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コラム

火を使わず簡単♪子ども1人で完成できる「レンチンオムライス」【今日から始める親子クッキング vol.13】

子育て世代にとっては、やはり気になる「食育」。でも、何から始めればよいかわからない、という方も多いのでは? この連載では、子ども料理研究家・武田昌美さんに、子どもと一緒に料理を楽しむ方法と、料理を通して子どもが得られる成長について、わかりやすく解説してもらいます。日々の料理を親子のコミュニケーションの場に変えてくれる魔法のアドバイスをどうぞ♪

勤労感謝の日は何をする日?

早いものでもう11月。11月23日は勤労感謝の日です。子どもにとっては、「キンロウカンシャノヒ??」とちょっと難しい言葉かもしれませんが、ここで改めて働くことや日々の満ち足りた生活について感謝し、社会の仕組みについて考える機会を作ってみてはいかがでしょうか?

そもそも、勤労感謝の日は、新嘗祭(にいなめさい)と呼ばれる収穫祭が由来となっています。新嘗祭では、その年に無事に作物ができたことをお祝いし、その生産者に感謝をしていました。勤労感謝の日と制定された今では、生産を農作物に限定せず、多くの身の回りにあるものやサービスに感謝し、それを作り出す人々の勤労を讃え、感謝し合う日となっています。

さて、これをどう子どもに伝えよう?

まずは勤労感謝の日は何をする日なのか、そこから子どもたちと一緒に考えていきます。そこで、みんなのお仕事を知ることから始めよう、と決めました。我が家は食にまつわること好きなので、「八百屋さん」を足がかりに、一緒に考えてみます。せっかく考えるなら模造紙に書きながらわかりやすく。

最初に、「いつも行く八百屋さん、ここで働いている人は誰?」と聞くと、娘は元気よく「八百屋のおじさん!」。

次に、「ではこの八百屋さんの野菜は、どうしてここに並んで売られているのかな?」。5歳児年長さん、ここでちょっと回答に詰まります。今まで八百屋に野菜があるのは当たり前の事実で、それがどこからどうやって来てここに並んでいるかなんて、想像をしたこともなかった様子。

そこでヒントを与えます。「野菜はどこで採れるっけ?」「畑ー!」。これはわかった!

「では、その畑はどこにある?」
「〇〇公園に行く途中と、〇〇に行く道にある!」
「そこからどうやって持ってきたのかな?」
「歩いてだと、重いから……あっ!トラックだー!」
「そうだね。ところでこの野菜たち、八百屋さんが作ってると思う?」
「……?」

不思議顔の娘。当然のように、八百屋のおじさんが作っていると思っていたようです。

「スーパーの魚やお肉はスーパーの人が作ってるかな? 八百屋さんだって、日中お店で働いているから、その時間に畑に行って野菜のお世話なんてできないよね」
お野菜作る人がいて、その人が作ってる!」

……という具合に、質問を重ねていくと、八百屋一つとっても、そこに行き着くまでには商品を運ぶ仕事、作る仕事が存在することに子どもは気づきます。

時間があったらどんどん進めて、「お野菜にあげるお水は?」「スコップはどこで買う?」などなど、質問を広げていきましょう。たくさんの仕事が存在し、互いに助け合って社会が成り立っていることを、図にして一緒に書いていくと、子どももなるほどと納得してくれるはずです。

子ども1人で作れる「レンチンオムライス」

次は、買い手側にも移ります。

「ママたちがお買い物に行って、野菜を買うね。この時必要なものは何?」
「お金いーっぱい!」
「い、いっぱいはいらないけど(笑)、そうだね。お金が必要だね。ではこのお金はどこから来た?」
「パパのお仕事!」
「では、この野菜を買って、家で何をする?」
「お料理!」
「お料理は誰の仕事?」
私とママー!

普段料理をしている娘は、自分も社会の一員として働いている!という意識を持ったようです。

今日のレシピは、そんな娘もよく作っているオムライスのご紹介です。レンチンで卵を加熱するので、子ども1人で挑戦できます。

頑張って働いてくれている家族のために食事を作ることは、子どもにとっても自分の仕事や役割を実感できる良い機会になります。勤労感謝の日に、お子さんにトライしてみていただくのにオススメの料理ですよ。


日々の生活の中で子ども自身が「考える力」をつけていくには、小さい頃から親がしっかり本腰を入れて向き合わないと難しいもの。ですから、勤労感謝の日のように、考えるきっかけがあったらぜひ親子で話し合ってみてほしいと思います。

知識(調べたり聞いてすぐにわかるもの)を得るだけではなく、そこから一歩踏み込んで、「あなたの生活は誰のお仕事に支えられているか考えてみよう」というような、答えが一つとは限らない問いについて子ども自身に考えさせる経験を、ぜひたくさんさせてあげてください。

今の子どもたちが大人になった時に訪れているであろうAI時代、知識を得るだけだったら今よりさらに簡単に叶うようになっているはずです。そこで人間に問われるのは、仕入れた知識をもとに、いかに想像力を巡らせることができるかではないでしょうか。そのためにも、「考える力」を鍛えておくことが鍵になります。

勤労感謝の日、子どもの作ったオムライスを食べながら、仕事について、社会について、家族でぜひ話し合ってみてくださいね。

武田昌美(子ども料理研究家)
リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2017年より「ママも知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。
【HP】https://little-chef-cooking.com/(ご予約はこちらから)
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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