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コラム

アメリカ人がこぞって食べるハンバーガー!家でも作れる「スライダー」ってどんなもの?

【アメリカの最新ごはん事情vol.19】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。第19回目のテーマは「ハンバーガー」。日本人も大好きハンバーガーといえば、アメリカ!本場の人たちは、どんなハンバーガーを味わっているのかレシピも一緒に教えてもらいました。

夕飯にハンバーガーは食べますか?

私がニューヨークに住み始めて2年目ぐらいのある日、美食家で有名なアメリカ人の料理講師と、夕飯を食べに行くことになりました。どこか簡単に食べられる所と思っていたら、「あっ、そうそう、あそこのハンバーガーがおいしいのよ」と先生に言われた時、私は椅子から落ちそうになりました。日本で生まれ育った私には、夕飯にハンバーガーを食べるなんて考えられなかったからです。どんなに簡単な夕飯であっても、ハンバーガーだけで終えるというのが理解できませんでした。

でも今思えば、留学生の私を預かってくれていたホストファミリーも、夕飯はハンバーガーのみというのが週に最低2回はありました。ホストファミリーの作るハンバーガーは、薄いパティ(ミンチ肉をハンバーガー用に薄く丸くまとめたもの)だけをバンズに挟み、野菜もチーズもなく、かろうじてケチャップとマスタードが塗ってあるようなハンバーガーでした。

この2つのハンバーガーエピソードによって、アメリカ人にとっては素早くお腹を満たせるおいしい夕飯なんだと理解しました。

ハンバーガーの本当のおいしさとは

アメリカに住み始めて35年経った今でも、夕飯に食べようとは思いませんが、ハンバーガーの本当のおいしさはわかりました。アメリカのハンバーガーは、上質なお肉をミンチにしてそれを薄く丸めて塩、胡椒で焼いたもの。形は違えど、ステーキを食べているようなもので、実質「肉」なのです。極めてシンプルですが、有名なハンバーガーは、それぞれその店に肉の配合があり、数種類の部位のミンチを混ぜて脂肪の量も調整しています。

ニューヨークでは2000年から約2年に渡り、高級ハンバーガー戦争があり、これでもかこれでもか!と高価なハンバーガーが作られて評判になりました。当時$50のハンバーガーが最高値でしたが、最近は食材の値段が高騰し、ちょっと有名なお店で普通のハンバーガーが$40ぐらいしても誰も驚かなくなりました。近年はあまり新しいハンバーガーの話題を聞きませんが、一般人がスーパーで購入できるハンバーガー用の肉の質が上がっていて、自分でもかなり質の高いものが作れるようになりました。

ハンバーガーに季節はあるの?

夏にバーベキューグリルで焼くハンバーガーのパティは格別においしいですが、年間を通して食されるものです。そして、「スライダー」と呼ばれるミニバーガーはパーティーで引っ張りだこ。いつもすぐになくなってしまいます。小さくて手軽に食べられるので、ハンバーガー大好きのアメリカ人には人気の的です。

ということで、今回は、スライダーのレシピをご紹介したいと思います。アメリカで売っている牛肉のミンチには、脂肪含有量の違うものが数種類ありますが、一般的にハンバーガーは、脂肪分20%が一番おいしいと言われています。パティを作る際、セルクルを使うと、どれもほぼ同じ大きさになるのでおすすめします。

スライダーの作り方

<材料>

・ハンバーガー用ミンチ肉……1個55gぐらい × 必要な個数分
・塩、胡椒……適量
・ミニバーガー用のバンズ

※以下、すべてオプション
・レタス(好みの種類で)
・トマト(小さめの方が食べやすい)
・紫玉ねぎ
・スライスチーズ
・ピクルス
・ケチャップ
・マスタード

1.レタスなど、挟む具をスライダーの大きさに切って、お皿に並べておく。

2.バンズは、最後にフライパンで焼く方法もありますが、簡単なのは、アルミホイルで包み180度に予熱したオーブンに入れて温める方法です。よほど長い時間でない限り、焦げたり乾燥する心配がありません。

3.パティに塩、胡椒をします。しっかり塩味をつけましょう。塩が足りないと、おいしさが半減します。

4.パティの焼き方には色々ありますが、今回はグリルパンを使用しました。ない場合は、フライパン・オーブンでも大丈夫です。数をたくさん作る時は、オーブンが便利です。

5.チーズをのせる場合は、パティが焼き上がる少し前にのせるといい感じに溶けます。

6.パティが焼き上がったら、オーブンからバンズを取り出して、あらかじめ準備しておいた具とパティをのせて、最後に串を上から刺して具が動かないようにしましょう。

パティを焼く時間は大きさや、火加減によって変わるので調整してください。今回紹介したスライダーは1つ2オンス(56g)で、片面約4〜5分焼いています。グリルパンの場合、煙が出る手前ぐらいまでよく温めてからパティをのせてください。オーブンの場合は、200℃に予熱したオーブンで、15〜20分ぐらい焼きます。途中でひっくり返しましょう。

アメリカでは、ハンバーガーにはHeinzのケチャップとFrench'sのマスタードをのせるのがスタンダードです。ぜひ、お祝いの席やホームパーティー、ランチなどで作ってみてください。

明比玲子

兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。
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