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インタビュー

コレステロールを下げる食材はコレ!「年代別」「男女別」の付き合い方を医師に聞きました

コレステロール値が正常であるかどうかは、気になる人も多いでしょう。ただ、年齢や性別によってコレステロール値にも差が生じるものだろうし、対策や改善ポイントなども変わってくるはずです。そこで今回は、広島ステーションクリニックの理事長である石田清隆先生に「年代別」「男女別」のコレステロールとの付き合い方やコレステロール値を正常に保つための食生活などについて話を聞きました。

年代別や男女別の「コレステロール値」

――悪玉コレステロールと善玉コレステロールの違いを教えてください。

コレステロールはそのままでは血液に溶けないため、リポ蛋白という粒子に包まれています。リポ蛋白には、肝臓で合成されたコレステロールを全身に運ぶLDLコレステロール(以下LDL-C)と体内に余ったコレステロールを回収し、再生できるように肝臓に運ぶHDLコレステロール(以下HDL-C)の2種類があります。一般的にLDL-Cは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロールと言われます。

――コレステロール値が高くなると、どういった問題が生じますか?

LDL-Cが血中に多く存在すると、血管の壁に沈着、蓄積し、血管の壁が肥厚していきます。また、LDL-Cの沈着部が酸化され、マクロファージなどが炎症を起こすことで、血管内腔にプラークを形成。こうした血管の動脈硬化が進むと血管内腔は次第に狭くなり、血液の循環も悪くなり、臓器の機能にも影響が出ます。

――血栓が生じることもあるのですよね?

蓄積したプラークの表面が破たんすると血栓が生じて血管を塞いでしまい、臓器が虚血により壊死します。血栓が冠動脈に生じた場合が心筋梗塞、脳血管に生じた場合が脳梗塞です。そのため、血管にコレステロールを運ぶLDL-Cが高くなると、動脈硬化のリスク、血管イベントのリスクが上がるため注意が必要です。

――コレステロール値はどの年代から高くなりやすいですか?

加齢とともにLDL-Cは上昇していきますが、その変化は男女で異なります。平均的な男性は20歳台~50歳台にかけて少しずつ上昇し、50歳台では20歳台に比べ、約30%の高値となります。女性は20歳~40歳までの増加は10%程度ですが、更年期を境に大きく増加し、50歳台では20歳台より約40%の高値となります。

――男性と女性ではコレステロール値に差がありますか?

女性のコレステロール値は、50歳以前は男性より低く抑えられています。しかし、50歳以降は急上昇し、男性より高くなります。女性の約半数が50歳を過ぎると、総コレステロール値は基準値の上限である220mg/Hgを超えます。原因は女性ホルモンのエストロゲン。エストロゲンは月経のある間は活発に分泌されますが、50歳前後で閉経を迎えると分泌量が減少します。エストロゲンにはLDL-Cを減少させ、HDL-Cを増やす働きがあるため、閉経によってエストロゲンの分泌量が減少すると脂質異常症を起こしやすくなります。

「コレステロール値」を正常に保つ食生活とは…

――コレステロール値を正常に保つために、年代別で食生活で気をつけるべき点は?

ポイントは、加齢による代謝の低下、ライフスタイルの変化、生活習慣病の合併、月経の有無の4点。30歳台頃から始まる筋肉量の低下などで代謝が低下し、若い頃と同じように食べるとカロリーオーバーになりがちです。カロリーを摂りすぎると肝臓でのコレステロール合成が促進され、血中の中性脂肪値も高くなります。食べ過ぎに注意し、筋肉量を保つ運動、生活習慣を取り入れましょう。また、30~40歳台は仕事が忙しくて時間がなく、外食やコンビニ食、加工品に偏りがち。食物繊維が不足し、揚げ物やジャンクフードなどが増える危険性も。忙しくても食事の多様性とバランスにはこだわってほしいです。

――生活習慣病の合併に関しては?

40歳を過ぎると、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病のリスクが増えます。これらの生活習慣病は血管の動脈硬化を相乗的に促進します。特にLDL-C値は喫煙、高血圧症とともに命にかかわる虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の3大因子ですので注意が必要です。

――では、月経の有無に関しては?

