居酒屋で刺身を注文すると、当たり前のように一緒にでてくる醤油。 もちろん、醤油は美味しいです。日本の味の代表といってもいい、万能調味料です。ですが、なんでもかんでも醤油をつけていたら、全部醤油味になってしまいます。
マグロなどの赤身魚から、いか・たこ、貝類、白身魚まで。刺身盛り合わせを注文して、せっかく多様な魚介類の旨味が味わえると思ったら、全部醤油味…なんということでしょう。
特に白身魚は、醤油をつけると元の味がわかりにくくなります。
醤油の量を調整したとしても限界があります。魚の味の特徴をもっと味わいたいのに!どこだ!どこにあるのか?醤油よりも白身魚を美味しく食べれる調味料は!?
そんな食いしん坊な不満から、白身魚に合う調味料を探してみました。
ちなみに、高級割烹などでは、白身魚に合わせて「煎り酒」が出ることもあるんだとか。日本古来のさっぱりした調味料です。詳しくはこちらで。
今回は身近にある調味料で、白身魚と相性がいいものを探します。 人間の味覚だけでは、個人差や好みが出てしまうので、ここは味覚センサーレオに登場してもらいましょう。
味覚センサーレオで白身魚の刺身と調味料の相性を計測していきます。
白身魚と醤油、味覚センサーで計測するとこんな感じ。旨味と塩味が強く、酸味もそこそこあります。醤油は旨味と塩味が突出しています。あっさりとした旨味と塩味、甘味が白身魚の特徴。醤油はすべて上書きしてしまっていそうです。
醤油に代わる調味料としてポン酢はいかがでしょうか。みんな大好きポン酢! 醤油をかけたときと比べると、旨味と塩味が控えめになって、酸味が増します。現在流通しているポン酢は柑橘果汁と醤油をかけ合わせたものがほとんど。さっぱりした醤油といった印象です。さっぱりしたものが好きな方にいいかもしれません。
さらに酸味が好きなかたのために、塩とレモン果汁でも計測してみました。 酸味がぐっと高まります。醤油のように旨味が無い調味料でも、旨味の数値が思ったより減らないのは、おそらく魚の旨味を塩が引き出していると予想されます。適度な塩分があったほうが旨味は強く感じられるのです。
そして最後はちょっと洋風に。塩とオリーブオイル。カルパッチョみたいでとっても美味しいです。旨味と塩味のバランスがしっかりとれ、少々の酸味と苦味のバランスがそれぞれきいています。柑橘の酸味が苦手な方の救世主かも!?
とはいえ、結局醤油、美味しいんですよね。
というわけで、味覚センサーレオで計測した数値をもとに、白身魚と相性がいい調味料ランキングを作成しました。
1位 ポン酢 相性度 98.0%
2位 塩+オリーブオイル 相性度 97.8%
3位 塩+レモン 相性度 96.9%
4位 醤油 相性度 96.3%
ランキングにはしましたが、どの調味料もかなりの高得点。白身魚との相性はバッチリです。
醤油にとってかわるものを!と息巻いて調査スタートしたものの、 そうなんです、醤油も相性いいんです。醤油は旨味と塩味が突出しているので、どんな素材と合わせても味覚のバランスを取りやすいです。白身魚とももちろん合います。やっぱり醤油強い!日本人のDNAに深く刻み込まれているだけある!
みんな違ってみんないい。どれをかけても、まぁ失敗はないからお好みで選んでくださいね。というなんともスッキリしない結果に。醤油、攻撃しちゃってごめんね。
さりとて、白身魚のお刺身にかけるもののバリエーションが広がりました! 食卓に並ぶ他の料理との兼ね合いもありますし、同じ素材で調理法が多種多様にあると便利です。いろいろ試してみてくださいね。
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。