【ドキュメンタリーレストラン ゼロ vol.2】出張料理人・ソウダルアさんが、日本中で日々失われていく食材をメインに据えたコース料理を考案し、そのレシピをお届けします。連載第2回目のテーマは、「レモン」のフルコース。旬の香りを味わい尽くす全9レシピをご堪能ください。
夏のイメージが強いレモンですが、日本産は実は今が旬。
さまざまなロスに取り組んでゆくレストラン ゼロの意識には、エネルギーロスというものもあります。
輸出入には多大なエネルギーコストがかかりますので、まず、身近にあるものの旬を知り、それらをおいしくいただくこと。実はそんなシンプルなところにこそ、世界をやさしくするヒントがあったりします。
梅しごとも随分盛んになってきたので、今年は「レモンしごと」をご提案します。
まずは漬け込んでおけばできあがる、この3つをつくります。
いずれも日持ちがする上に活用の幅も広い、まさにレモンの“三種の神器”です。
レモン 4〜6個
塩 レモンに対して15%(多少前後してもOK)
1. レモンをいちょう切りにし、塩をかけ混ぜ合わせる。
2. 1日に1度、かき混ぜる。1週間ほどで完成。冷蔵庫に入れておけば1カ月は大丈夫です。
レモン 2〜3個
蜂蜜 レモンが浸る程度
カルダモン 4〜6個
シナモンスティック 2本
1. レモンを薄めにスライスして、短めに折ったシナモンスティックとカルダモンと混ぜ合わせる。
2. 蜂蜜を注げば完成。
レモン 2〜3個
ミント 1つかみ
タイム 1束
ローズマリー 1本
ウォッカ 500cc
1. レモンを薄めの半月切りにして、ほかの素材と合わせる。
2. 3日目くらいから飲めますので、日ごとの変化を愉しんでください。ホワイトラムでつくってもOK。
さて、“三種の神器”の仕込みでレモンしごとを終えたら、塩レモンやレモン蜂蜜をつかった料理を楽しんでいきましょう。6品のおすすめレシピをご紹介します。
リングイネ(スパゲッティでも可) 100g
塩レモン 大さじ2杯
生クリーム 50cc
オリーブオイル 小さじ1杯
粉チーズ 大さじ2杯
1. パスタを茹でる。
2. パスタを茹でている間に塩レモンをみじん切りにして、フライパンにオリーブオイルと一緒に入れ、弱火であたためる。
3. 茹で上がったパスタを入れ、弱火のまま混ぜ合わせる。
4. 少し煮詰まり、ソースがパスタに絡んできたら、お皿に取り、粉チーズをかければ完成。
新じゃが 3〜4個
ゴルゴンゾーラドルチェ 20g
レモン蜂蜜 大さじ1杯
漬けこまれたレモン 2枚
黒胡椒 適宜
1. 新じゃがを好みの固さで茹であげ、一口サイズにカットする。
2. ゴルゴンゾーラ、レモン、黒胡椒をあしらって完成。
かぼちゃ 1/2個
塩レモン 大さじ2杯
水 100cc
1. かぼちゃを大きめの乱切りにする。
2. フライパンに水、塩レモン、かぼちゃを入れ、蓋をして弱火で15分ほどふかせば完成。
※お好みでレモン蜂蜜をかけてもOK。
鶏もも肉 1枚
米 1合
塩レモン 大さじ1杯
サフラン 耳かき1杯分程度
1. 鶏もも肉を皮を下にして、フライパンで弱火で焼き、皮に焦げ目をつける。
2. 炊飯器に、研いだお米、1で鶏肉から出た脂、塩レモン、サフラン、皮を上にした鶏もも肉を入れて炊く。
※サフラン以外にもターメリック、コリアンダー、クミンを入れてもおいしいです。カレー粉だけでもOK。
イカそうめん 1パック(60〜80g)
塩レモン 大さじ1.5杯
ミント ひとつかみ
オリーブオイル 100cc
1. 塩レモンとミントを細かくみじん切りにし、イカそうめんと和える。
2. オリーブオイルをかけて、完成。
※イカのかわりに刺身用の白身魚やサーモンでもおいしいです。
鮭ハラス 120〜150g
新じゃが 4〜5個
塩レモン 大さじ2杯
バター 10g
タイム 4〜5本(ローズマリーやディルでも可。なんなら、なくても大丈夫)
水 100cc
1. 新じゃがを2cm幅にスライスする。
2. フライパンに新じゃがを敷き、鮭ハラス、塩レモン、タイムの順にのせて水を回しかけ、蓋をして弱火で10〜12分蒸し焼きにする。
3. 蓋を取り、バターをのせ、1分蒸らせば完成。
塩レモンは料理でレモンをつかうシーンなら、どこでも。
レモン蜂蜜はなにか甘みを加えたい場合はいつでも。
いつもの食卓に彩りを増やす感覚でつかってみてください。
揚げ物や焼き鳥にレモンを絞るかわりに刻んだ塩レモンをのせてみたり。
リモンチェッロは炭酸で割れば、奥深い味わいのレモンサワーになりますし、レモン蜂蜜は紅茶にすこし垂らしてもおいしいです。
少しずつ味わいも変わっていくので、その変化も含めて、お愉しみください。
すこし、春めいて参りましたのでお外に出て、あなたのレストランを開くなんてのも。
ドキュメンタリーレストランは僕だけじゃなく、みなさまと日本中で開店してゆきたいです。
大阪生まれ。5歳の頃からの趣味である料理と寄り道がそのまま仕事に。“美味しいに国境なし”を掲げ、日本中でそこにある食材のみを扱い、これからの伝統食を主題に海抜と緯度を合わせることで古今東西が交差する料理をつくる。現在は和紙を大きな皿に見立てたフードパフォーマンスを携え、新たな食事のあり方を提案中。
【フードパフォーマンス映像】
https://vimeo.com/275505848