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コラム

ブラック企業に転職、離婚…ストレス過多で体に起こった「異変」

病院に行くほどではないけれど、なんだか感じる体の不調。薬剤師であり調理師、薬膳アドバイザーの資格も持つ道川佳苗さんと、中医学の視点で体を見つめ直し、健やかな暮らしをつくるための「食」を考えましょう。

ブラック企業に転職、離婚…ストレス過多で心身が限界

49歳の男性からこんなお悩みをいただきました。

「こんばんは。体と心の両方で悩んでます。体の不調は良く原因がわかりません。肩が痛いのと、何となくだるい。たまに頭痛もあります。気になるのは心の不調。1年半くらい前に転職してブラック企業に入ってしまい去年の末に離婚して環境がガラリと変わりました。

仕事のストレスが半端なく、それで自然とネガティブになってしまい離婚もあってずっと1人ですごく孤独感を感じています。心療内科にも通って軽い睡眠薬みたいな薬ももらっています。 心の不調が体の不調につながっているのか分かりませんがとにかく全てにおいて不調です。 何か良い方法はありますでしょうか?」

天候の変化も心身に影響あり

心と体は互いに密接に関連し合っているため、心の不調が体の不調として現れることはよくあります。特に5月や6月は新しい環境に慣れる頃であり、疲れが出やすい時期と言えます。また、心と体は季節や天候の変化にも敏感であり、急な気温の上昇や低下に体が対応できないこともあります。

そこで、今回は心の不調を緩和するためにおすすめの食材やレシピをご紹介します。

不眠や不安感…心の不調はなぜ起こる?

中医学的には、以下の原因が考えられます。

1.ストレスによる「心(しん)」の消耗

中医学では、五臓という概念があり、その中でも「心(しん)」は人間が命を維持する上で最も重要な役割を担っています。心の主な働きは、①全身に血を送り出し巡らせることと、②精神的な活動の管理です。そのため、失恋や家族との別離、受験の失敗などのストレスによって心が傷つけられると、これらの働きが低下し、さまざまな不調が現れる可能性があります。

●「心」が弱ると出る症状

強い倦怠感があり疲れが取れない、動悸・息切れ・不整脈・めまいなど、情緒不安定で不眠になる、顔色が悪くなる(白っぽくなりツヤがない)、赤ら顔になりのぼせるなど

心の不調は、心身のバランスが乱れた状態を反映しています。そのため、心をケアし、ストレスを軽減することが重要です。適度な運動で汗をかくことやリラックスする時間をもつ、睡眠時間を確保することが「心」の消耗を防ぐのに役立ちます。

また、夏は「心」の季節とも言われ、関係が深くあります。気温が上昇し、熱が増えることによって、「心」の働きも活発になり、熱を蓄えやすくなります。そのため、熱を冷ますことは心の消耗を防ぐために必要とされます。

2.気や血の不足

過労や睡眠不足が続くと、気(エネルギー)が消耗し、やる気が出なくなったり、疲れやすくなるなどの症状が現れます。また、気の巡りも悪くなるため、肩こりや頭痛に悩まされることがあります。さらに、十分な睡眠を取れないと血の量も不足し、精神活動を安定させる役割を持つ「心」にも十分な栄養が行き渡らなくなります。その結果、不安感や不眠、物忘れ、夢をよく見るなどの症状が現れることがあります。

心の不調の緩和におすすめの食材は?

以上の理由から、心の不調を緩和するためには、体内の熱を冷ます効果のある食材や血の巡りを良くする食材を摂ることが重要です。また、薬膳の観点からは、苦味のある食材が心を補うとされているため、苦味のある食材も取り入れることがおすすめです。

ただし、熱を冷ます食材は冷え性の方が摂り過ぎないように注意が必要です。個々の体質や状態に合わせて適切な摂取量を把握しましょう。

▼熱を冷ます食材

アロエ、ごぼう、れんこん、スイカ、メロン、きゅうり、ゴーヤ、小豆など

▼血の巡りを良くする食材

らっきょう、お酢、ジャスミン茶、烏龍茶など

▼苦味のある食材

レタス、緑茶、ぎんなん、アーモンド、オクラ、アスパラガス、かぶなど

クックパッドのおすすめレシピはこれ!

ゴーヤと豚肉と卵の炒めもの

熱を冷ます性質があり苦味のあるゴーヤと、疲労回復効果のある豚肉は相性抜群です。さらに血を補い精神不安などの症状を緩和する働きのある卵を組み合わせることで、さらに栄養バランスもアップします。

ごぼう・アスパラ・ベーコンのきんぴら

熱を冷ます性質があるごぼうと、苦味のあるアスパラガスを組み合わせたきんぴらです。ベーコンを合わせることでコクがあり食べやすくなります。

あずきミルクの寒天

熱を冷まし「心」を補う小豆と、血を補い精神を安定させる働きのある牛乳を合わせた簡単スイーツです。小豆はビタミンB1を豊富に含み、疲労回復や肩こりの改善にも役立ちます。

「心」をいたわって不眠や不安感を緩和しよう

ストレスの多い生活や仕事、育児の頑張り過ぎによって、私たちの心は知らず知らずのうちに疲れ切って消耗してしまうことがあります。不安感や不眠の症状は、心が疲れているサインとして現れることもあります。

薬膳の知識を活かして、心を補う食材を摂取することで心の不調やそれに伴う体の不調も緩和できる可能性があります。今回ご紹介した食材やレシピを取り入れて、心と体の元気を取り戻していただければ幸いです。ぜひ試してみてください。

体の「なんとなく不調」お悩み募集中

なんとなく感じる体の不調、もやもや。道川さんに相談してみませんか? こちらのフォームからあなたの声をお寄せください。

道川佳苗

薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。

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