【テーブルセッティングのコツ vol.1】撮影でお皿を選び、料理をより魅力的に演出するフードスタイリスト・岡本ゆかこさんに「テーブルセッティングのコツ」をご紹介していただきます。おうちごはんがもっとおいしく見えて、たのしい食卓に近づけるようなアイデア満載です!
初めまして、フードスタイリストの岡本ゆかこです。料理撮影などで、お皿を選び、料理を盛ったり、料理がより魅力的になるよう演出するのが主な仕事です。
昨年からさらに自炊する機会が増えている今、「食卓が何となくマンネリ気味なんだよな…」という方に、ぜひご紹介したいのが「テーブルセッティング」。
言葉だけ聞くと、「気合いを入れて、アイテムを揃えるのはちょっと……」「ひなまつりやクリスマスなど、ハレの日限定なのでは?」と思われがち。ですが、いつものごはんもうつわと料理の関係を少し意識して変えてみたり、ワンアイテムを足すだけで、さらにたのしい食卓へ変身させることができますよ。
この連載では、初めての方もラフにチャレンジできるようなテーブルセッティングのコツをお伝えしていきます。初回は「お皿の印象と料理の関係」についてです。
なんでテーブルセッティングなのにお皿?と思われる方もいらっしゃると思うのですが、普段何気なく使っていてるからこそ、覚えておきたいポイントがいくつかあるのでご紹介しますね。
お皿は素材別で、大きく分けて「磁器」と「陶器」に分かれます。
「磁器」は、どのお家でも見たことがある、少しツヤ感のあるお皿のこと。釉薬をかけ、焼成することで器の表面に薄いガラスをまとったような光沢が生まれ、表面は滑らかになります。強度が高く、電子レンジ加熱や食洗機に入れて使えるものが多いので、世界中で多くの方に使われています。
ぽってりとした質感の「陶器」はお茶碗・湯呑み・土鍋などで多く見られます。表面に釉薬と呼ばれるうわぐすりをかけて焼いていますが、土の粒子が粗いものが多いので、磁器に比べ、やわらかいので欠けやすく、取り扱いを間違えるとシミになることも…。しかし、表情がある和食器は独特の良さがあり、やさしい雰囲気がでます。
それぞれのお皿、どの料理に使われているか思い浮かびますか? 「磁器」は洋食や中華料理、「陶器」は和食がおいしい定食屋で見かけたことがあるな…など、日常のどこで見たか思い出してみる、それが料理とお皿をうまく組み合わす原点なのです。
お皿の印象は人間と同じでそれぞれ違います。洋服が合う人もいれば、着物が合う人もいる…と、同じようにお皿がもつ印象もそれぞれ違うので、それを軸に料理を選ぶと、2つがうまく繋がります。
例えば、洋食器に和食を盛ると、少しチグハグに見えることが多いのは、お皿の印象が料理の雰囲気と合わず、違和感を感じるからです。そういう意味では北欧ブランドのお皿は、和食・洋食どちらにもお皿の印象が馴染みやすく、人気が高いですね。
お皿と料理を上手く繋げるコツがわかったところで、次に考えたいのは食卓に並べる「お皿の組み合わせ」についてです。
この辺りは服選びと似ているかもしれません。食卓に並べるお皿の組み合わせを考えるとき、一番面積をとるメイン料理は万能な白、小皿に色や柄ものをアクセントに取り入れることを意識すると、アレンジもしやすくおすすめです。
また、直径21センチ程度のできるだけフラットなお皿も持っていると万能です。ごはんとおかずを盛るだけでもサマになります。少し慣れてきたら、豆皿やスープカップなどを重ねてカフェ風のワンプレートを楽しむのもいいですね。
例えば、ガラスボウルにフルーツやサラダを入れて、トーストと一緒にフラットなお皿に盛るだけでも、いつもと違う雰囲気になります。カフェのワンプレートが素敵に見えるのは、上手にバランス良くお皿を重ねて使われているからです。参考にしてみると良いですよ。
私のおすすめは、北欧食器以外にも、和洋問わず使えるのが半磁器のようなツヤを抑えた「マットな質感のフラットな和食器」です。例えば日本の作山窯などは陶器なのに洋食器のような印象で、いろんな料理に合わせやすいお皿を扱っていますよ。
アフタヌーンティー・ティールームに勤務後、海外の食文化を学びにサンフランシスコへ。キッチンツール会社にて店舗ディレクション・スタイリング・企画を担当。フードコーディネーターアシスタントを経て独立。著書に『並べて焼くだけ! グリラーレシピ: 電子レンジ・オーブン・直火もOK 肉・魚・野菜がふっくらほくほく』『おうちで作るアイスケーキ』(河出書房新社)がある。
【公式HP】https://www.okamoto-yukako.com/
【Instagram】@okamoto.yukako
※2021年2月24日に記事内容の一部を訂正・変更致しました。