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コラム

きゅうりも冷凍して良いんです!味も栄養もキープする、目からウロコの「冷凍ワザ」

毎月のように日用品が値上がりしていく中で、家計を支えるみなさんはいかに節約しながらおいしいものを食べるかの工夫をされていると思います。最近は、お得に買えるときに大量購入で冷凍ストックをするという人も増えているのではないでしょうか。そこで今回は、『冷凍王子の冷凍大全』を発売した西川剛史さんに、おいしく保存できるプロ直伝の冷凍テクを聞きました。

“節約”と“時短”で注目される冷凍

――コロナ禍をきっかけに冷凍食品の需要が高まり、セカンド冷凍庫なども話題になっています。冷凍王子として活躍されている西川さんから見て、世の中の「冷凍」に関する流れはどのように変化していますか?

冷凍がどんどん注目されるようになっていると感じます。10年前に『マツコの知らない世界(TBSテレビ)』に出演したことがありますが、その頃に比べて出演オファーが増えていますし、テレビでも冷凍に関する情報発信を見ない日がないくらいになりました。冷凍が注目されるようになった理由は、節約と時短だと思います。事前に下処理をしたり、冷凍食品を上手に使うことで時短になりますし、外食するよりも節約になったりするというメリットが大きいのだと思います。

――西川さんもセカンド冷凍庫を持っていますか? そして、メインの冷凍庫とセカンド冷凍庫の使い分けについて教えて下さい。

セカンド冷凍庫と言いながらも170リットルの冷凍庫をセカンドとして使っています(笑)。冷凍は、凍らせることも大事ですが、保存も大事です。扉を頻繁に開け閉めすることで温度が安定せず、品質を下げる原因になるんです。なので、開け閉めをする頻度が高いメインの冷蔵庫には、普段使うもの、使いかけのものを入れておきます。セカンド冷凍庫は、すぐに使わないもの、長期保存をしたいものを入れておくという風に使い分けています。

多くの人がやりがち!間違った冷凍ワザ

――西川さんが思う、冷凍の魅力を教えてください。

栄養がキープできるところです。冷凍したら味が落ちて、栄養も落ちると思っている人が多いと思いますが、それは違います。栄養価をキープするなら冷凍保存がおすすめ。ですので、食材は買ってきたらその日のうちに冷凍するのがおすすめです。そうすれば、品質と栄養を保ったまま保存できるので、使う時にはおいしくて健康的な食事を作れます。

――多くの方がやりがちな、間違った冷凍あるあるはありますか?

よく、アルミトレイに乗せたら早く凍るという話を聞きますが、あれはあまり効果はありません。多少早くは凍りますが、家庭での冷凍庫の場合、味など品質面への影響はほとんどありません。ただし、冷凍するものを薄く平らにするという意味では有効です。

スピードを気にするより、扉の開け閉めを気にした方が良いです。保存温度を何度も上げていたら、せっかくの冷凍が台無しです。何か取り出すときには、できれば10秒以内に開け閉めを終えてほしいです。また、冷凍庫は、ある程度中身が詰まっているほうが保冷効果が高まります。他にも、冷凍庫内の整理整頓術など、温度を上げない工夫がわかるチェックポイントを本にも書いているのでチェックしてみて下さい。

きゅうりもOK!意外な冷凍テクニック

――特に驚かれる、意外と知られていない冷凍テクや冷凍できる食材を教えてください。

1.ショウガ

ショウガは刻んだり、すりおろしてから冷凍をするという方法が一般的になっています。でも、切ってしまうと香りが飛び、酸化が進みます。すりおろした場合も同様なので、ショウガは切らずに皮ごとラップして保存袋に入れて冷凍というのがおすすめ。一番香りが残って状態が良いですよ。冷凍したショウガは、凍ったままおろして使ってください。

2.きゅうり

普通に解凍をするとおいしくないので、使い方の工夫が必要です。丸ごと冷凍したきゅうりは食感がしんなりするので、ギュッと絞って調味料と和えれば漬物になります。日頃から塩分が気になるという方は、これを使えば減塩できます。水分が多い食材は冷凍で食感が変わりますが、その変化をうまく使った使い方をすればOKです。

