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コラム

その方法で大丈夫?食中毒を防ぐための衛生的な「調理道具」の使い方

家で料理をする機会が増えた今、身近に潜む「食中毒」についての認識を深め、しっかり対策をしましょう。今回は、調理器具のうち、まな板や包丁などを中心に衛生的な使い方&洗い方や殺菌方法などのお手入れ方法を紹介します。

衛生的な調理器具の使い方

基本的にまな板や包丁などの調理道具は、肉、魚、野菜などの食材ごとに使い分けるのがベスト。しかし、ご家庭で食材ごとに道具を用意するのはなかなか難しいですよね。その場合は、使うたびに洗浄・消毒をするようにしましょう。1日の最後には洗浄後にしっかり乾燥させます。

食材を切る順番も意識する

自然界には多くの微生物がいます。言い換えるならば、農場や漁場でとれる食材には、さまざまな菌が存在しているため、 食中毒を防ぐためには、まずそれらの菌を料理に「つけない」ことが大切です。食材を切る際には、以下のように汚染度の低いものから切っていきましょう。

【1】加熱済みの食品⇒【2】生食用野菜⇒【3】加熱用野菜⇒【4】肉・魚

生肉や生魚を切った包丁やまな板で生野菜や果物を切ると、肉や魚が持っている菌が次に切る食材に移り、食中毒を起こすことがあります。切るものが変わるたびに、包丁・まな板・手指を洗浄消毒しましょう。

また、水が張れるシンク(流し槽)は何かと便利ですが、シンクは菌などで汚染されがちです。生食用野菜の洗浄はシンクで直接洗浄・漬け込みするのはやめ、必ずザル・ボウルを使ってください。

さらに、加熱してあれば何をしても安全だと思っている方がいますが、洗浄消毒不十分な手指や包丁・まな板などの器具によって調理済みの食品が二次汚染することがあります。また、加熱前の生肉も加熱した肉やハムなどの食肉製品も「肉」と誤解している方もいて、生肉を切った包丁・まな板で加熱した肉やハムなどの食肉製品を切り、汚染させているケースがあります。

肉を切ったまな板では・包丁・手指は必ずしっかり洗浄してから加熱後の肉やハムを切ってください。さらに言うなら、そのまま口に入る加熱済み食品・ハムなどの食肉製品を先に切ってから、生の原材料を切りましょう。ここでも切るものが変わる都度、手指や器具を洗浄消毒する、切る順番を守る、の原則は同じです。

調理器具の正しい洗い方

使用後の調理器具には生の食材からさまざまな菌が付着していますので、まずは洗浄し、消毒・乾燥します。

熱湯消毒の場合

いきなり熱湯をかけると、器具に付着したたんぱく質やでんぷんが固まって落ちにくくなってしまうため、最初はたわしや目の粗いスポンジで表面の汚れを水で落としましょう。その後、中性洗剤でこすり洗いしてから熱湯をかけて消毒。その際、必ずきれいなお湯を使ってください。

まれに野菜のゆで汁をかける方がいますが、ゆで汁には有機物が溶け込んでいるため逆効果になってしまいます。熱湯消毒後はしっかり乾燥させます。

消毒液を使う場合

器具類の汚れを落としたあとに、所定の濃度に希釈した塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム希釈液)を使います。希釈方法は容器に書いてあります。10分~5分浸けた後、流水や熱湯ですすぎ、乾燥させます。大型のまな板などは次亜塩素酸ナトリウム希釈液を浸した清潔なふきんで10分程度覆う方法もあります。

アルコールで消毒を行う場合は、器具類の洗浄ののち、水気を拭き取り、器具が乾いてから使用しましょう。水分が残っていると、アルコールが薄まって効果が落ちてしまいます。また、噴霧後も放置せずに、必ずペーパーや清潔なふきんでふき取りましょう。

ここにも注意!

まな板

木のまな板の場合、プラスチックのものよりも水分を含みやすく、菌が繁殖するリスクが高まります。洗浄・消毒する際は、プラスチック製のものより時間をかけましょう。

まな板の殺菌・消毒がうまくいっていないと、表面や側面が黒や赤色になることがあります。それは細菌や黒カビが増えている証拠。色がつくのは一種の警告だと思ってください。その場合は、次亜塩素酸ナトリウム希釈液でしっかり消毒しましょう。

まな板に傷が深く入っている場合は、新しいものと交換するのがおすすめです。木製であれば表面をカンナで削る、などの方法もあります。

包丁

持ち手が木製の包丁は、刃の素材と柄の接続部分に水が溜まりやすく菌が繁殖しやすいため、ていねいに洗浄し、1日の最後には熱湯をかけ、乾燥させます。

スポンジやふきんも洗浄・消毒が大事

食材に直接触れるまな板や包丁などの調理器具だけでなく、消毒・洗浄の際に使うスポンジやふきんの取り扱いにも注意しましょう。水分を含んだままのスポンジは菌が繁殖しやすく、そのスポンジで調理器具を洗うことで、二次汚染が起こる可能性があります。

スポンジの洗い方

器具や食器を洗った後に放置しておくと菌が繁殖してしまうため、使用後は流水で揉み洗いし、スポンジ内の洗剤を洗い流しましょう。そして、しっかり水を切り、風当たりのよいところにつるして乾かします。

ふきんの洗い方

台所用の中性洗剤でよく洗い、次亜塩素酸ナトリウム希釈液に浸けるか、煮沸消毒した後によく乾燥させます。

吸湿性の高い木綿やタオルの素材のものは菌が繊維の中に入りこみやすく、落ちにくいため、不織布の素材を選ぶなど注意が必要です。スポンジと同じく、洗った後の乾燥は徹底しましょう。汚れがついたら、すぐに洗うか 、新しいものに交換を。スポンジやふきんは何組か用意しておき、干す日と使う日を分けるなどの工夫をするとよいでしょう。

(TEXT:河野友美子)

監修:公益社団法人日本食品衛生協会

飲食物が原因となって起こる食中毒などの健康被害を防止し、消費者の健康を守るため、食品等事業者に正しい食品衛生の知識を広めることを目的として、地域の保健所や食品製造業や飲食店等の人々と協力し、 食の安全を守るための活動を行っています。
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