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【#自宅より愛をこめて】こんな時こそ家庭で「食育」 子どもと一緒に料理をする時にイライラしないコツ

クックパッドニュース編集部

日本No.1レシピサイト「クックパッド」編集部

新型コロナウイルスの収束が見通せない中、自宅で過ごす時間が増えている子どもたちと一緒にキッチンに立つという親も少なくないだろう。そこで、“EduCooking (教育×料理)”を提唱する「食育オタク」の子ども料理研究家・武田昌美氏に、こんな時だからこそ得られる料理を通した子どもの学びと、親が子どもと一緒に料理をする時にイライラしないコツについて聞いた。

本来なら学校や幼稚園に行っているはずのこの時期、お子さんにドリルなどのお勉強をしっかりやらせなくては!と焦りがちですが、私はこのおうち時間で、忙しい時にはなかなか挑戦できなかった「親子料理」をぜひ楽しんでみてほしいと願っています。

親子で一緒に料理するのは確かに面倒だし、大変かもしれませんが、それでも料理の体験は子どもの心をぐーんと成長させてくれるものです。

そこで今回は、今だからこそできる料理を通じた子どもの学びについてお話ししたいと思います。

子どもも「自分が作った料理」を家族が食べてくれると嬉しい

緊急事態宣言が出されて以降、多くのご家庭で家族全員が家ごもり状態になりました。自宅で仕事をしながら子育てをして、しかも家事に加えて1日3食家族のご飯を作らなくてはならない……そんな状況の親御さんも多いのではないでしょうか?

我が家もまさしくその状態。この春に新1年生になった6歳児と新幼稚園児になった3歳児は、新しい門出を心待ちにしながら、家の中で怪獣のように大暴れ(笑)。そんな2人を横目に、「一緒に遊べなくてごめんね」と思いながらも、やっぱり仕事をしてしまいます。

フツフツと重くのしかかる罪悪感を少しでも解消するために、私はお昼ご飯やおやつを子どもと一緒に作っています。

一緒に作ると言っても、作るのは子どもたちで、私はそれを見ているだけです。作るメニューは、とっても簡単なステップで出来上がるもの。例えば、レンチンだけで完了するオムライスや、混ぜて焼くだけでサクサクに仕上がるスコーンなどです。

やはり自分の作った料理を家族が食べてくれるのは嬉しいようで、子どもは夜眠りにつく直前まで「あのお菓子おいしかった? また作ってあげるね」と、それは満足そうに話しながら目を閉じます。公園に行ったりもできないので、私は料理でコミュニケーションを取りながら子どもの生活の満足度をちょっとでも上げてあげられたらと思っています。

料理を通して体験する「失敗は成功の一歩前」

さて、私が常々、料理を通じて子どもに伝えていきたいと思っているのは、「失敗は成功の一歩前」という考え方です。一緒にお料理をしながら、さまざまな失敗や、それを経て成功にたどり着く経験をたくさんしてもらう。そこから得た学びは、子どもがこれから生きていく上で重要な教訓になるはずだと思っています。

この思いがけず長い時間を自宅で一緒に過ごすことになった今、お勉強はもちろん大事ですが、お子さんの“生きる力”を育てる取り組みを、お料理を通してトライしてみるのはいかがでしょうか?

私が運営するクッキングスクールでは、毎回レッスンを開始する前、みんなに「失敗しても大丈夫! なぜなら失敗は、次に成功するための1歩前にいるってだけのことだから」と呼びかけています。初めは何のことやらよく分からない、という顔をしている子どもたちも、次第に実体験を通じてみんな腹落ちしていきます。

ある日、クッキングスクールでお稲荷さんを作った時のこと。参加してくれた3歳の男の子は、一生懸命に頑張ったもののうまくいかず、油揚げはぐちゃぐちゃに……。そこで、「油揚げ、小さくなったから、もっと小さくちぎってご飯に混ぜて、混ぜご飯を作ってみるのはどうかな?」と提案すると、とってもおいしそうな、その子だけの特製混ぜご飯が完成しました。

ほかの子たちも「それもいいね! おいしそう!」と口々に褒めてくれるので、男の子は誇らしげな笑顔に。「油揚げは破けちゃったけど、その失敗を活かしたら、なんと特製混ぜご飯が出来上がりました!」とみんなに話すと、子どもたちも「ほんとだ! 失敗が変身した!」と嬉しそうに納得していました。

