キッチングッズマニアな料理ライター
【今週のおすすめの一冊 vol.70】編集部が特に「おもしろい!」と注目した料理にまつわる本をピックアップし、気になる中身をご紹介します。今回は 『超!解毒スープ - おつかれ気味の腎臓がよみがえる』(ワニブックス)についてご紹介します!
『超!解毒スープ - おつかれ気味の腎臓がよみがえる』 は、おつかれ気味の腎臓の不調をいたわる、「解毒スープ」のレシピ本です。
著者は鍼灸師の大野沙織さん。20代で腎盂腎炎を発症、右の腎臓の機能を失い、現在は1つの腎臓で生活しています。 その実体験をもとに、腎臓のためにできることをYouTubeチャンネルで定期的に発信しています。
本書は、大野さんが発信した東洋医学に基づく腎臓にいい食材を使った「解毒スープ」のレシピを1冊にまとめたものです。
腎臓は体の老廃物をきれいにしたり、不要な水分を尿として出す「ろ過装置」の働きを担っています。 また一方で体に必要なものを吸収したり、イオンバランスを整えたりと、体が正常に機能するように支えてくれるのです。
腎臓は毎日元気で暮らすために、とても重要な臓器なのです。
腎臓を健やかに保つために、1番いいのは「食事で腎臓にいい栄養をしっかり摂る」こと。 大野さんは、しっかり栄養がとれるメニューとして、以下のような理由からスープをすすめています。
本書で紹介されているスープのレシピは、材料をフライパンで炒めて煮るだけのシンプルな工程。また、ひと皿で1食分の栄養を補えるので、他におかずがなくても大満足! 料理が苦手な方、あれこれとおかずを作るのが面倒な方でも実践できるんです。
野菜を加熱すると、細胞膜が壊れて有効成分が出てくるので、吸収率がよい調理法です。サラダは野菜を加熱しないため細胞膜は壊れず、また冷えたサラダは体を冷やしてしまいます。 スープは食材の効能を生かすことができる調理法なのです。
野菜に含まれる水溶性のビタミン類は、ゆでたりすると水に溶けだしてしまいます。スープはその水分ごと味わう料理なので、野菜の栄養を逃さず、丸ごと食べて体に取り込むことができるんですよ。
本書で紹介するスープの主役は、旬の野菜です。1年中手に入る野菜も多いですが、旬の野菜はおいしさも栄養価もピークを迎えているので、旬のものを食べることをすすめています。
また、スープに加える塩はミネラルたっぷりの「天日塩」がおすすめ。私たちの体内のイオンバランスは海水によく似ており、海水を結晶化させて作る「天日塩」とたっぷりの水を摂ることで、腎臓がゆったりできるそうですよ。
塩以外に、しょうゆ、みそ、オイルなどの調味料も、質のいいものを選ぶことで、少しずつ体が変わっていくと大野さんは紹介しています。
ここからは、「超!解毒スープ」掲載レシピの中から「豚ミンチと根菜たっぷりスープ」のレシピをご紹介します。
クックパッドニュースをご覧の読者の方にも、便秘でお悩みの方は多いのではないでしょうか。 便秘は老廃物をためこみ、血液に悪いものがにじみ出て、腎臓にもダメージを与えてしまいます。こんにゃくや根菜たっぷりのスープで、腸内を大掃除しましょう。
オリーブオイル…ひと回し 豚ひき肉 (あれば)…80g 玉ねぎ…1/2個 ※繊維に沿って5mm幅に切る にんじん…1/2本 ※縦半分に切って斜め薄切り ごぼう…1/2本 ※たわしで洗って斜め薄切り、またはピーラーでそぐ しょうが…1/2片 ※細切り 生芋糸こんにゃく…100g ※食べやすくきって水けをきる ひらたけ…80g ※ざく切り 水…400ml 天日塩…小さじ1/2 醤油…大さじ1/2 ごま油…適量 白味噌…大さじ1
1. フライパンにオリーブオイルをなじませ、 豚ひき肉を色が変わるまで炒める。
2.玉ねぎ、にんじん、 ごぼう、しょうがを加えてさらに炒め、しんなりしたら、 糸こんにゃくとひらたけも加えて炒める。 水を注ぎ入れ、ふたをして10分ほど煮る。
3.塩と醤油で味をととのえ、 仕上げにごま油をふり、白味噌を溶かし入れて完成。
根菜はたわしで洗い、皮をむかずに調理するのがおすすめ。皮のまわりは栄養価が高く、味もよいので残しておきましょう。
本書には、今回ご紹介した豚ミンチと根菜たっぷりスープの他にも、体のさまざまな不調に効くスープや元気になるスープ、美容・ダイエットのスープなどが掲載されています。食材からスープのレシピを探せるインデックスもついているので、「今ある食材でスープを作りたい」という時にも便利ですよ。
また、腎臓のためにとりたい食材の紹介や、腎臓を強化する生活習慣、ツボ押しマッサージなど、レシピ以外の読み物ページもあり、充実した内容になっています。
最後に、著者の大野沙織さんから、クックパッドニュース読者へ向けたメッセージをいただきましたので、ご紹介します。
「流行りの味やご飯が進むようなものではないのですが、美味しいものを食べ過ぎて胃が疲れた時や、おかずを考えるのがしんどくなる時や、健康診断でひっかかった際は思い出して作ってみてほしいです。スープを食べた翌日に変化が出るような食材の組み合わせを考えるのが好きで、レシピはよくご相談いただく悩み別で作っています。年齢を重ねてもずっと若々しい人は腎臓が元気です。健康な人でも元気なうちに意識してほしくて腎臓のセルフケアもまとめました。」(大野沙織さん)
体に関してお悩みがある方はもちろん、体にいい食事を簡単に作りたい方、おかずなしでも満足できるスープのレシピが知りたいという方は、本書をぜひチェックしてみてください。
(TEXT:菱路子)
料理ライター、モノライター、編集者。料理関連の会社に勤めるかたわら趣味で立ち上げたお弁当ブログがきっかけとなり、ライターとしてのキャリアをスタート。料理コラムの執筆やレシピ提案、料理写真撮影などで活動中。キッチングッズマニアで、ネットでグッズ情報を探すのが大好き。ITエンジニアの夫、小学生の娘、キジトラ猫と暮らしています。
・クックパッドニュースでレシピ記事を1000本以上執筆。
・株式会社 朝日デジタルラボの運営する情報サイト「moovoo」でレビュー記事執筆。
・その他、会員制サイトの料理コラムなどを担当。