ヘルシー志向の高まりを受け、「太るし身体に良くない」というダーティーなイメージを持たれがちな砂糖。だけど優れた面だってちゃんとあります!それを見直そうということで、「さ(3)とう(10)」の語呂合わせから、「砂糖の日」が誕生したのです。
昨年、世界遺産に登録された「和食」。和食の魅力として、自然や旬を大事にしていることや栄養バランスの良さが多く語られますが、すべては“美味しい”っていう味の素晴らしさがあってこそ!ですよね。案外知られていないのですが、デザートを除くいわゆる「食事」となるメニューにおいて、「砂糖」という調味料を使うのは、和食ぐらい。フレンチやイタリアンなどの洋食では、あまり使われません。和食の味としては、醤油や味噌といった他国にはない調味料がクローズアップされがちですが、砂糖こそが素材を守り、風味を引き立たせる、影の立役者になっているのです。
すき焼きなど肉の煮込み料理は、割り下の味付けだけでは肉が硬くなってしまいます。煮込む前に肉に砂糖をもみ込んでおくと、肉自体の水分が保たれ、柔らかく食べられます。
干ししいたけやかんぴょうなどの乾物を水でもどすとき、砂糖をひとつまみ入れると水が食品の内部まで浸透しやすくなり、短時間でふっくらムラなくもどせます。
果物の砂糖漬けや羊羹が長期保存できるのは、カビや細菌が繁殖するために必要な水分を、砂糖がシャットアウトしているから。
魚や肉の照焼きは、砂糖が加熱することでアメ状になって照りができ、見た目にも香ばしく食欲そそる茶褐色の焼き色を作ります。
卵焼きを作るときに砂糖を入れると、沸騰する温度が高くなるため、「す」が入りにくく、ふっくら柔らかく仕上がります。
味ではないところでも、砂糖には意外な使い道がありました。
例えば、ハンバーグを作るとき挽肉を練ると、手が肉の脂でギトギトになり、石鹸で洗ってもなかなか一度ではスッキリ落ちてくれませんよね?そんなときは砂糖をひとつまみ手のひらにのせて、両手でザラザラとこすり合わせた後、水洗いしてください。びっくりするほど、さっぱり落ちますよ!これは、脂の成分【炭素・水素・酸素】と、砂糖の成分【炭素・水素・砂糖】が似ている親和性によるものなんだとか。
ダイエットの敵!と呼ばれ、カロリーオフの甘味料に居場所を奪われつつある「砂糖」。ただ甘いだけじゃない、秘めた実力を理解していただき、これからもキッチンにおいてやってくださいね。(TEXT:大河原裕美)