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コラム

【実験】ケーキの隣にリンゴを置くと甘くなるのかを試してみた

リンゴの隣にいるフルーツは甘くなる

「バナナやキウイフルーツを、リンゴと一緒に保存すると甘さが強くなる」というのは、あなたも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この現象は不思議ですよね。ところで、リンゴと一緒に保存すると甘くなるのはフルーツだけなのでしょうか。それとも、フルーツ以外の他の食べ物でも、リンゴによって甘くなることはありうるのでしょうか?調べてみました!

リンゴはケーキを甘くすることができるのか?

今回は、甘い物の代表物「ショートケーキ」を使って実験を行うことにしました。元々甘い味のケーキは、リンゴと一緒に保存すると更に甘くなるのかどうなのか!?気になるところですね!

ここで、食べ物の味を数値化してくれる味覚センサー「レオ」が登場!客観的に、食べ物に含まれる基本5味(旨味・塩味・甘味・酸味・苦味)を検証してくれます。

ケーキだけをタッパーに入れて保存した場合と、ケーキをリンゴと一緒にタッパーに入れて保存した場合を比較すると、味覚に違いがあることが明らかになりました!

驚きの実験結果が!

なんと、ケーキをリンゴと一緒に保存させると甘味の数値が高くなっていたのです!

0.2ポイント以上の差は「95%の人が違いが分かる水準」であり、有意な差だといえます。今回は甘味に0.2ポイント以上の差がありましたので、これは十分リンゴがケーキを甘くしたと言えるでしょう!

また、味覚センサー「レオ」のデータを元にコクの数値(味覚全体の強さの指標)を算出すると、ケーキをリンゴと一緒に保存した方が、コクの値が増していることがわかりました!

このように、ケーキをリンゴと一緒に保存すると、リンゴなしで保存する場合よりも甘味とコクが増すことが明らかになりました!フルーツ以外も甘くなるとは、とても面白い結果になりましたね。

リンゴと一緒に保存すると味覚が変化する理由

リンゴは、食物の中でも特にエチレンガスを多く発生し、そのエチレンガスには植物の熟成を促進する作用があります。そのためにフルーツは成熟が進んで甘くなるのです。ただし、ケーキが甘くなるメカニズムはちょっと違います。

ケーキが美味しくなくなる(劣化する)のは、時間が経ち、水分がなくなって乾燥し、甘味や酸味の成分が酸化することが原因だと考えられます。リンゴをケーキと一緒に保存することで、ケーキの乾燥を防ぎ(水分が補給され)、エチレンガスによりタッパーの中の空気(酸素)濃度が減ったため、酸化もしにくくなると考えられます。リンゴはケーキの劣化を防止してくれると言えますね。

これからは、1日で食べきれない量のケーキは、リンゴと一緒に保存してみてはいかがでしょうか!

著者:味博士

味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。

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