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不眠にレタス、肩こりに小松菜!?いつもの食材が漢方薬の代わりになる「ゆる養生」のススメ

冷水を飲んだらお腹が痛くなった、なんてことありませんか?食べたものや飲んだものは、人間の体に大きな影響を与えます。「病気かもしれない」「つらい体質」と思い込んでいるものも、実は普段食べるものを変えるだけで改善できることも!中医学と心理学で健康にたくましく生きられる生活習慣を提案している漢方コンサルタント・櫻井大典さん監修の『いつもの食材が「漢方」になる食べ方 体にやさしい「ゆる養生」のすすめ』(三笠書房)から、体をおいしくととのえる食事と食べ方のヒントを少しだけお届けします。

漢方の特徴の一つ、「薬食同源」

私たちがふだん食べている多くの食材には、薬と同じように体を元気に治す効果があると考えるのが「薬食同源」です。薬は病気になってから飲みますが、食事は毎日の生活とともにあるもの。健康維持には食事の見直しが近道です。

食材の味や性質が体の熱や働きをととのえる

野菜や果物、肉、魚、卵、米……。すべての食材は形も味も違うように、それぞれ独自の働きをもち、食べたときに体に及ぼす作用も異なります。食材が薬になり、体のバランスをととのえ、血や肉や骨となっていくのです。食材には体の機能を促して温めたり、機能を抑えて冷やしたりする性質=五性(ごせい)や、特有の作用をもつ味=五味(ごみ)があります。これらをまんべんなくとることが、体本来の働きを発揮するために重要であると漢方では考えます。

乱れた食事を正してゆるい「食養生」を実践

健康の基本は「食養生」にあり、といっても過言ではありません。養生とは漢方で「そなえる生き方」の意味をあらわしますが、どんなに仕事や家事が忙しくても、食事は軽視してはいけません。「食養生」とは文字通り、食事から生命を養う方法。自分が食べるものをおろそかにすることは、命を軽視して、粗末にすることに。私たちが日々食べているものが、病気の一因になってしまうか、心も体も元気にしてくれるかは食べ方次第なのです。
とはいっても、忙しい人にとって厳密なルールを守るのはなかなか難しいもの。そこで、意識するだけで、体質改善にみちびいてくれる食べ方をいくつか紹介します。

小松菜の「おひたし」が肩の血行をよくする

肩こりの原因は血行不良。そのもととなるのがストレスや疲労、目の疲れ、偏食や暴飲暴食、冷えなどです。
ストレスや疲労がたまると、エネルギーのめぐりが悪くなるので、血流も同時に悪化します。目を使いすぎると血(けつ)を消耗し、血流障害に。偏食や暴飲暴食をすると体内に不要物がたまり、血がドロドロになって流れにくくなります。冷えると筋肉が収縮して血流も悪化。水分代謝が悪く、余分な水分がたまって冷え、こりを感じることも。
小松菜にはドロドロと悪くなった血をきれいにする力があります。沸騰したお湯に小松菜を入れてさっとゆで、水気を絞り、かつお節をたっぷりかけておひたしでいただきます。醤油は塩分が高いので控えてください。

眠れない日は「レタスの湯引き」を食べて快眠へ

不眠のタイプはさまざまですが、漢方ではストレス過剰タイプと血(けつ)が足りないタイプに分けます。ストレス過剰タイプは文字通りストレスが原因。イライラや憂うつ感などの精神不安からなかなか寝つけない。気が高ぶって寝つきが悪いこともあります。ストレスが熱を生んだためにこのようなことが起きるため、熱を冷ますことが大切です。
血が足りないタイプは慢性化した人に多く見られがちです。体を養う血が不足して精神が不安定になり、不安感や気分の落ち込みを感じ、熟睡しにくくなってしまいます。対策は血を補うことです。
レタスはこもった熱を冷ます力に優れているので、熱湯にさっと通して、血を補う力をもったオイスターソースをかけていただきましょう。

頭痛はねぎ塩スープで温めて解毒する

頭痛の原因のひとつは、自然界に吹く風。強い北風にあたって帰宅すると、頭がひどく痛くなった経験がある人もいるのではないでしょうか。
それは風による冷えからくる頭痛です。このような頭痛を改善するにはまず風にあたらないこと。エアコンの風も直接あたらないようにしたほうがいいです。冷えからくる頭痛には体を温める食材をとること。発汗作用があり、温めて冷えを発散、解毒作用もあるねぎはうってつけです。スープジャーに、細かく切ったねぎを入れてお湯を注ぎ、塩を少々加えて完成する「ねぎ塩スープ」を頭痛のときのおともに。
頭痛には血の不足(月経や貧血など)やストレス、過労などの内的要因のものもあります。また、胃腸の弱りや不摂生な食事によって、体内の不要物がたまって引き起こすこともあります。

画像提供:Adobe Stock
イラスト:徳永明子

著者メッセージ

本書では、食養生の基本的な考え方から、不調時に使える食材やレシピまで、わかりやすく解説しています。食養生とは、食材の持つ働きを利用して、健康を維持・増進する方法です。近年、漢方や養生への注目が高まっており、その知恵を取り入れている方が増えています。
しかし、漢方や養生というと難しそうに感じる方もいらっしゃるかもしれません。本書は、知識がゼロの方でも無理なく始められるよう、丁寧に解説しています。まずは、基本的な考え方や、食材の持つ働きについて学んでみましょう。
養生の料理は、美味しく、健康によいだけでなく、美容にも効果的です。ぜひ、本書で漢方や養生の魅力を体験してみてください。

書籍紹介

『いつもの食材が「漢方」になる食べ方 体にやさしい「ゆる養生」のすすめ』(三笠書房) 「最近、疲れが取れない」「もしかしてカゼかも…」「貧血や更年期がつらい」
そんな不調に悩まされていませんか?

本書は、疲れや不調とじっくり向き合う余裕がない人のために、毎日の食事で簡単に対策できる「食べる漢方」の超入門編です。

難しい漢方薬は一切出てきません!
いつもの食材が、選び方ひとつで薬の代わりになり、心と体をスッキリととのえることができます。

「カゼ・病気」「疲れ・だるさ」「冷え・美容」「こころ」のカテゴリ別に、症状に合った48の食材と調理法を紹介!
のどの風邪にはりんごのすりおろし、便秘にはきゅうりのしょうが炒め、足がつるなら卵料理など、食材のもつ意外な働きを学べます。

調理法も焼くだけ、和えるだけ、さっと煮るだけなど、15分以内に手軽にできるものばかりです。
わかりやすいイラストとマンガ入りで、今日からすぐに使える一冊!

監修者紹介

櫻井大典(さくらい・だいすけ)
漢方家。国際中医専門員。カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後はイスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国の首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格を取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSで発信される優しいメッセージと実践しやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『病気にならない食う寝る養生』(学研プラス)、『ゆる〜く、ととのう こころ漢方』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『二十四節気の暦使い暮らし』(ワニブックス)などがある。

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