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【熱中症対策】運動後の「牛乳」で暑さにも風邪にも強い体になる!

8月も終盤になってきましたが、ますます残暑が厳しい毎日ですね。まだまだ熱中症に対して油断は禁物。じつは運動と牛乳が熱中症対策になるとご存知ですか? 運動と熱中症の関係に詳しい信州大学の能勢博先生にお話を伺いました。

年々、救急搬送される熱中症患者数が増えています。同じ状況でも熱中症になる人とならない人がいるのはなぜでしょうか。年齢や体調と同様、じつは血液量も熱中症の発生にかかわっています。この血液量を増やしてくれるカギが、運動後の牛乳。この方法を提唱している能勢先生に、詳しいメカニズムについて教えてもらいました。

血液量が体温調節する能力にかかわっている

「血液は体のすみずみまで酸素や栄養を届けると同時に、体温の調節機能も果たしています。あまりに大量の汗をかくと血液量が減り、心臓に十分な血液が戻らなくなって、脳、筋肉、皮膚などに必要な血液量を行き渡らなくなります。その結果、体温の調節機能がうまく働かず、熱中症が起こります」

運動後の牛乳が血液量を増加!

「運動をすると筋肉に貯蔵されているグリコーゲンがエネルギー源として使われますが、失われたぶん、血液中のグルコース(ブドウ糖)を筋細胞に取り込もうと活発に働き始めます。また、運動中に損傷した筋線維を修復するため、材料となるアミノ酸を必要とします」と、能勢先生は運動後の体内の仕組みを説明。 「このグルコースの生成や筋線維の修復に必要な糖質と乳たんぱく質の両方が含まれているのが、牛乳や乳製品なのです。つまり、運動後すぐは体内でグルコースやアミノ酸の取り込みが活発な状態。そこに牛乳や乳製品を摂取することで、筋力がアップして血液量も増え、暑さに負けない体がつくられるというわけです」

1週間に60分、少しきつい程度の運動を

「この運動ですが、その人にとってちょっときついかなという程度の強度で行ってください。“3分ぐらい続けていると息が弾んできてつらいと感じる”というのが目安です。できたら1週間に4日以上、合計で60分すると効果的です。毎日が無理だったら、土日に30分ずつでもOK。運動をした30分以内に牛乳1〜3杯を飲むのがポイント。これを続けていると、1週間から10日ほどで血液量が増えてきて、比較的すぐ効果が出てきます」

筋力の増加により免疫力もアップ

「運動後すぐの牛乳は、体温調節の能力を上げて熱中症を予防する効果だけではありません。筋力がアップして脂肪が減り、よく汗をかける体になったことにより体温が上昇。免疫力がアップするので、冬には風邪をひきにくくなるというメリットもあるのです」

牛乳が苦手ならヨーグルトでもOK!

「糖質と乳たんぱく質が含まれていればいいので、牛乳の代わりに乳製品でも効果はいっしょ。ヨーグルトだったらジャムやはちみつなどで糖質をおぎなってあげるといいでしょう。今の季節、日中は暑いので、朝や夜などの涼しい時間帯に運動をするのがおすすめです」
今からでも間に合う熱中症対策、ぜひトライしてみてくださいね。(TEXT:松崎祐子)

取材協力

能勢 博 先生

信州大学大学院医学系研究科教授(疾患予防医科学系専攻・スポーツ医科学講座)。1979年京都府立医科大学医学部医学科卒業、同年京都府立医科大学医学部第一生理学教室勤務。1985年米国イェール大学医学部John.B.Pierce研究所に博士研究員として留学。1993年京都府立医科大学助教授、1995年信州大学医学部附属加齢適応研究センター・スポーツ医学分野教授。2012年より現職。2004年NPO法人熟年体育大学リサーチセンター理事長就任(兼任)。主な著書に「『歩き方を変える』だけで10歳若返る」(主婦と生活社)「山に登る前に読む本」(講談社)など多数。

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