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時間を味方につけて楽に痩せる!「12時間断食」がダイエットにおすすめな理由

【話題のダイエット本、試し読み Vol.23】ちまたに溢れるダイエット本、ゴールはみんな同じですが、そこにたどり着くための方法は本の数だけ存在しています。本連載では、話題のダイエット本のメソッドを編集部がダイジェストでご紹介。ご自分にぴったりのダイエット本を、ぜひ見つけてみてくださいね。

ダイエットに欠かせない体内時計

ダイエットで食事制限や運動をしても、思ったような効果が見られないという経験はありませんか?「痩せられない原因は、ダイエットに時間の観点が欠けているから」と指摘するのが、時間栄養学を研究する柴田重信教授。

最近のダイエットは、「何を」「どう」食べるかという情報はあっても、「いつ」食べたら良いのかが意識されていないそう。いつ食事や運動をすべきか迷ったら、まず体内時計を意識することが大切です。

体内時計とは、「食べる」「運動する」「眠る」といった身体活動をコントロールする仕組み。朝は体が自然と体温や血圧を上げて活動の準備を始め、夜は休息のために体温や血圧を下げ眠りにつく、というリズムは、実は体内時計によって生み出されています。

柴田先生は、「多忙また多様な活動をする現代人は、体内時計と生活リズムにズレが生じ、その乱れが肥満やメタボリックシンドローム、それが引き起こす高血圧や糖尿病などの健康問題の原因となっている」と指摘します。体内時計と生活リズムを一致させ、ダイエットを成功に導く方法として、柴田先生がおすすめするのが「12時間断食」です。

今回は、柴田先生の著書『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』講談社)から、12時間断食についてご紹介します。

「12時間断食」とは?

12時間断食とは、絶食時間を長くとり、食べる「時間帯」を制限するダイエット法です。体内時計と生活リズムを一致させるだけでなく、食べる「量」を減らすカロリー制限よりも、肥満やメタボを防ぐ効果が高いという結果も出ています。

なぜ断食がダイエットや健康に効果的なのか、その理由はインスリンにあるとされています。インスリンとは、食後に血糖値が上がると膵臓から分泌されるホルモンのこと。食事でとった糖質はブドウ糖に分解され、血液の中に溶け込みます。その際、インスリンがブドウ糖を筋肉などの細胞に送ってエネルギーとして消費させたり、余ったブドウ糖を脂肪として溜め込むなど、調整する働きをしています。

食事を通じて高血糖の状態が続くと、インスリンを過剰に分泌するので、膵臓が疲れて十分な量のインスリンを出せなくなったり、インスリンの効きが悪くなります。その結果、血糖値の高い状態が続いて、糖尿病になってしまうことも。

絶食すると、糖質などの食べ物が体に入ってこないので血糖値は上がりません。そのため、インスリンの量を節約することができ、膵臓を休ませることでインスリンの働きを改善できます。つまり、食べない時間をしっかり確保して、インスリンを使わない時間を設けることが大切なのです。

「12時間断食」成功の4つポイント

今回は、本書から12時間断食の実践法を紹介します。

ポイント1:1日の食べる時間を12時間に抑える

1日の食べる時間帯を12時間に制限するのが基本的なルール。例えば、朝食を午前7時にとったら、夕食は午後7時までに終わらせます。朝食以降の12時間は、食事内容に制限なく、自由に食べられるので、気軽にチャレンジしやすいのがメリット。

「断食時間を延ばせば、より効果が期待できますが、負担が大きいので12時間がベスト」と柴田先生。

ポイント2:朝食は朝9時までに

断食を成功させるのポイントは、朝の光を浴び、朝食をとって、体内時計に合わせながら行うこと。朝食は、体内時計に朝が来たことを知らせ、体内時計と外界との生活リズムをリセットする役割をしてくれます。

