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コラム

「朝と昼は料理をしない」が基本?共働きがほとんどである現代フランスの食事情とは

忙しい日々で負担になりがちなのが、毎日の食事の準備。朝、昼、晩と3食作るのはなかなか大変!でも世界を見渡してみれば、日本ほど自炊をしていない国も多いようです。そこで今回は、日本在住の外国人から世界の料理を学べる料理教室・ニキズキッチンによる著書『みんな、何を食べてるの? 世界の朝ごはん、昼ごはん、夜ごはん』(グラフィック社)から、現代フランスの食事情を少しだけお届けします。

現代フランスの普段の食事は「シンプル」

2010年、ユネスコの食の分野で初の「無形文化遺産」に登録されたほどの美食の国・フランスですが、最近は若者を中心に健康志向の人々が増えているそう。

「昼ごはんではワインやビールがつきものでしたが、 最近はその傾向も少なくなりました。バターの代わりにオリーブオイルを使ったり、昼ごはんのときにランニングする若者がいたり。私もバターは使いますが、量は少なく、ヘルシーなフランス料理を作っています。そのほうが身体にもよいし、日本の方の口にも合うと思います」とイザベラさん。

そんな現代のフランスの普段の食事はシンプル。出かける準備で忙しい朝は、家族で食卓を囲む習慣はフランスではあまりないよう。朝ごはんはいたって簡単なものがほとんどで、パンとジャム、ヨーグルトやフルーツなどで済ませる人が多いといいます。

朝ごはんをスキップして午前10時頃にコーヒーやホットチョコレートを飲んだり、軽食を食べる人たちも多いのだとか。昼ごはんも実は簡単なものがほとんど。昔のように、レストランで前菜、メイン、デザートを頼むようなことはまれで、近所のデリカテッセン(惣菜屋)でジャンボンブール(バゲットにバターを塗ってハムを挟んだもの)を買ったり、レストランではキッシュやクロック・ムッシュ、オムレツなどの軽食が人気です。

クロック・ムッシュ

あまり料理はしない?フランスの食事情

女性のほとんどが働いているフランス、平日の朝と昼はあまり料理をしないのが一般的。夜ごはんは少し遅くて午後8時頃。子どもがいる家庭では、午後7時頃に子どもたちに食べさせ、子どもが寝たあとに夫婦で遅い夜ごはんを楽しみます。日本ではテレビを観ながら食事する家庭も多いですが、フランスではメインディッシュ、バゲット、チーズ、季節のフルーツなどを食べながら、その日のでき事を話して、ゆっくり食事を楽しむのが日常。

「平日の食事は基本、質素ですが、週末の昼ごはんは家族とテーブルを囲むことが一般的で、ときには友人や家族を招くこともあります。おやつはあまり身体によいとは思っていないので、間食する習慣がないですね。本当にお腹が空いたときにブーランジェリー(パン屋さん)で何か買ったり、フルーツやヨーグルトを食べる程度。ただ子どもたちは別で放課後、パンにヌテラ®(ヘーゼルナッツココアペースト)やジャムを塗って食べたりします」

美食の国でもあるのに、スレンダーな方が多いのも納得です。

フランス北西部のブルターニュ地方で生まれ育ったイザベラさん。今まで世界各国に住み、日本に住んで約3年。この本が出版される頃には、イギリスで新たな生活をスタートしている。料理上手なこともあり、友人の推薦でニキズキッチンの講師に。料理を教えることで、日本の文化や日本語を学べるのがとても魅力だったそう。時間があるときは趣味の自転車で東京を回ることを楽しんでいた。

著者メッセージ

この本には、世界各地の人々の食生活の知恵や魂が、かけがえのない一部として織り込まれていると思っています。料理を創造し、それを口元へと運ぶ。その一連の行為は、ある人に取っては懐かしい思い出の扉を優しく叩くかもしれない。またある人々にとっては現地の人々の暮らしを思い描く楽しいひとときを与えるかもしれない。
料理を作って食べること。これ自体が『時代への旅』なのです。
ぜひ、お手に取って読んでいただき、実際にも料理を作っていただき、食の世界旅行へと繰り出していただけたら幸いです。

書籍紹介

本を開けば、食の世界旅行に!
本国出身の料理上手たちによる、普段のごはんとおやつレシピ150超!

世界の人々が続ける食習慣は面白いほどに多様。
日本では朝昼晩の3回の食事も、昼を食べない国、朝から肉をガッツリ食べる国、断食のある国。また風土により、恵まれた食材が手に入る国、貧しい食材では反対に知恵を絞り、ひとつの食材から多くの料理を編み出す国などさまざま。
一般家庭にひと月ほどホームステイしない限り、分からないことはたくさんあります。

本書では、世界30か国のそれぞれの国の朝、昼、夜ごはんとおやつを紹介。
味の決め手となる調味料、それぞれの国の人々の食生活の知恵や食文化など、多様性をありのままに織り込み、読み物としても楽しめます。

世界30か国の朝、昼、夜ごはんから見えてくるその国の歴史と文化。
読んで、作って、旅するレシピブックです。

著者紹介

ニキズキッチン
発足は2000年。日本在住の外国人と日本人が、料理を通じて楽しく交流できる場を作りたいという、熱い思いからスタートした「料理教室」。世界各国の先生の自宅を訪問するスタイルで、日本にいながらショートホームスティできるユニークな場を提供している。これまでに世界65か国以上、250人もの先生が在籍。お料理を学びに来た生徒数は延べ25万人以上にも。現在、海外在住の先生によるZOOM教室、食材配送サービス付きオンライン教室、イベント出店など、その活動は多岐に渡り、多くのファンを持つ。

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