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コラム

医師に聞きました!“内臓脂肪”がつきやすい人の特徴と「減らすための食生活」

お腹周りについた内臓脂肪はなかなか落とすことができないので、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。また、内臓脂肪が溜まりすぎると健康にも悪影響を及ぼしかねないので、普段の食生活から注意が必要です。そこで今回は、新見正則医院の院長・新見正則先生に、内臓脂肪が増えることのデメリットや減らすための食生活などについて聞きました。

「内臓脂肪」がつくことの危険性とは…

――そもそも「内臓脂肪」とは、どういったものなのですか?

胃や腸などの内臓周りや、お腹の中の腸に続く血管の周りについている脂肪のことを指します。

――内臓脂肪がつくとどうなりますか?

糖尿病、高血圧、高脂血症など、さまざまな生活習慣病を引き起こしやすくなりますし、血糖値や中性脂肪、コレステロールを増やす原因にもなります。また、内臓脂肪を過剰に蓄積してしまうと、悪玉コレステロールが増加し、動脈硬化や血栓ができるリスクが高くなるとも言われています。

――内臓脂肪がつきやすい人の特徴や習慣を教えてください。

ごはんやパン、ラーメンやパスタといった麺類などの炭水化物を摂りすぎると、消費できずに余った糖が体内で中性脂肪に再合成され、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。同様に、普段からあまり運動をしない人も、エネルギーが消費できずに脂肪が蓄積されやすいです。

――内臓脂肪が増えることによるデメリットは?

コレステロールや中性脂肪、血糖値を増やし、高血圧をはじめとしたさまざまな生活習慣病を引き起こし、最終的には脳卒中や心筋梗塞などによる死亡リスクを高める危険性もあります。

“炭水化物”の過剰摂取には要注意

――内臓脂肪を減らすためにはどうしたらいいでしょうか?

過剰な炭水化物の摂取は控えて、バランスの良い食事を心がけることが大事です。あと、早食いをせずに、ゆっくりとよく噛んで食べることも大切。よく噛むことで満腹中枢が刺激されるので、少量でも満足感が得られます。また、噛むと交感神経も刺激されて、内臓脂肪が落ちやすい状態にもなりますよ。

――運動もしたほうがいいですよね?

もちろん適度な運動習慣をつけることもとても重要です。脂肪を効率良く燃焼させるためには、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を行うといいでしょう。さらに、筋肉量が増えると基礎代謝が上がってエネルギー消費量が増え、内臓脂肪が付きにくくなるので、筋トレも効果的です。

――内臓脂肪を減らすための理想的な食生活は?

ご飯やパン、麺類といった炭水化物を摂りすぎない食事が理想的ですね。そして、脂肪分を減らして、たんぱく質を増やすことも大切です。たんぱく質は筋肉を維持し、基礎代謝の高い体づくりにも欠かせません。卵、肉、魚、豆類、乳製品などのたんぱく質主体の食事を心がけるといいでしょう。

――内臓脂肪の数値はどのようにしてわかるのですか?

CTスキャンで内蔵脂肪の断面積、または体積を計算します。ただ、実際には腹囲によって代用されていることが多いです。一般的には、男性は85cm以上、女性は90cm以上が、おへその部分での脂肪の面積100cm2以上に相関すると言われています。

――数値的に注意したほうがいいレベルはどのくらいなのですか?

おへその部分の断面積で100cm2以上になると注意が必要です。100cm2以上になると、動脈硬化が進みやすくなるなど、合併する疾患数が50%も増加していることが明らかになっているので、腹囲は気にしておいたほうがいいでしょう。

(TEXT:山田周平、メイン画像:Adobe Stock

新見正則先生

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。最新刊『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』はAmazonでベストセラーに。

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