朝食は起きてから1時間、遅くとも2時間以内で、なおかつ一般的に朝と言われる午前9時頃までにはとりましょう。

朝食の前に長い絶食時間があるとよりリセット効果が高いこともわかっています。その効果を生み出すのも、実はインスリン。インスリンには、体内時計をリセットさせる働きも備わっているのです。

絶食後の朝食で糖質のご飯やパンを食べると、普段より血糖値が上がりやすく、インスリンがよく分泌されます。肥満やメタボ予防には血糖値の高い食事はNGとされることが多いですが、インスリンで体内時計を動かすには大事なポイント。 血糖値の上昇は昼食や夕食では肥満へと繋がりますが、朝食ではそれほど心配することなく、朝はインスリンの効きが1日の中で一番良いため、上がった血糖値は緩やかに下がっていきます。

ポイント3:食事は1日3回。朝・昼・夕の食事量は均等に

血糖値の上昇を防ぐという意味で、1日の食事回数は3回が最も効果的です。朝食を取ると昼食後や夕食後の血糖値の上昇を防ぐことができ、3食だと朝食から夕食の間に長い絶食時間を作らなくて済むため、血糖が安定します。

厚生労働省による調査統計によると、国民の各食のエネルギー比率は朝食24%、昼食32%、夕食44%と、朝食は夕飯の半分程度。エネルギー消費が高い朝食を軽めにし、エネルギー消費が低い夕食をたくさん食べる現代人の食事は、最も太りやすい食べ方です。肥満を予防改善するためには、夕食の比重を軽くして、その分を朝食に回すことが重要です。各食の比率をなるべく均等にするだけでも効果が見込めます。

ポイント4:夕食の主食の量を半分程度に抑える

食事量の比率だけでなく、栄養の比率も大事なポイント。ダイエットアプリ利用者1万人を対象に行った調査で、朝食と夕食のタンパク質、脂質、炭水化物のバランスを解析すると、夕食の炭水化物の割合が低いほど減量効果が出やすい結果に。夕食の糖質は余剰エネルギーになりやすいので、少量で問題ないでしょう。現状の夕食でご飯やパン、麺類など主食をしっかり食べていた人は、摂取量を半分に減らし、その分を朝食に回すのがおすすめです。

本書には、3食や間食でとるべき食材や目安の摂取量など、詳しい食事内容が解説されています。

あなたは大丈夫?自分の体内時計をチェック!

断食を始めるために、まずは自分の体内時計の状態を把握することが最も重要です。 本書には、自身の食事や睡眠のリズム、運動習慣などの現状把握ができるチェックシートも収録。今回は、その一部である、食事から体内時計の状態がわかるチェックシートをご紹介します。回答して自分の傾向を掴んでくださいね。

9問中、「はい」が0〜2個の人は、時間栄養学的にみて健康な食生活。 「はい」が5つ以上あると、時間栄養学的にみて体内時計が乱れやすい食べ方なので注意が必要です。

著者の柴田先生から、ダイエット中のクックパッドニュース読者へ向けたメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

「生活習慣病の予防を目的とした資料『食事バランスガイド』や『日本人の食事摂取基準』に従った食事では、1日の食事量の目安は可能ですが、朝食、昼食、夕食や間食など個別の食事に言及しおらず、実践しにくい悩みがありました。

本書を参考にすれば、時間栄養学の考えを取り入れ、それぞれの食事の意味を見直して解説しているので、肥満予防や、高齢に伴い筋肉が減少するサルコペニア予防の実践に役立つはずです」

今回は、時間栄養学に基づいた食べ方についてご紹介しましたが、体内時計には睡眠や運動も欠かせない要素。本書では睡眠、運動についてもわかりやすく解説しています。

4月は新たな生活がスタートするタイミング。今こそ体内時計の視点から生活を見直す絶好のチャンスです。気になった方はぜひ手に取ってみてくださいね。

(TEXT:小菅祥江)

※ メイン写真はこちらの記事をイメージして選定させていただきました
画像提供:Adobe Stock

『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』講談社

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