3.大葉

見た目は黒くなってしまいますが、香りは残っているので薬味として使えます。3〜4枚ずつ重ねてぴったりとラップに包んで、保存袋に入れて空気を抜いて冷凍しましょう。使うときは凍ったまま必要な分だけ刻めばOK。

4.なす

生のままで冷凍すると、浅漬けのようなコリコリした食感になります。また、冷凍をすることで繊維が締まり、油を吸いにくくなるのでヘルシーに調理ができるようになります。なすのトロトロした食感が好きな方は、加熱してトロトロにした状態で冷凍をすれば、トロッとした食感を楽しめます。生で冷凍する場合は、縦半分に切ってからラップに包んで保存袋に入れて冷凍してくださいね。

下味冷凍は、お肉をおいしくする!?

――お肉の下味冷凍も流行っていますね。

下味冷凍は、時短になるという理由で流行っているけど、実は、お肉をおいしく冷凍保存する最適な方法だと感じています。表面をオリーブオイルでコーティングするだけでもいいですし、焼き肉のタレにつけて冷凍しても良いです。焼き肉のタレは、いろいろ調味料を計るのが面倒な方には手軽でおすすめです。これらの下味をつけることで、冷凍庫で1週間で味が落ちるお肉が、1か月くらいもつようになります

冷凍保存で品質を保つには?

――一人暮らし向けの冷蔵庫から大容量冷蔵庫まで、それぞれの冷凍庫で気をつけることはありますか?

一人暮らし用の冷凍庫

2段の冷蔵庫で上段の扉を開けるタイプの冷凍庫は、冷気が上から外に出やすいので、扉を開けている時間を短くすることを意識してほしいです。

大容量冷凍庫

冷凍庫のタイプにもよりますが、同じく扉を横開きするタイプのものであれば、開けている時間を短めにしてください。引き出しタイプも同様ですが、どこに何が入っているかを整理しておいた方がいいです。冷凍庫を開けたときに、どこに何があるかをわかっていれば開けている時間が短いので意識してみてください。整理整頓の意識付けはすごく大切です。

――冷凍すると自動的に長期保存ができるという意識になるのですが、お話を聞いていると一概に冷凍=長期保存という考えではだめでしょうか?

扉の開け閉めによる温度の変化や、冷凍をするときに酸化を防げているかなどをしっかり気にしていれば1か月はしっかり持ちますが、もしそれらをあまり意識していないのであれば、味や品質はどうしても落ちてしまいます。長期保存したいものは、冷凍方法を丁寧にしましょう。そこまで手をかけずに冷凍庫に入れたものに関しては、早めに使うということを心がけていただければ問題ないと思います。

(TEXT:上原かほり)

 西川 剛史さんの新刊著書

冷凍王子の冷凍大全』(サンマーク出版

「大全というだけあって、冷凍ノウハウをできるだけたくさん入れたいと思い、1つ1つの情報の重さ深さにこだわって作りました。こういう理由だからこうしたほうがいいという理論をしっかり入れたのは、他の本にはないと思います。さらに、1ページ1食材にこだわり、124品の食材全ての冷凍ポイントを丁寧に書いています。「食材を腐らせるより冷凍しておいた方が良い」という気持ちで冷凍保存をしている方たちに、冷凍で食材がよりおいしくなるということをお伝えできる一冊です」(西川さん)

西川 剛史(にしかわ・たかし) 

冷凍生活アドバイザー/野菜ソムリエプロ
1983年生まれ。大学在学中から冷凍食品に興味を持ち、冷凍食品会社に就職。冷凍食品の商品開発などの経験を生かし、現在は冷凍の専門家として活動中。冷凍食品開発コンサルタントとして、地方の優れた食材を使った冷凍食品の商品開発にも取り組んでいる。また2016年より、家庭での冷凍テクニックを理論的・体系的に学べる資格講座として「冷凍生活アドバイザー養成講座」を開講。冷凍に関連する新しい活動や事業、レシピ開発などを積極的に展開している。

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