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コラム

「中性脂肪」と「コレステロール」の関係性って?理想の数値を保つ“食事ポイント”を医師が解説

健康のことを考えたときに、「中性脂肪」と「コレステロール」の数値は気になる人が多いはずです。この2つにはどのような関係性があるのか、そして、理想的な数値を保っていくためにはどういった食生活を送ることが大切なのか。今回は、なかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生に、注意したほうがいい点や改善ポイントなども含めて話を聞きました。

「中性脂肪」と「コレステロール」の役割とは…

――「中性脂肪」と「コレステロール」の関係性について教えてください。

両方とも血液中の脂質の一種ですが、役割が異なります。中性脂肪は体内でエネルギーの貯蔵・供給に関与し、食事から摂取したカロリーが余剰となった場合に脂肪として蓄えられます。一方、コレステロールは細胞膜やホルモンの合成など、体内の重要な機能に関与しています。

――中性脂肪が上がるとコレステロールも上がるのでしょうか?

中性脂肪の上昇は一般的にコレステロールの上昇と関連していますが、必ずしも一定ではありません。高中性脂肪血症(高トリグリセリド血症)の場合、コレステロールの数値も上昇することがありますが、個人によって異なる場合があります。

――「脂質異常症」とはどういったものですか?

「脂質異常症(脂質代謝異常)」は、中性脂肪やコレステロールといった血液中の脂質の異常な増加や減少を指す一般的な用語です。

――具体的にはどんな症状が起こるものですか?

動脈硬化や心血管疾患のリスクを増加させる可能性があります。主な脂質異常症の種類には、高中性脂肪血症(高トリグリセリド血症)、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症があります。

――「中性脂肪」と「コレステロール」の理想的な数値は?

中性脂肪とコレステロールの理想的な数値は、一般的に以下のようになります。
・中性脂肪:150mg/dl以下
・LDLコレステロール:120mg/dl以下
・HDLコレステロール:男性で40mg/dl以上

“不飽和脂肪酸”の摂取を重視しよう

――「中性脂肪」と「コレステロール」の数値を安定させるために、意識するべき食生活は?

まずは健康的な脂質の摂取です。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は、中性脂肪やコレステロールの上昇に関連します。代わりに、不飽和脂肪酸(特にオメガ-3脂肪酸)を含む食品の摂取を重視しましょう。オメガ-3脂肪酸は、サーモンやマグロなどの魚、ナッツ、種子、アボカドなどに多く含まれています。

――ほかにも意識したほうがいいことはありますか?

高繊維食品の摂取も大事です。食物繊維は中性脂肪とコレステロールの制御に役立ちます。全粒穀物、野菜、果物、豆類など、繊維の豊富な食品をバランスよく摂取しましょう。

――調理方法での注意点は?

揚げ物や深い油での調理はなるべく避け、蒸す、焼く、煮るなどの低脂肪調理法を選ぶようにしてください。

――飲酒も制限したほうがいいでしょうか?

過度なアルコール摂取は、中性脂肪のレベルを上昇させる可能性があります。アルコールは高カロリーで、摂取すると肝臓で代謝されます。アルコールの代謝過程で中性脂肪の分解が阻害されるため、中性脂肪の蓄積が促進されることもあります。ただし、個々の状況や健康状態によって異なる場合があるため、具体的な健康に関する質問や懸念事項がある際は、医師や専門家に相談することをおすすめします。

(TEXT:山田周平、メイン画像:Adobe Stock

中澤佑介先生

なかざわ腎泌尿器科クリニックの院長で、泌尿器科専門医、身体障害者福祉法指定医、難病指定医。日本泌尿器科学会、日本尿路結石症学会、日本排尿機能学会、日本癌治療学会などに所属。2012年金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学泌尿器科学の助教を経て、2019年に博士課程を修了。2021年よりなかざわ腎泌尿器科クリニックの院長として、男性だけではなく女性でも安心して受診できるような細やかで患者さんに寄り添う医療を提供している。

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