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コラム

【今さら聞けない!】きほんの箸の使い方をおさらい!

箸の作法を考えます

日々の食事に欠かせない道具に箸があります。箸使いにはどんな作法があるのでしょうか。食事をする際に注意したほうがよいことはどんなことでしょうか。普段から身につけておきたい、あれこれを考えてみます。

基本として知っておきたいのは、「箸先一寸、長くて一寸」という言葉があるように、箸の先の三センチ以上を汚さないようにすることです。

来客用の箸は、しばらく水につけておき、それをよく拭いてからお客様に用意します。こうすることで、箸の先にごはんやしょう油がしみ込むのを防ぎ、食べた後の箸の先がきれいで見苦しくありません。なにより、お客様に下準備しておくという心持ちと、もてなしがきっと喜ばれることでしょう。

してはいけない使い方

参考までに、「きらいばし」と呼ばれる、してはいけない箸の使い方を紹介しましょう。

まよいばし

どのおかずを取ろうかと箸をテーブルの上であちこちと動かすこと。

うつりばし

いったんひとつのおかずを取ろうと箸を伸ばしたあとに止めて、別のおかずに箸を伸ばすこと。

さぐりばし

お椀の中に何が入っているか、具が残っているかを箸で汁をかきまわして探ること。

さしばし

箸でおかずを突き刺して口に運んで食べること。

よこばし

箸を横にして、おかずをつかまずにすくうこと。

こみばし

箸で食べものを無理に口の中に押し込むこと。

ねぶりばし

箸の先についたごはんや食べものを口の中でなめること。

たたきばし

箸で食器をたたくこと。

わたしばし

箸をテーブルに置かず、茶碗や器の上に渡して置くこと。

ほとけばし

箸をごはんに突き刺して立てること。

せせりばし

箸を爪楊枝のように使うこと。

かきばし

箸で頭やかゆいところをかくこと。

他にも、料理が食卓に置かれたら、まずは箸を取り、その後に茶碗を取ることが作法です。例えば、箸を持ったまま、お椀のふたを取ったり、何か他のことをするのは行儀が悪いとされています。

箸の持ち方

箸の持ち方は、できるだけ上を持ち、箸を長く持ったほうがきれいでしょう。ペンや鉛筆と一緒で、先に近いところを持つと幼く見えてしまいます。箸がばってんに交差するように持つのは「ばってん食い」と言われていて論外です。

こんな時はどうしたらよいかと困ってしまうことがあります。それは箸置きが無く、食事の途中で、箸を食卓に置かなくてはいけない時です。割り箸の場合は、袋を折って箸置き代わりにするのは、決して悪くはありませんが、それよりも、箸先を自分の方に向けて、汚れている箸先だけをテーブルの端から出して置くのもひとつの方法です。こうすれば箸を直に食卓に置いて汚すことがありません。これは禅僧の作法として知られる方法です。

ちなみに、割り箸は日本独自の文化です。清潔を重んじる日本人は、新品の箸をおろして一度だけ使用する方法を編み出しました。江戸時代末期の料理屋には、すでに割り箸があったとされ、割り箸文化は今に至っています。

毎日使う箸だからこそ、心得た使い方を身につけておきたい。お箸使いが美しい人には思わず目尻が下がります。

文・写真:松浦弥太郎

くらしのきほん

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