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コラム

感染症に負けないために、意識したい冬の美腸習慣

食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を分かりやすくご紹介していきます。

寒さが増して空気が乾燥してくると、風邪やインフルエンザなどの感染症が流行しやすい時期になるため、いつも以上に健康管理が大切になります。今シーズンは新型コロナウイルス感染症の再拡大も懸念されていたりと何かと心配ごとが多いですが、何はともあれ体の免疫機能を良い状態に維持しておきたいですよね。
そこで今回は、これからの季節を元気に乗り切るために、日々の中で意識をしたい習慣についてお伝えします。

特に感染症に気をつけたい冬こそ、美腸習慣を

まずは感染症予防の基本として、手洗い・うがいをすることや、外出時にマスクを着用することを徹底して行いましょう。これらに加えて、感染症に負けない体づくりとして大切なのは、毎日の生活習慣の中で十分な栄養と睡眠をとることです。[1]

さらに、新たな対策として腸内環境の改善、いわゆる腸活が注目されているのをご存知でしょうか。これまでの研究で、腸内環境は免疫機能と密接に関わっていることが徐々に明らかにされてきています。[2]

この連載でお伝えしている、良い腸内環境(美腸)を維持することを目指す生活習慣である“美腸ライフ”は、年間を通して継続していただきたいことではありますが、少し気が緩みがちだった方は、これを機に再度意識を向けてみてはいかがでしょうか。

改めて、毎日の生活の中で意識すべきことは?

巷では“腸活”と聞くと食事改善のイメージが強いようですが、腸内環境を良い状態に保つ美腸づくりのためには、生活リズムや運動や睡眠、ストレスケアなど生活習慣全般に意識を向けることが大切です。お肉が中心のたんぱく質や脂質に偏った食事や、夜更かしや徹夜、欠食といった不規則な生活習慣、ストレスが溜まっている状態が続いてしまうと、有害菌(悪玉菌)が増えやすくなり、腸内環境が悪化してしまう原因となります。特に年末年始は生活習慣が乱れがちな方が増えるのではないかと思いますので、せっかくの休み中や休み明けに体調を崩さないよう、ご自身の腸の状態を確認する癖をつけてみましょう。

腸内環境の良し悪しは、便を観察することで簡単にチェックすることができます。もちろん例外もありますが、腸内が良い状態の時の便は黄色がかった褐色で臭くなく、形状は柔らかいバナナ状になる傾向があります。逆に黒っぽい色で悪臭がある便が出た場合は、腸内環境が悪化している可能性があります。[3]

便は自分の体からのお“便”りでもありますので、要注意のメッセージを受け取った際には、なるべく早く対策をとることをおすすめします。

お疲れ胃腸に“メンテンナンス食”で対策!

年末年始はクリスマス、忘年会にお正月と、イベントが続くシーズン。胃腸もお疲れ気味になりやすい時期の対策として、特に食生活の中で意識をしたい“メンテナンス食”についてご紹介します。

1. 胃腸の調子が悪い時は、とにかく消化によいものをチョイス

お酒の席やご馳走メニューの食事が続くと、胃腸が疲れがち。おなかの調子がよくないと感じた際には、なるべく消化によいメニューを選んで胃腸を休ませましょう。脂っこいものや繊維質なものは消化に負担がかかるためなるべく控えて。スパイスがきいたメニューやカフェインが多い飲み物も刺激が強いので避けた方が無難です。お粥やうどんなどの麺類、豆腐、白身魚、卵、柔らかく煮た野菜などを選ぶとよいでしょう。

食物繊維が豊富な食品は腸活の際に積極的にとりたいものではありますが、胃腸がお疲れ気味の際には消化不良を起こしてしまう恐れがありますので、少しお休みをして体調を整えましょう。

2. 食べ・飲みすぎた日は翌日リセット

ついついハメを外して食べすぎ、飲みすぎてしまうこともありますよね。そんな時は、翌日にしっかりとメンテナンスを。飲みすぎた際にはお酒をお休みしましょう。食べすぎた際には、食べる量(カロリー)に意識を向けて前日にオーバーしてしまった分を調整することは体重管理にも重要です。特に脂っこいお肉のメニューを食べた翌日は、腸内の有用菌が好む食物繊維が豊富な植物性の食品をとるように心がけると、腸内環境を良い状態に保つことに役立ちます。

3. 栄養バランスの乱れが気になる時は、後から挽回でOK!

食事の栄養バランスを1食、1日単位で整えるのが難しい場合は、数日〜1週間ほどの範囲内で調整すれば問題ありません。特に日本人が不足しやすい傾向があるビタミン、ミネラル、食物繊維を補うためには、野菜や果物、豆、海藻、きのこの中であまり食べていない食品群を積極的に選んで食べるようにすると良いでしょう。寒い時期は野菜たっぷりのスープや味噌汁、鍋料理がこれらを効率よくとれるおすすめメニューで、美腸づくりにもおすすめです。

冬も美腸ライフで元気に乗り切ろう!

外出の制限もなくなり街中の人出も増えてきたからこそ、感染症から自分の身を自分でしっかりと守る意識を高める必要があります。

「健康管理のために◯◯が良い」という情報が溢れていますが、何か特別なものを食べたり、特別な習慣を取り入れる以前に、基本的な生活習慣に問題がないか改めて意識を向けてみましょう。就職活動や受験など、人生の中で重要な日も多いこの季節。体調管理をしっかりとしながら、毎日を健康に過ごせるといいですね。

管理栄養士 藤橋ひとみ(ふじはし・ひとみ)

株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役。商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。豆腐や豆乳、ソイオイル、味噌など、大豆関連の資格を多数所有し、大豆や腸活分野の専門家として活動する中で、最近は日本人が不足しがちな食物繊維の宝庫である「おから」に注目し、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」

●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスタープロ、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、発酵食品ソムリエほか

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