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コラム

人生を変えた!?管理栄養士・藤橋ひとみさんに聞いた「おから」はタカラ【プロの日々ごはんVol.16】

料理のプロたちの普段の食卓をご紹介する連載『プロの日々ごはん』。今回は、豆腐マイスターとしても活躍中の管理栄養士・藤橋ひとみさんにお話を伺いました。メディアや講座などを通して、大豆の魅力を伝える活動を行なっている藤橋さん。ダイエットや美容効果を高める食材として注目が集まっている「おから」について、その活用法やおすすめレシピなどを聞いてみました。

おからとの出会いが人生を変えた!

私がおからや豆腐などの大豆製品を積極的に食べ始めたのは、今から約10年前、上京して1年くらい経ったときでした。一人暮らしを始めて忙しくなり、食生活が乱れてしまったことで、突然、全身にアトピー症状が出てしまったんです。掻き傷も多く、全身血だらけ。病院の薬を塗っても全然治らなくて、気持ちもどんどん暗くなってしまって…。

そんなとき知り合いに「食で内側からきれいにする」という食養生の考え方を教えてもらったんです。腸と免疫は大きく関係しているということで、まずは腸をきれいにするために肉、魚、卵、乳製品を抜いた植物性中心の食事に切り替えていきました。でも、それでは健康的な肌を作るための「たんぱく質」が不足してしまう…ということで、大豆製品でそれを補うことにしたんです。そうしたら、みるみるアトピーの症状が改善していきました。そういう意味で、大豆は私の人生の恩人なんです。

おからは「タカラ」。いいことがいっぱいあるんです

大豆製品の中でも「おから」は食物繊維の宝庫。食物繊維って生活習慣病の予防や腸内環境の改善につながったり、心のモヤモヤや肌荒れ、便秘など、心身のトラブルも良くなるといわれています。なのに、おからを食べている人って少ないですよね? もしかしたら、それってあまり活用法を知らないからではないかと思って、その魅力を伝える活動を始めました。

混ぜるだけ、かけるだけでOK

食物繊維が豊富という以外にも、おからのいいところはたくさんあって、実は安価で手に入れやすく、卯の花以外にもいろいろな料理に使えるんです。おからパウダーならそのまま使うこともできますし、普段の料理に“ちょい足し”するだけで食物繊維を効率良く摂れます。日常的に摂取するなら、「混ぜる」と「かける」の2つの方法が取り入れやすいですよ。

1:混ぜる

おからは味がないので料理の邪魔をしません。そのため、ひき肉料理やポテトサラダのような料理に入れるとおからを入れていることがわからないくらい自然に食物繊維を摂取することができます。おからのパサパサした食感が苦手という人も多いので、そういうパサパサ感が出ない料理に混ぜていくと違和感なく使えると思います。

2:かける

生おからは炒ったり加熱してから使いますが、パウダーはそのまま飲み物に入れたり、ごはんにかけたり、味噌汁に入れて使うことができます。特に発酵食品との相性が良く、ヨーグルトにかけると腸活の効果を高めてくれますよ。

また、食物繊維はバランスを崩さないように摂取することがとても大事。食物繊維には水溶性と不溶性があって、水溶性は腸に入ると便をやわらかくしてくれて、不溶性は便をかためてくれる働きがあります。おからは不溶性のほう。そのため、おからをたくさん食べるときは、水溶性の食物繊維を多く含むお芋や海藻、果物と一緒に食べることをおすすめします。

おからの7割は捨てられている

おからってこんなに便利ですてきな食材なのに、毎年7割くらいが産業廃棄物として捨てられてしまっているんです。おからは単なる大豆の“搾りかす”ではなく、日本人にとって必要な食物繊維がたくさん含まれているのに、それをただ捨てているってもったいないですよね。

今、全国のお豆腐店の数も年々減ってきていますが、おからを食べることでお豆腐やさんも元気になり、私たちも健康になる。おからはとてもいいことづくしなので、ぜひ毎日の食事に活用していただけたらいいなと思います。

藤橋ひとみさんの最新著書

『おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ』(ベストセラーズ

本書には、約50以上のおからレシピが掲載されており、活用するうえで知って損はない豆知識も紹介されています。さらにページをめくっていくと、そこにはかわいいイラストが! 「おからの種類や保存法などはもちろん、おからがなぜ身体にいいのか知っていただいたほうが毎日の食事に取り入れやすいと思ったので、使うべき理由やおからの栄養の説明のページも作りました。」(藤橋さん)

撮影 柿崎真子、スタイリング 平沼亜由美

さらにおすすめのおからレシピについて伺ったところ、「『カレー粉を使ったレモンチャーハン』は、材料も少なくすむのでおすすめです。ごはん、おから、卵を混ぜてウインナーなどの具材と一緒に炒めるだけ。卵におからが溶けてくれるので、おからのポソポソ感が気になりません。カレー味なのでお子さんも食べやすいと思います。」(藤橋さん)

撮影 柿崎真子、スタイリング 平沼亜由美

忙しいクックパッド読者におすすめのおやつは、『おからの白玉団子』。「おからを白玉粉と豆腐と合わせるだけなのでとってもヘルシーで作るのも簡単。最近は子どもの便秘も話題になっているので、お子さんのおやつにもおからを使っていただけるといいなと思います」(藤橋さん)

このほか、ナシゴレンやケフタなど、世界各国の料理とおからのコラボレシピも必見です!「今回ご紹介しているレシピは旅先で出会ったメニューが多く、ケフタのレシピはモロッコに行ったときに思いつきました。おからというと和食というイメージがありますけど、いろいろな雰囲気の料理に活用できればいいなという思いで考えました」(藤橋さん)

新型コロナウイルス感染予防対策として、免疫力を高める食品に注目が集まっている今。「おから」を毎日の食事に取り入れて腸内環境を良くし、免疫力を高めていきましょう。

管理栄養士 藤橋ひとみ(ふじはし・ひとみ)

フリーランス管理栄養士として、商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。大のお豆腐好きが高じて、豆腐マイスターの認定座学講師として、国内外で日本の豆腐の魅力を伝える活動をしているなかで、その原料である大豆自体への興味が深まり、大豆関連の資格の制覇を目指し、学びを深めている。
近年は特に、豆腐を作る際に同時にできる「おから」に注目し、日本人に必要な食物繊維の宝庫でもある「おから」を、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。

●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスター、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、ほか

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