【体の内側からキレイを目指す!美腸ライフVol.27】食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために、日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を、分かりやすくご紹介していきます。
季節が移り変わり、待ちに待った春がやって来ました。色とりどりに咲き誇る花や色鮮やかな新芽を見ていると自然と気持ちが明るくなりますね。
新生活が始まり、新たにお弁当を作りはじめた方もいらっしゃるのではないでしょうか? せっかく手作りするなら、美腸づくりに役立つアレンジ術を知っていると、いつものお弁当を美容・健康に役立つ、ダブルでおいしいランチに変身させられちゃいますよ。
今回は1日でも早く知っておきたい、お弁当作りで意識したいポイントや具体的な実践方法をご紹介します。
「美腸づくりに役立つお弁当なんて、なんだか面倒くさそう」だなんて思っていませんか? いえいえ、そんなことはありません。チンするだけの冷凍食品のおかずを活用しても、簡単にできちゃう工夫があるのです。このあとに具体的な方法もお伝えしていきますが、まずはおさえておきたい2つのポイントを確認していきましょう。
腸内環境を整える働きがある食物繊維は美腸づくりに欠かせない栄養素の1つ。全粒の穀物、芋、野菜、きのこ、フルーツ、海藻、ナッツといった植物性の食品に多く含まれています。お弁当作りにもこれらの食品を積極的に活用していきましょう。[1,2]
腸内環境の改善に役立つ可能性があると示唆される発酵食品も、日々の食生活の中で意識してとりたい食品の1つです。調理の際に発酵調味料を使う、デザートにヨーグルトを用意するなどの工夫ができそうですね。[3,4]
これら2つのポイントについて専門用語を使って説明すると、腸内細菌のエサとなり整腸作用を発揮するプレバイオティクスと、腸内で嬉しい働きをしてくれる有用菌を含むプロバイオティクス食品を積極的にとることが大切であると言い換えることができます。 [5]
もうお気づきかもしれませんが、実はお弁当作りでも美腸づくりのポイントはいつも連載でお伝えしていることと同じなのです。
それでは、具体的にどのようなお弁当に仕上げていけばよいのでしょうか。はじめに意識していただきたい、簡単に取り入れられる方法をお伝えします。
ゴマを混ぜてもプチプチ食感と香りを楽しめます。炊き込みごはん、わかめごはんなど混ぜ込みご飯にしてもOKです。
主食をこのように置き換えることで、食物繊維を効率よくとることができます。なんと玄米は白米の約5倍、全粒粉パンは普通の食パンの約2倍、ライ麦パンは約3倍も食物繊維を豊富に含んでいるのです。[1]
そのほかに、食物繊維を増やす裏技に“おからパウダー”を活用する方法があります。おからパウダーは、加熱調理が不要でそのまま使えるので、かけるだけ、混ぜるだけでOK! 和えものや煮物に少し振りかけて混ぜておくと、おかずの汁気を吸ってくれるので、汁もれも防げてお弁当にぴったり。また、卵料理やひき肉料理との相性が抜群なので卵焼き、ミートボール、ハンバーグといったお弁当の定番メニューに混ぜて活用しやすいという特徴も。おからパウダーを活用して “おかランチ” を楽しんではみてはいかがでしょう?
今回は、効率的に食物繊維の摂取量を増やせる、超簡単アレンジをご紹介しました。スープジャーを持っている方は、具沢山なみそ汁をお弁当に持っていくのもおすすめです。外出先でお湯が手に入る場合は、以前ご紹介したおから味噌まるを活用するのも良いですね! ぜひ、この春からの新生活でも楽しく美腸ライフを送ってください。
〈参考文献〉
[1] 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
[2] D So, et al. Dietary fiber intervention on gut microbiota composition in healthy adults: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2018 Jun 1;107(6):965-983.
[3] LT Stiemsma, et al. Does Consumption of Fermented Foods Modify the Human Gut Microbiota? J Nutr. 2020 Jul; 150(7): 1680–1692.
[4] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 腸内細菌と健康
[5] Markowiak P, et al. Effects of Probiotics, Prebiotics, and Synbiotics on Human Health. Nutrients. 2017 Sep 15;9(9).
(すべて2022年4月8日閲覧)
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株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役。フリーランス管理栄養士として、商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。豆腐や豆乳、ソイオイル、味噌など、大豆関連の資格を多数所有し、大豆や腸活分野の専門家として活動する中で、最近は日本人が不足しがちな食物繊維の宝庫である「おから」に注目し、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」
●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスター、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、ほか