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コラム

1枚あると便利!準備や片付けが手軽な「ワンプレート」のすすめ

【プロがすすめるキッチンアイテム Vol.1】食卓を鮮やかに彩るうつわ、質の良いこだわりの料理道具や調味料などの食材。毎日の料理を楽しくしてくれるようなお気に入りのアイテムを持ってみたいと思うものの、どれをチョイスすればいいのか迷ってしまいますよね。そこで、素敵なうつわ・料理道具・食材をその手で生み出しているクリエイターさんたちに、おすすめの品とその楽しみ方をお聞きしました。第一回となる今回は、愛知県瀬戸市の窯元である喜多窯 霞仙/KASENの12代当主・加藤裕重さんにお話を伺いました。

出番が多くなる「うつわ」選びのコツ

−−加藤さんは、江戸時代から360年続く窯元でうつわ作りをされているんですね。うつわ初心者にもおすすめのうつわはありますか?

使い勝手が良いのは、ワンプレートとして使えるうつわです。ワンプレートなら準備や片付けが手軽にできますし、登場させるシーンも多くおすすめですよ。特にサイズは8寸(24cm)ぐらいで少し深さもあるものなら、汁けのあるメニューも盛り付けることができるので便利だと思います。

−−ご自身でもワンプレートのうつわは使いますか?

よく使いますね。うつわ作りの作業中に手早くランチを食べる時などはワンプレートにしています。ランチなら季節のパスタを盛り付けたり、夏は和風の麺類をのせて使っています。

特に出番が多いのは菊皿ですね。8寸のサイズでフラットな部分が多ければ、小さなうつわを乗せて漬物やデザートなどの味の違うメニューを乗せることもできますよ。

菊の花弁が再現された美しい菊皿。使うと食卓が華やかに

うつわを選ぶときに迷ったら、そのうつわにのせる料理が3通り以上頭に浮かんだら出番は必ず多くなりますよ

副菜におすすめのうつわ

−−では、副菜のうつわはどういうものがおすすめでしょうか?

もう一品といった時に使いやすいのは、鍋料理の取り皿としてよく使われているとん水サイズ(14cm)の小鉢でしょうか。ランチョンマットやトレイにもバランスよく乗せられて、少し深みがあることで容量も充分です。

鍋の取り皿だけではなく、サラダ、和え物、スープなどの副菜からお菓子まで、乗せるものを選ばず使えるシーンが多いこともおすすめの理由ですね。

−−このデザインは和食にも洋食にも合いそうですね!

これはシノギ小鉢と言って、うつわの口元を折り返して丸く作る玉縁(たまぶち)という制作技法が使われています。

見た目は重そうでも持ってみると軽いのが特徴なんです。そして口先が尖っていないので、多少乱暴に使ってもチップ欠けが少なく、重ねやすい作りにしています。

胴の部分はシノギ技法で薄く削り落としているのでさらに軽くなっています。陶器の特徴である温かみを生かしつつ、毎日活躍する万能な器で人気がありますね。

うつわの色選びで迷ったら…

−−加藤さんの作るうつわはカラフルな色合いがとても素敵です。うつわ選びで色も悩むポイントの一つですが、おすすめ色はありますか?

愛知県の瀬戸という焼き物の歴史ある産地で育った私としては、伝統の素材を生かした淡いブルーの色味が特徴の御深井(おふけ)、そして黒褐色で食卓が引き締まる古瀬戸(こせと)がおすすめです。

どちらも昔からある代表的な色味ですが、若い世代にも好まれていますね。

伝統的な色味でありながら、現代の食卓にもスッと馴染む御深井のうつわ

盛り付けるものを選ばず、大人っぽい古瀬戸の色味

焼き物の色は色付けに使う薬品の釉薬(ゆうやく)だけでなく、土と焼き方によっても様々な表情を見せてくれます。

一つひとつ心を込めて手仕事で作っているので、色の濃淡は個体差がありますが、量産品とは違った風合いを目指して作っているので、その辺りも見比べて選んでもらうと面白いかもしれません。

あと、同じ形のものを複数購入する時には色違いをおすすめしています。うつわの色によってお料理の見え方が変わることも楽しんでほしいですね!

−−加藤さんは多種多様なうつわを作る際、どのようなことを心がけていらっしゃいますか?

うつわを買ってくれた人にたくさん使ってもらうにはどうしたらいいか、使うシーンを想像しながら作ることを心がけていますね。

以前に比べて日本人の普段の食生活は洋風化してきて、お箸だけでなくナイフ、フォークも使うようになりましたよね。手に持って口元へ運んで箸を使って食べるうつわなのか、テーブルに置いたままで使ううつわなのか。手にするものは軽さも重要ですし、普段づかいとしては重ねやすさ、そしてもちろんお料理を盛り付けた時の美しさも考えます。

加藤さんの窯元が江戸時代の初めから作ってきた伝統の和食、懐石のうつわのシリーズ。色味も形も素敵

結局、うつわは料理をのせてなんぼなんですよね。使ってもらうことに意味がある。北大路魯山人の“器は料理の着物である”という言葉を常に意識してうつわ作りをしています。

(TEXT:小菅さちえ)

加藤裕重さん

1959年生まれ。大学卒業後、家業の喜多窯 霞仙に入り祖父・父に師事。 1998年喜多窯十二代当主を受け継ぐ。2007年現工房を(株)霞仙として法人化。海外からの滞在型体験の受け入れや世界各地で日本の陶芸技法のワークショップを開催。国内各地での展覧会では“料理と器”の写真とともに展示を行っている。著書に技法書として『やきもの入門』(辰巳出版)がある。作品制作だけでなく現在は大学講師やOnlineでの海外向け講座で日本の陶芸やそれにまつわる文化を解かりやすく指導している。趣味は工房横の家庭菜園と音楽を聴いたり奏でること。

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