パスタやバゲットが絶品に！えのき・しめじ・エリンギ・舞茸、4種の「きのこのデュクセル」

昔の夢を見た。

夢なんて目が覚めてしまえば刻々と忘れてしまう。まるで記憶に漂白剤をかけたように白く染めまるで何もなかったかのようになってしまう。でも漂白剤と同じで白くなって見えなくなっただけでそこには確かに存在する。もやもやした気持ちは再び記憶の大海の中に溶け込んでいくそんな夢。
急に寒くなったからだろう。

季節の変わり目には風邪を引くように何かに当てられる気がする。スマホを見ると時刻はまだ夜明けには程遠い3時過ぎ。そういえば最近夜明けも遅くなったんだよなとぼんやり考えながら夏は足元に蹴ってまるめていた布団をかぶる。

……。

「眠れん」
記憶が変に波だったせいで完全に目が冴えてしまった。

もぞもぞと布団から這い出てクローゼットから適当に上着をひっつかんで雑に着込んで表に出る。24時間営業のスーパーは煌々と灯っているかなと思ったら最近の節電の流れか看板の照明は消え、入り口の明かりだけがうっすらと夜の帳に隔たりを作っているだけだ。

「秋のきのこフェア」のポップの下に何種類ものきのこが並んでいる。季節の食材を24時間営業のスーパーで深夜3時に買う。

季節感と時間感覚が溶け合って出会うことのない場所なのに偶然出会ってしまったようで深夜のスーパーでまた変な感覚に陥る。

『こういう時は何か無心になれることをするのが良い。』

きのこを数種類買い込み、そういえばただ歩いてるだけなのに汗ばむことがなくなったと感じながら家路を急ぐ。

えのき。しめじ。エリンギ。舞茸。どれも100円そこそこで買えるきのこ達がひとり暮らしの狭いキッチンに並ぶ。

ひたすらにきのこを細かく刻んでいく。只々ひたすらに細かく刻むだけ。もう料理していると言うより何かを細かく刻んでいるという感覚。

小さな窓から夜明けの気配漂ってきた頃にきのことバターの良い香りがキッチンに満ちる。
もう少し冷めたら冷凍保存にまわしちゃって昼ごはんはパスタにでもするか。
深夜の覚醒感は腕の疲労感で眠気へと昇華してまぶたが少し重くなってくる。あぁ1、2時間だけ寝ようかな。

よそう、また夢を見る。

料理と笑いで天下を目指す男性ピン芸人。
埼玉県東松山市出身。東松山のやきとりを愛し、東松山市親善大使「東松山市應援團」の一員。食品衛生責任者の資格を持ち、クックパッドには1000以上のレシピをアップしている。日本テレビ系列『ウチのガヤがすみません！』などに出演。

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