブレない筋の通った人生にも拍手を送りたくなります。

お箸が止まらない!絶品アジ料理

今回は、本書よりまさに今が旬のアジをピックアップ。

アジは、季節、場所、サイズ、種類、泳ぐ距離、潮の速さなどで味わいが微妙に違うのだとか。外洋回遊しているアジは身が引き締まり、動きの少ない居付きアジは脂が乗っているそうです。

大垣さんが「作らないと後悔する味」と紹介する「アジのなめろう」、意外な組み合わせが面白い「アジのアヒージョ」の2品をご紹介します。

アジのなめろう

材料

アジ……中サイズ2匹分
生姜(みじん切りにしておく)……小さじ2
しそ(みじん切りにしておく)……3枚くらい
A
味噌……小さじ1
醤油……小さじ1/4
ごま油……小さじ2

作り方

1. アジの内側にある腹骨を包丁ですく。

2. 次に、血合骨の左右の身をすくうようにして取る。

3. 血合骨と皮は捨てる。

4. アジの身をみじん切りにし、そこに生姜、しそ、Aを混ぜて叩く。滑らかになり、粘り気が出てきたら味見をして完成。

アレンジ:なめろう寿司

酢飯を握り、その上にしそ、さらになめろうを乗せて寿司にするのがおすすめ!

アジのアヒージョ

材料

新鮮なアジ(中サイズ)……半身1枚分
※釣りたてのアジがオススメ。まったく臭みを感じません。
A
まいたけ……5カット
ニンニクスライス……3枚
輪切りとうがらし……5リング
ブラックペッパー……3粒
ピンクペッパー……7粒
オリーブオイル……100cc程度
塩……パラパラと振る

作り方

1. アジは3枚おろしにし、腹骨を包丁ですく。

2. 次に血合骨を骨抜きや毛抜きで一本ずつ抜き、身を一口サイズ(1.5センチ幅くらい)にカットする。

3. まんべんなく塩を振り、キッチンペーパーでくるっと丸めて、冷蔵庫で15分待つ。

4. 3のアジとAを小さめのココットや鍋に入れ、オリーブオイルを具が半分浸かる程度かける。中火で油がふつふつしたら弱火にして、5分煮る。オリーブオイルを全体に絡ませながら煮て、具に火が通ったら完成。

180度開いて読める!調理のために工夫された製本

大垣さんの手書きのイラストや文字を読んでいると、この本が市販のレシピ本であることを忘れ、親しい友人のノートを覗き見しているような感覚になり、大垣さんや魚を身近な存在に感じてきます。

大垣さんが釣りで失敗し、リベンジのためにまた釣りに行くという釣りバカエピソードを最初は笑っているのですが、最後には釣りについて調べている自分がいて、ハッと我に返り、そんな自分に驚きました。レシピ本の合間に散りばめられたコラムも必読の面白さですよ!

魚愛は、本の作りにも。見ながら調理できるようにと、レシピ本が閉じずに180度開いたまま読める製本になっています。イラストも豊富なので、お子さんと一緒に本を開きながら魚を捌いたり、調理するのもおすすめです。

見たことのない魚のビジュアルや、知らなかった調理法がたくさん載っていて、新たな世界を知る充実した読後感が味わえます。お気に入りを集めた本棚に加えたい、そんな一冊。ぜひ、手にとって、大垣さんの情熱を感じていただけたら!

(TEXT:小菅祥江)

お魚イラストレシピ大百科』(つり人社

大垣友紀惠

千葉県市川市生まれ。釣りの好きな父と、料理上手な母の間に生まれ、自然と生き物が大好きな子供時代を送る。ときに20 種類以上の生物を飼育観察し、スケッチしていた。12才の時に、ANA機体デザインコンテストで最優秀賞。クジラと海の仲間たちを描いた「マリンジャンボ」は全国で大ヒット。現在は、デザイナー、アーティスト、アートディレクターとして、第一線で活躍。 趣味は、魚を釣って食べること。 海と命に感謝し、魚を余すところなく美味しく頂く方法をイラストに描いているうちに、魚の深い魅力を伝えたいという情熱が高まり、この本をまとめるに至った。
>>HP

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