勝利を目指せ！ 夢を支える母の「カツ」料理〜「ごちそうさん」勝手に完食リポート⑰〜

食糧難の中でも「おいしいもんを食べさせるのが私の使命」とごはんづくりに情熱を燃やすめ以子。「ステーキ」事件以来、ご近所さんからも「ごちそうさん」とあだ名されるようになり、近所の子どもたちが毎日おやつをねだりにくるように。お米すらも配給制になってしまう中、食いしん坊は健在です。そんな中、野球部でキャッチャーを務める長男・泰介の学校が甲子園の有力候補に。バッテリーを組む先輩・諸岡と毎日練習に励む泰介のために、め以子は試合に勝つ度に中身がグレードアップする「カツ」システムを考えつきます。

食糧もなく、物資も乏しくなる中、ぼろぼろのミットで練習を重ねる若者２人は、西門家の夢になります。今も昔も、甲子園を目指す若者の夢は変わらないのですね。「私のごはんで絶対に甲子園に行かせる！」め以子の本領発揮です。

試合でも受験でも、頑張る子どものために、お母さんが作る応援ごはんといえば「カツ」。「カツ＝勝つ」という意味ももちろんありますが、ガッツリ食べられる「カツ」はパワーの出るごはんでもあります。魚介を使ったカツは、肉がなかなか手に入らない中でのめ以子の工夫料理ですが、そんな事情も忘れてしまうくらい、おいしそうでした！ いわしと野菜のメンチなんて、栄養価も高いし、ごちそうですよね！ クックパッドのレシピにもありましたよ。

そして、白身魚のフライにめ以子がつけていたタルタルソース。さすが、洋食屋の娘です！ ちょっと面倒な印象のあるタルタルソースですが、簡単に作るレシピを見つけました！

頑張る若者２人に、家族みんなが夢をのせて応援します。いつの時代でも、家族を応援する姿は変わらないですね。

そんな物語の一方で、戦争の影を色濃くうつす出来事もありました。め以子の幼なじみ・源太が病気のため、除隊となり戻ってきます。すっかりやせてしまった源太においしいものを食べて元気になってもらおうと頑張るめ以子ですが、その「食べる」という行為こそ、源太を苦しめていることがわかります。

家族を応援したり、おいしいものを食べたり、そんな当たり前のことがゆるされなくなる。今では考えられないことですが、そんな時代があったのです。19週は「貧すればうどんす」。食糧難はますます厳しくなっていくようです。（TEXT:田久晶子）

昭和16年夏。食糧不足はますます深刻化し、米までが配給制に。そんな中、長男・泰介の学校が甲子園の有力候補と知り、め以子は勝利のためのごはんを考えつきます。ある日、出征した幼なじみの源太が病気で除隊になったために戻ってきます。すっかりやせた源太のために、栄養ごはんで力をつけようとするめ以子ですが、源太は食事に一切手が付けられず、衰弱していく一方。悠太郎の幼なじみで医師の亜貴子に相談しため以子は、源太が食べるという行為に苦しめられていることを知ります。