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コラム

プラントベースフードって、実際どうなの? 日本で浸透しない理由は?代替食品の“これから”

プランドベースフード (代替食)を実際に食べたり、利用しているという方はどのくらいいるでしょうか。注目を集めているということは耳にするものの、実際に食べたことがある。買ったことがある。という声はまだまだ少ないのが現実。今後、プランドベースフードが一般消費者に受け入れられていくために必要なことは何なのでしょうか。

市場では右肩上がりのプランドベースフード

プランドベース(代替食品)とは、肉や魚を他の食材を加工し似せて作った加工食品のこと。ここ数年注目を集めているのは、植物性タンパク質を加工して作られた代替肉や卵、チーズなどの加工食品です。

「2019年から代替肉商品の推移は増え続けています。新聞トレンドグラフ表示を見ても、2020年頃から「代替肉」というワードが取り上げられる回数は右肩上がり。全国のスーパーでの売り上げ推移を見ても、代替食品の新商品が発売になったタイミングでは売上があがっています」

そう語るのは、株式会社味香り戦略研究所・代表取締役社長の小柳さん。 同社は、食品の「味」を数値化する手法で「味」をわかりやすく表現し、食にまつわるさまざまなサービスを提供している企業。今回は、味覚センサーという視点からプランドベースフードについての話を聞いてみました。

「ここ数年、コロナ禍による健康志向の高まりや『SDGs』に関する考えが当たり前になってきています。その中で、食料資源の問題や貧富差の拡大という視点からプランドベースは注目されていると思います。また、若い世代は特にこのような問題に非常に敏感で、SNS等でも目にする機会が増えていると思います」

代替食は似て非なるもの

プランドベースに関する数字は右肩上がりで伸びているとは言うものの、一般消費者の食卓に日常的にプランドベースフードが並んでいるというわけではないのが現状。業界的には注目され、新商品も続々と発売になる中で、プランドベースフードがまだまだ浸透していない理由は何なのでしょうか。

「代替肉と聞けば、私たちは肉を想像して食べます。でも、実際食べると期待したものとは違うと感じ、代替食は似て非なるものというイメージができてしまうんです。また、何かの代替というイメージだと心理的に抵抗がある人もいます。我々は、敢えて代替食と言わず、一つの新しい食品として定義付けしたほうが先入観なくとらえられるのではないかと常々感じています」

プランドベースフードは、動物性タンパク質の供給不足への懸念や健康志向、アレルギー、宗教上の食事制限などに対応できるよう開発が進んでいる食品。これまで食べていた食品の代わりとしてだけではなく、植物性タンパク質を積極的に摂取したいと考える人や、アレルギー対応食品として手に取る人は今後も増えていくのではないでしょうか。

「治験などを通じた医学的、科学的根拠データの取得は必要ですが、肥満解消、血圧を抑えるなど、ダイエットや健康に直結するキーワードが食の中に組み込まれていくと消費者は手に取りやすくなるかもしれません。代替ではなく、新しい価値や消費者ニーズに合わせた商品として提供をしていくことが、今後の広がりを変えていくと感じています」

香りや食感の改善でさらなる拡大に期待?

プラントベースのメイン購入層は、50代、60代の女性。月に1度以上、1年以内にプランドベースフードを購入した人たちが購入した1番の理由は、「おいしい」という結果が出ているそう。代替え=おいしくない、ではなく、おいしい、ヘルシー、サステナブルなど、消費者の購入意欲をそそるものはすでに揃っているとも考えられます。その中で、さらに一般的にプランドベースフードが受け入れられるために必要なものは何なのでしょうか。

「日本人は食に対して敏感な国民性なので、味だけではなく香りやそもそもの食感まで要求している傾向があります。例えば、これまでの食体験の中で苦手と感じた料理があると、その匂い自体がダメだったりしますよね。大豆が嫌いな人は、大豆を使った代替肉をおいしいとは思わないはずなんです。なので、そういった面が、今後さらに技術改良されていくことが、プランドベースフードが日本で広まっていくために必要なことだと考えます」。 (TEXT:山田かほり)

取材協力

株式会社 味香り戦略研究所

代表取締役 社長 小柳道啓さま
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