女性は閉経する50歳前後からエストロゲン分泌の低下によりコレステロール値が急激に上がります。糖質、脂質の摂りすぎやカロリーオーバー、運動不足に注意し、食物繊維、青魚をしっかり摂るバランスの取れた食事を心がけましょう。エストロゲン作用のあるイソフラボンを多く含む大豆製品を積極的に摂ることもオススメです。

――コレステロール値を正常に保つために、男女別で食生活で気をつけるべき点は?

女性は閉経に伴うコレステロール値の上昇に注意が必要です。閉経後はカロリーオーバーに注意し、飽和脂肪酸を控え、食物繊維や良質な油の青魚を十分に摂ること。そして筋肉量を増やす生活習慣も重要です。男性は喫煙、飲酒、運動不足、単身赴任などのライフスタイルがコレステロールの上昇、動脈硬化性のリスクを上げます。単身赴任や一人暮らしの男性は、外食やコンビニ食で済ます人も多いので、栄養バランスの取れた食生活を意識してください。

――コレステロールを下げるのにオススメの食材を教えてください。

わかめ、納豆、豆腐、青魚(イワシ、アジ)、にんにく、唐辛子、オリーブオイル、魚油、トマト、オリゴ糖、緑茶、こんにゃく、舞茸、もずくなどです。中でも、わかめ、納豆、イワシの3つは特にオススメです。

――わかめ、納豆、イワシをオススメする理由は?

わかめに豊富に含まれる水溶性食物繊維は、コレステロールの吸収を抑制し、腸管内のコレステロールの排出を促進します。血糖上昇、血圧上昇も抑え、生活習慣病の予防に有用です。納豆はコレステロール0の食品である上に、コレステロールの吸収を抑制し、血中のLDL-C値や中性脂肪も下げることができます。血液をサラサラにし、血栓を予防するナットウキナーゼも含んでいます。イワシなどの青魚に含まれるEPAとDHAは、LDL-C、中性脂肪を減らす働きがあるオメガ3系の必須不飽和脂肪酸。EPAは血液をサラサラにする効果もあり、血栓や動脈硬化のリスクを下げることが期待できます。

――その3つの食材のオススメの調理法はありますか?

■わかめ「やみつきワカメ」
<材料>
カットわかめ 10g
白ゴマ 適量
調味料A(すし酢 小さじ2、昆布茶か昆布だし 小さじ、ゴマ油 小さじ1、醤油 小さじ1)
<作り方>
カットわかめを水に戻し、調味料Aをかけ、最後に白ゴマを振る。

■納豆「なっ玉オクラ」
<材料>
納豆 小1パック
温泉卵 1個(なければ生卵でも可)
オクラ 2本(小口切り)
だし汁、もしくは醤油少々
ご飯 茶碗1/3杯
<作り方>
①納豆と温泉卵、小口に切ったオクラを器に入れて混ぜる。
好みでだし汁、もしくは醤油を少々加える。
②①にご飯を加えて混ぜ合わせる。
③好みで、ちりめん、明太子、昆布を加えると味変して楽しめる。

■イワシ「イワシのアヒージョ」
<材料>
イワシ水煮缶詰 1缶
オリーブオイル 適量
にんにくスライス 2かけ
醤油 大さじ1
鷹の爪 1個
藻塩 少々
<作り方>
①にんにくをスライス状にカットしておく。
②スキレットにオリーブオイルとにんにくスライス、鷹の爪を入れて弱火で炒める。
③オリーブオイルににんにくの香りが馴染んだら、イワシをスキレットへ入れる。(スキレットの代わりに小さいフライパンでも可)
④オリーブオイルを追加し、好みで藻塩を入れる。
⑤しょうゆを入れて10秒ほど馴染ませる。

(TEXT:山田周平、メイン画像:Adobe Stock

石田清隆先生

肝臓学の専門医で、現在は広島ステーションクリニック理事長。長年、基幹病院の一線でウイルス性肝炎、肝細胞癌の診療を行い、ウイルス性肝炎の経口剤治療、肝細胞癌のラジオ波焼灼療法やカテーテル治療の経験が多数ある。現在は、画像診断、栄養解析データをベースに脂肪肝、糖尿病等の生活習慣病に対し徹底的な栄養、運動指導を行い、薬に頼らない治療を目指している。2023年1月にアンチエイジングセンター「Milky Cloud Well-being Center」を開設。著書に『人生を好転させる 2‐week鉄活』(幻冬舎)がある。

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