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コラム

寝ても寝ても眠い…30代女性「体の中」で起きていること

病院に行くほどではないけれど、なんだか感じる体の不調。薬剤師であり調理師、薬膳アドバイザーの資格も持つ道川佳苗さんと、中医学の視点で体を見つめ直し、健やかな暮らしをつくるための「食」を考えましょう。

こんなお悩みをいただきました。

「春になり暖かくなってきた頃から、寝ても寝ても眠気がとれません。7〜8時間くらいは眠れているはずですが、日中どうしてもうとうとしてしまい、 仕事や家事の単純作業でうっかりミスも…。春の眠気やだるさをなんとか解消できないでしょうか。(30代女性)」

春になると、暖かくて気持ちが良い季節ですが、ついつい眠っていたくなってしまいますよね。しかし、仕事や勉強などやらなければならないことがあるため、昼間に眠気が残ってしまうと集中力が低下し、業務に支障が出てしまうこともあります。 そこで、今回は春の眠気やだるさを解消するために、おすすめの食材やレシピを紹介します。

春の眠気やだるさはなぜ起こる?

中医学的には、春の眠気やだるさが起こるのは以下のような原因が考えられます。

1.自律神経の乱れによる「肝」への負担

春は暖かくなり、自然が活気づく季節です。しかし、気温の変化が激しく、体調が崩れやすくなります。中医学では、体の調整を担う「肝」がストレスや感情の調整にも関わるとされ、自律神経と密接に関係しています。肝というのは、身体の機能の調整や代謝に関わるエネルギーを司る機能や、感情やストレスのコントロールにも関与する概念です。春になると、「肝」が活発に働いて負担がかかり、自律神経のバランスが崩れることで、眠気やだるさ、不安などの不調が現れることがあります。

2.気の巡りが悪いことによる睡眠障害

不眠の中には、十分な睡眠を摂っているのにも関わらずに眠りが浅くて熟睡感を感じられないものがあります。中医学の考えでは、気の巡りが滞っていることが原因とされます。その他にも、冷えや不安感などが影響していることもあります。進学や就職、新年度の異動など、生活がガラっと変わることが多い春は、自覚がなくてもストレスや不安を感じやすい季節。自分で思っている以上に疲れていることも多いですよ。

以上のことから、春の眠気やだるさを解消するためには、「肝」へ気(エネルギー)や血(栄養)を届ける食材を摂ることと、気や血の巡りを良くする食材を摂ることが大切です。

春の眠気やだるさを解消するのに役立つ食材

春の眠気やだるさを解消するためには胃腸の調子を整え、エネルギーや血を補ってくれる豚肉や鶏肉がおすすめです。疲れやすい人は胃腸が弱っていることも多いので、温かいものを摂るようにしましょう。 また、気の巡りを改善する食材(ピーマンやセロリなど)を組み合わせることでより効果的に栄養が行き渡ると考えられます。 薬膳では食材それぞれに「帰経」といって、食材が身体のどの臓器に影響するか分類されています。「肝」に影響するものは味では「酸味」を持つものが挙げられます。 例えば、旬のフルーツであるいちごやブルーベリーも「肝」を補うのにおすすめです。

クックパッドのおすすめレシピはこれ!

ひき肉とピーマンのガパオ風

豚肉で気や血を補い、ピーマンで気を巡らせる組み合わせです。玉ねぎや青じそも気を巡らせる働きがあります。

セロリと鶏むね肉のスープ

鶏肉で気や血を補い、セロリで気を巡らせます。セロリの特有の香りは不安や緊張を和らげる働きもあります。

いちごとブルーベリーのシロップ

冷えも睡眠の質を悪くする原因になるので、お湯割りがおすすめです。

「肝」をいたわって眠気やだるさを解消しよう

中医学の考えでは、春は「肝」の影響が大きく、自律神経のバランスを崩しやすい季節です。そのため眠りの質が悪くなることで熟睡できず、日中に眠気やだるさが残りやすくなります。 「肝」を補う食材を摂り、気を巡らせることで自律神経のバランスを整え、日中の眠気やだるさを解消しましょう。 今回ご紹介した食材を参考に取り入れてみてくださいね。

メイン画像提供:Adobe Stock

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道川佳苗

薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。

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