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コラム

うちって高すぎ?お金のプロに聞く「適正食費」の考え方

丸山晴美

調理師資格を持っている食費節約が得意なFPです。

生活必需品の値上がりラッシュだった2022年。今後もまだまだ続くことが予想されています。家計を支えている人の中には、「これまでと同じようなお金の使い方をしていてはいけない!」という危機感を感じている人も少なくないのでは? そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、年始から見直したい適正食費についてお話を聞きました。

このままでは、確実に貯蓄ができなくなる

――家計の中で食費が占める割合は収入の何%程度が理想なのでしょうか。

理想は20%ですが、現実は25~30%くらいだと思います。今、食品だけではなく生活に関するさまざまなものが値上がりしているので、これまでのようにうまくやりくりができていないというご家庭が多いのではないでしょうか。物価と共に収入が上がる健全なインフレであれば良いのですが、今の日本の状況はそうではありませんから、エンゲル係数だけがあがっているという状態になっているかもしれません。

――食費の割合は確実に上がってきていて食費は増えていると思いますが、何%を超えると「高すぎ」と考えるべきなのでしょうか。

30%を超えたら高すぎると考えてください。家賃が収入の30%だと言われているので、食費も30%になると合計で60%になりますよね。それでは生活がギリギリになり確実に貯蓄はできなくなってしまいます。ローンや家賃がないという方は別ですが、そういう方は少ないですよね。食費が30%を超える場合は、収入を増やすか他を節約していかないと厳しいと思います。

1人2万円を5週で割るやりくり術!

――収入の20%ということですが、わかりやすい食費の使い方はありますか?

ひとつの考え方として、1カ月の食費は1人2万円と考えてやりくりする方法もあります。4人家族の場合は月に8万円。それを5週で割ると1週間に使えるのは16,000円になります。月曜日スタートと決めたら、その週はその16,000円の中でやりくりをいます。もし余っても、それは翌週には繰り越さず、あくまでも1週間16,000円。1カ月が終わった時点で残ったお金は、貯蓄にまわすか、1ヶ月のご褒美として外食をするという形で使っても良いです。

――それは、すごく簡単で挑戦しやすそうです。

今、値上がり続きでやりくりが楽しくなくなっているという方も多いと思うので、取り組みやすい方法を取り入れることでやりくりを続けるモチベーションにしてみてください。この方法でポイントとなるのは、5週で割るということ。4週で割るよりも1週間長くなるので心の余裕がでるし、お金が残りやすくなるんです。

――1人2万円の中にお米は含まれますか?

今までは、米も外食も含むという感じでしたが、おそらくそれでは足りないご家庭が続出すると思います。なので、この1人2万というのは、あくまでも自炊費です。私は2人家族で月の食費が3.5万くらい。自炊中心にしてこの数字を維持しています。

食費を減らすなら自炊をすべし!

――やはり自炊をすることで食費は下げられるんですね。

今値上がりしているのは、小麦粉と油。それらを加工しているものが値上がりしているので、加工度合いが少ないものを食費に取り込むことが大事になってきます。できるだけ加工していないもの。また、輸入コストや電気代、ガス代、エネルギー価格もあがってきているので、食材を買うときは原材料を買って、自分で作るほうが絶対に良いです。

――食費を上手に節約するためのポイントを教えてください。

買い物をする上で大事なルールが3つあります。
1⃣買い過ぎない
お買い物をするときは必要なものをメモに書いていくと良いです。買い忘れてまた買いに行くと、そこでまた余計なものを買ってしまうんですよね。私も、ついでにあれこれ買ってしまう人なので、ちゃんと買う物をメモしていきます。必要なものをしっかり買っておけば、買い物の回数自体も減らすことができます。

2⃣空腹時を避けて、一人で買い物に行く
お腹が減っているときにお買い物に行くと、思っている以上に無駄なものをカゴに入れてしまうんです。すぐ食べられるものをついつい……ということをしていると、それだけで結構な金額になるんです。家族と一緒に買い物に行くと、お子さんがお菓子をねだってきたりして余計なものを買うことになるので、空腹時を避けて一人では鉄則です。

3⃣できるだけ旬の食材を買う
その時期に出回るものは比較的安く購入することができます。また、地場物も安く買えたりします。旬のものは栄養価も高いので、ぜひ積極的に手にしてください。

その他には、節約食材の活用があります。例えば、きのこ、もやし、豆苗などです。大豆製品、納豆や豆腐、油揚げ、厚揚げは、このご時世でもそんなに値段が上がっていないし栄養価も高いのでおすすめです。卵もお得ですし、節約お肉とされる、豚こま肉、鶏むね肉、豚ひき肉をうまく使ってみてください。

買い物の回数を見直すことも重要

――食費がかさんでしまうという人がやりがちなNG習慣や、考え方というのはあるのでしょうか。

買い物に行くと、ついつい買う予定がなかったものを買ってしまうという方は多いです。半額シールが貼ってある! と甘いお菓子を買ってしまった経験はないですか? お菓子ではなくても、もともと買う予定がないのに半額だからという理由で買うのはよくないです。逆に使うものが半額だったら、それはラッキー! 節約を意識している人こそお得ハンターになりがちなので、そこは気をつけてください。また、最近人気がある業務用スーパーですが、これも家族の人数が多いご家庭は良いのですが、量が多く、金額もそこそこするのに、食べきれずに破棄となり結果無駄遣いになっている方も少なくありません。いま一度、家族の人数、消費できる量を考えたお買い物を意識してみてください。

――物価高はまだまだ続きそうです。食費を無駄に増やさないために取り組むべきポイントを教えてください。

買い物回数を減らすことを意識し、無売デーを作ってください。買い物に行かない日を作れば作るほど出費は減ります。そして、家にあるもので作るという意識を持つと食費は減っていきます。我が家では、お肉はまとめ買い。1.5キロのお肉を小分けにして冷凍しています。家にあるもので作ると自炊が増えますし、買い物ついでの無駄な出費も減らせると思いますよ。

(TEXT:上原かほり)

画像:Adobe Stock(https://stock.adobe.com/jp/)

丸山晴美さん

旅行会社、コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。食費はもちろん生活全般の節約術・ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなど様々なメディアで活動中。
公式ホームページ「らくらく節約生活」はこちら>>

執筆者情報

丸山晴美

旅行会社、コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。食費はもちろん生活全般の節約術・ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなど様々なメディアで活動中。

資格

節約アドバイザー、FP、ファイナンシャルプランナー(AFP)FP技能士2級、消費生活アドバイザー、調理師、宅建士(登録)

webサイト・SNS情報

公式HP:らくらく節約生活 https://www.maruyama-harumi.com/
ゆとりうむプロジェクト理事https://yutorium.jp/

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