cookpad news
コラム

ダイエット界に新食材が登場!「凍らせしじみ」で痩せ体質に

ダイエットで大事なのは、摂取カロリーを減らすことだけじゃなく、消費カロリーを増やすこと。特に、生きているだけでカロリーを消費する「基礎代謝」の量を増やすことができれば、ダイエットに大いに役立ちます。今注目されているのが、内臓の中でも基礎代謝量が多い「肝臓」。肝機能を高めれば、脂肪が燃焼しやすい“痩せ体質”になれるかも!?ダイエット外来内科医・工藤孝文さんの著書『「凍らせしじみ」ダイエット ダイエットのキモは肝臓にあった!』(育鵬社)から、肝機能を高める食事のヒントを少しだけお届けします。

肝機能を高める特別なアミノ酸「オルチニン」

オルニチンとはタンパク質を構成するアミノ酸とは異なり、体中を血液とともに巡る「遊離アミノ酸」という特別なアミノ酸の一種で、おもに肝臓で働きます。
肝臓にはエネルギーの産生に関する「TCAサイクル」、ブドウ糖を新たに合成する「糖新生」、アンモニアを解毒する「オルニチンサイクル」という三つの主要な代謝経路があります。
オルニチンは体に入ると肝臓内にあるオルニチンサイクルに入り、体内に存在する有害物質アンモニアを尿素に変えて体外に排出する解毒作用を助けます。
アンモニアを減らすことで、エネルギー産生に関わるTCAサイクルと糖新生というふたつの代謝を円滑にしていると考えられています。つまり、オルニチンが不足すると肝臓の代謝機能が低下してしまうのですが、その分泌量はだいたい20歳をピークに、加齢とともに減少します。

オルニチンの宝庫はしじみだった

多くの健康効果を持つオルニチン、肝臓のためにも食べ物から摂るのが一番です。オルニチンが多く含まれる食品は、しじみ。他の食品位比べて圧倒的な量です。しじみ100グラム分のオルニチン量をほかの食品で摂ろうとすると、どれも膨大な量を食べなければならず、ほぼ実現不可能です。

健康効果を倍増させる「凍らせしじみ」

ほかのどの食品よりもオルニチンが多く含まれているしじみ。ぜひ毎日の食事に取り入れていただきたいと思うのですが、さらに健康効果を大きくする、とても簡単な方法があります。
それは、しじみを冷凍すること

実はしじみは、生命の危機にさらされると、自らが持つオルニチンの含有量を多くして身を守ろうとするのです。では、どうすればしじみを「生命の危機にさらされている」という状態に陥らせることができるのでしょうか。

それはとても簡単、どの家庭にもある冷蔵庫の冷凍室にしじみを入れ、凍らせるだけのこと。それだけで「凍らせしじみ」になります。しじみを味噌汁やスープの具材などにして使うことが多い場合は、水ごと凍らせた「氷しじみ」にするのもよい方法です。

しじみは冷凍しても栄養素が壊れたり風味が損なわれたりすることはありません。さらに、冷凍するとしじみの細胞が壊れるため、うまみ成分であるグルタミン酸とアラニンが吸収されやすくなり、美味しさを感じやすくなります。
実際にうまみが凝縮されて、生の状態で調理するよりも冷凍したものを使ったほうが美味しい、と感じる人も多いのだとか。しじみという食材の持つポテンシャルを引き上げるこの方法、大いに使っていただきたいと思います。

おすすめ「凍らせしじみ」レシピ①

昔から「お酒を飲んだ翌朝はしじみの味噌汁」といわれるように、肝機能向上が期待される定番のしじみ料理が味噌汁です。出汁を使わなくても、しじみからたっぷりうまみが出るため、作り方も簡単です。氷しじみを使うことでうまみも増え、より味わい深い味噌汁が完成します。氷しじみではなく凍らせしじみを使う場合は、しじみを流水で軽く洗ってから沸騰したお湯に入れ、煮立てたのち味噌を加えます。
材料である大豆は、トリプトファンというアミノ酸の一種が豊富に含まれます。トリプトファンは抗ストレス効果が高いために、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料となるので、朝に味噌汁を飲むことはダイエットだけでなく一日を快適に過ごすという意味でもおススメです。
味噌汁を沸騰させてしまうと風味が失われるだけでなく、味噌に含まれる酵母や乳酸菌が死んでしまいます。せっかくの健康効果を損なわないためにも、加熱しすぎには注意してください。よりあっさり食べたいときは味噌のかわりにしょうゆや塩で味付けをした「しじみのおすまし」にしてもよいでしょう。

おすすめ「凍らせしじみ」レシピ②

しじみを日本酒で蒸しただけの簡単なひと皿です。すぐに完成するので、もう一品なにかほしいというときにはぴったりでしょう。
凍らせることによってうまみが増したしじみのおいしさを存分に味わうことができます。日本酒を使いますが、沸騰させることによりほぼアルコール分は飛んでしまうので、アルコールによる影響はほとんどないといってよいでしょう。
日本酒と一緒にしょうがの薄切り1枚を加えてもいいですし、日本酒の代わりに白ワインを使うのもおすすめです。そのときはバターを1片加えると風味が増します。

画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ

私が専門とするダイエット治療を訪れるのは「食欲が止められない」という人ばかりではありません。むしろ、「がんばっているのにやせられない」という人のほうが多いのです。そんな人たちには「基礎代謝が低い」という特徴があります。さらに「こんなに頑張っているのに」と思い悩むことでストレスがたまり、過食傾向になってしまう、それがさらにストレスを引き起こすという悪循環にはまる傾向もあります。つまり、ダイエットは基礎代謝を高めるとともにストレスを緩和させる食材を取り入れることがとても重要といえます。その条件に合う食材こそが肝臓の機能を高めるしじみです。ダイエットを成功させるしじみのパワーを、ぜひ本書で知ってください。

書籍紹介

『「凍らせしじみ」ダイエット ダイエットのキモは肝臓にあった!』(育鵬社) やせるためには食事制限が欠かせない、でも量もカロリーも少ない「ダイエット食は物足りなくて続かない……。そんな経験があるなら、「ダイエット食」の捉え方を変えましょう。
カロリーを気にしたり、食事の量を減らしたりするのはもうおしまい。これからはエネルギーをどんどん消費できる体をつくる食材に注目です。
そんな食材が本書で紹介するしじみです。しじみには基礎代謝量NO.1臓器である肝臓の機能を高めるアミノ酸「オルニチン」がいっぱい。しじみをメニューにプラスすれば、やせる体を手にいれることも夢ではありません。
簡単なしじみメニューも満載の本書を活用して、ダイエット成功への一歩を踏み出してみませんか?

著者紹介

工藤孝文(くどう・たかふみ)
福岡県みやま市出身。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として地域医療に力を注いでいる。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療など。NHK『あさイチ』、日本テレビ『世界一受けたい授業』、フジテレビ『ホンマでっか!?TV』などテレビ出演多数。著書・監修書籍は、100冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。とくに『やせる出汁』(アスコム)は15万部突破のベストセラーとなっている。日本糖尿病学会・日本高血圧学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・小児慢性疾病指定医。

編集部おすすめ
クックパッドの本