子どもはお料理をする時に、しょっちゅう失敗します。しかもその失敗は、簡単にリカバリーできるものだったり、ちょっと練習すればすぐに上達できるものばかりです。

卵を割るのも、初めから器用にこなす子なんてほとんどいません。卵を強い力で握ってぐちゃっと粉々になるか、コツンコツン慎重にやりすぎて永遠に割れる気配が訪れなかったり……。でも、その子たちは次も同じかといったら、必ず進歩しています。そしてこちらも驚くほどあっという間に、綺麗にぱかっと卵を割れるようになります。

たとえ料理をする中で失敗したとしても、「失敗は成功の一歩前」を合言葉に料理を続けること。こうすることで、親子ともに前向きな楽しい時間を過ごせると信じています。

親子で料理する時にイライラしないための2つのコツ

そうはいっても、一緒にお料理するなんて、キッチンも汚れるし、一人でやる方が断然早いし、理想と現実は違うのよね……と思われる方がたくさんいらっしゃるのもよくわかります。なので、少しでも親御さんの負担が軽くなるヒントをお伝えさせてください。

1つ目は、親子で料理するときのポイントは、完成形ではなく、プロセスを一番重視するということ。

綺麗なものを作ろう、おいしいものを作ろう、と考えると、どうしても子どものやり方を否定してしまいがちです。子どもは自由にやりたい。一方で、親は綺麗に仕上げさせてあげたい。両者のゴールが異なると、喧嘩の原因になってしまいます。やると決めたら大人は腹をくくって、子どもがお料理を楽しんでいる、もうこの事実だけで充分としてください。

2つ目は、兄弟で一緒に行う場合は、できる限り1人に1セットずつ材料や器具を用意してあげること。

まな板が2枚なければ、牛乳パックを開いたものでOKです。ボウルと泡立て器が人数分なくとも、ジップロックがあればそこに材料を入れて袋ごと手でもんで混ぜるやり方でも十分代用できます。

大切なのは、自分のものを1人で作り上げられる環境を整えてあげることです。2人で1つのものを使うスタイルだと、これは誰が混ぜるのか?弟の方が1回多かった!などなど、想像しただけで泣けてくる状況が起こります。1人に1セットを用意する、このひと手間で親の精神的な負担はグッと減りますよ。

社会という荒波に出た時、どんなピンチに境遇しても、「大丈夫。ここから必ずもっといい考えが浮かぶ」と、常に前向きに物事を捉えられるように、小さい頃から失敗を活かす方法を考える癖をつけておくことは、とても大事だと私は考えています。

状況がどんなに最悪でも、そこで文句を言いながら境遇や人のせいにして諦めるのではなく、ピンチをチャンスに変える方法を必死に探して勇気を出して行動する。失敗したって何度でも立ち上がる。そんなたくましい心を持った人間に成長してほしいものです。

私は、コロナ禍の今だからこそ、「失敗は成功の一歩前」の精神を耳にタコができるほど言い聞かせてあげたいのです。なぜならその考え方が、子どもたち自身の未来を創ると信じているから。

「#自宅より愛をこめて」

本記事は、Yahoo!ニュースとの共同連載企画です。新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増えています。クックパッドニュースとYahoo!ニュースでは、さまざまなジャンルの「食オタク」たちから、今こそ使える“自炊の知恵”を学ぶ連載を不定期で配信。おうち時間を楽しく、有意義に過ごすためのヒントを探ります。

武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。「家族も知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。幼児にとっての学びとは、「好きの芽」を親子でとことん探すことが大切だという思いから、料理の中で生じるさまざまな場面で子どもの「好き」を見つけることに徹底的にこだわっている。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。保有資格は、食育インストラクター、子供心理カウンセラー、フードコーディネーター。クックパッドニュースのオフィシャルコラムニストとして、『料理で子どもの好きを見つける』を連載中。
【HP】https://little-chef-cooking.com/
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【YouTube】リトルシェフクッキング
【クックパッド】武田昌美のキッチン

執筆者情報

クックパッドニュース編集部

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