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コラム

朝起きて◯◯するのが快眠の鍵!今が要注意「子どもの五月病」への対処法

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事

【"成功する子"の食事術vol.12】子どもの成長に食事が大切ってことは分かっているけれど、どんなものを作ればいいの?毎日のことだから、悩んでいる親御さんも多いはず。シリーズ累計14万部突破「成功する子は食べ物が9割」の著者・細川モモさんに、20年後に後悔しない子どもの食事術を教えてもらいましょう。

身体と心のSOS見逃してない?

春からの新しい生活にも慣れてきて、長期休暇のゴールデンウィークも終わりました。5月から6月にかけて注意が必要なのが「五月病」です。五月病は医学的な病名ではありませんが、なんとなく元気がなさそうだったり、だるそうだったり、体調を崩したり…そんな傾向が子どもに見られたら、身体と心からのSOSだと思って!新生活が始まり、張り詰めていた緊張や疲れがピークを迎えている状態かもしれません。

ストレスに負けないメンタルを作るには?

メンタルを整えるためには、脳内の神経伝達物質3種類が十分に分泌されることが必要です。

1つ目

幸せホルモンと呼ばれる“セロトニン”。脳と腸のどちらからも分泌されるため、腸内環境を整えることも効果的です。

2つ目

やる気や幸福感を得るための“ドーパミン”。運動調節、ホルモン調整、意欲、学習などにも関わる物質です。

3つ目

睡眠に関係する“メラトニン”。日中の分泌量は少なく、夜間に分泌量が数十倍に増加するホルモン。季節のリズムや体内時計の調節の作用もあります。

これらの神経伝達物質をしっかり分泌させる生活・食事でストレスに負けないメンタルをつくることが重要です。

メンタルを整える生活・食事のコツは?

朝起きたら、朝日を浴びる

幸せホルモンのセロトニンや、やる気ホルモンのドーパミンは日光に当たることで分泌されます。また日中にセロトニンがたくさん分泌されると、夜に睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌も促進されるため、睡眠のリズムも整います。さらに、日光を浴びることでつくられるビタミンDは不安障害や統合失調症との関連が報告されており、ビタミンDの補充が症状の軽減につながることも報告されています。UVケアを徹底してしまうとビタミンDの生成が妨げられるので注意しましょう。キクラゲや干し椎茸など、天日干しの食材がおすすめです。

魚を積極的に食べよう

精神医学の世界でも“メンタルにいい栄養素”として注目されているのがオメガ3脂肪酸(魚油やあまに油、えごま油など)です。近年、うつ病は脳の炎症が関連していると考えられており、オメガ3脂肪酸には炎症を鎮める働きがあります。実際に魚の摂取頻度は産後うつリスクや幸福度に影響していたという研究報告があります。

鉄をしっかり摂ろう

成長期の子どもが不足しやすく、メンタルに大きく影響する栄養素に「鉄」があります。私たちの研究では5歳未満の12.7%に貧血リスクがありました。女の子は10歳前後で初経を迎え、男の子は小学校高学年から中学生の間に身長が急激に伸びる成長スパートを迎えますが、この時期は人生でもっとも鉄が必要な時期であり「思春期貧血」リスクがあります。朝起きられない、集中力・意欲に欠ける、イライラ、疲れやすい、感情の起伏が激しいと感じたら鉄不足を疑って。私たちの研究では、子どもの貧血に影響していたのは「親のリテラシー」でした。母親の4〜5人に1人は鉄欠乏生貧血と言われているので、家族の心の平和のためにも「鉄の知識」を身につけましょう。

たんぱく質をしっかり摂ろう

たんぱく質=アミノ酸のうち、体内で合成することができないアミノ酸を必須アミノ酸といいます。脳内ホルモンの材料になるのが、この必須アミノ酸なのです。体内で合成することができないため、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など、食事で良質なたんぱく質をしっかり摂りましょう。ビタミンD、DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)、鉄といったメンタルによい栄養素は全てたんぱく質が供給源です。1日3回の食事で、毎食たんぱく質を「片手一盛り」目安に食べることが必須です。

食事以外の生活で実践したいこと

リズム運動をすること

ウォーキングやジョギング、ラジオ体操、スクワット、自転車でのサイクリングなど、一定のリズムで行う運動も、ハッピーホルモン“セロトニン”の分泌につながります。10〜30分ほど、規則正しい動きを繰り返すことが大切で、それ以上の時間は逆効果となります。また、今日からできるリズム運動なのが“咀嚼”。食事中によく噛んで食べることも、ひとつのリズム運動になり脳を活性化させるポイントです。

夜は照明を柔らかい光にすること

朝、セロトニンが分泌されてから、14時間後に眠りのホルモンであるメラトニンが分泌されます。しかし、メラトニンは強い光やブルーライトを浴びると分泌が阻害されてしまいます。夜遅くまで、テレビを見ていたり、ゲームをしている子は要注意。日没後は蛍光灯を避けて、家の照明をオレンジライトにしたり間接照明に変えたりするのもスムーズに眠りにつくのに効果的です。

細川モモさんの著書

疲れと不調にサヨナラ! 体と心をラクにする 鉄分貯金KADOKAWA

子どもの身体と心の疲れSOSを見逃さず、ストレスや疲れを長引かせない生活・食事を!成長期で生理的に不足させやすい鉄は、寝起きや日中の眠気といった生活態度に、認知能力・動体視力・集中力などを通じて学業や運動のパフォーマンスに直結しますので、ぜひ毎食意識して与えてあげましょう。料理が苦手でも「うずらの卵」「あさりの水煮缶」「青のり」など、手抜き方法もありますよ。詳しくはこちらの書籍をチェック!!

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
2009年春に、医師や管理栄養士を中心に13種の医療専門家及び博士/研究者が所属する「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。専門家の知識を分かりやすく提供することで、日本の家庭教育と子どもたちの健康をサポートしようと幅広い活動を展開。さらに、予防医療のなかでも、”母子健康”に注力。課題は深刻だが国のサポートが手薄なため、妊娠前/妊娠中/産後の女性の健康支援を通じて、次世代の健康の底上げに取り組んでいる。生まれてくる赤ちゃんの栄養状態・成長は妊娠前のママの栄養状態に影響されるが、働く女性の栄養状態は近年悪化している。日本の未来を守るためにも、母子栄養を潤す事は必要不可欠と考え、栄養状態の悪い女性を減らすことで不妊症や低出生体重児を予防し、1人でも多く健やかな赤ちゃんが生まれることを願い、走り続けている。
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執筆者情報

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
2009年春に、医師や管理栄養士を中心に13種の医療専門家及び博士/研究者が所属する「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。専門家の知識を分かりやすく提供することで、日本の家庭教育と子どもたちの健康をサポートしようと幅広い活動を展開。さらに、予防医療のなかでも、”母子健康”に注力。課題は深刻だが国のサポートが手薄なため、妊娠前/妊娠中/産後の女性の健康支援を通じて、次世代の健康の底上げに取り組んでいる。生まれてくる赤ちゃんの栄養状態・成長は妊娠前のママの栄養状態に影響されるが、働く女性の栄養状態は近年悪化している。日本の未来を守るためにも、母子栄養を潤す事は必要不可欠と考え、栄養状態の悪い女性を減らすことで不妊症や低出生体重児を予防し、1人でも多く健やかな赤ちゃんが生まれることを願い、走り続けている。

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