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コラム

「ただいま工事中!ケーキ」ならデコレーションも失敗知らず♪【今日から始める親子クッキング vol.4】

子育て世代にとっては、やはり気になる「食育」。でも、何から始めればよいかわからない、という方も多いのでは? この連載では、子ども料理研究家・武田昌美さんに、子どもと一緒に料理を楽しむ方法と、料理を通して子どもが得られる成長について、わかりやすく解説してもらいます。日々の料理を親子のコミュニケーションの場に変えてくれる魔法のアドバイスをどうぞ♪

子ども心をくすぐる創作ケーキ

寒い日が続きますが暦での立春も過ぎ、少しずつ春の訪れを感じることができるようになる頃ですね。2月のお菓子イベントといえばバレンタイン! 私は中高時代を女子校で過ごしたので、バレンタインといえば友チョコでした。食べきれないほどたくさんのチョコを友人と交換したのを毎年思い出します。

そんな学生時代も遥か昔。今はいかに子どもが喜んでくれるバレンタインお菓子を作るかが勝負となりました(笑)。今回は、私のとっておき創作ケーキである「ただいま工事中!ケーキ」をご紹介します。まずは、完成図からどうぞ。

どうでしょう? 男の子のツボがギッシリ詰まったケーキですよね(笑)。いかにも工事真っ最中という崩れ方、大好きな働く車、そして何とも言えぬジオラマ感のある奥行きが男の子のハートをわしづかみです!!

とはいえ、「うーん…なんだか難しそう」と、完成図だけ見たら思ってしまいますよね。 でも、一つずつ紐解いていけば意外と簡単に作れてしまうんです。一見、「難しそう」「無理そう」と思うものでも、少しずつ作っていけばしっかり形にすることができる。このケーキを通じて、私はそれを子どもに伝えたいと思っています。

「千里の道も一歩から」ということわざがありますが、その一歩目が一番難しい。なかなか踏み出せません。なぜなら、先行きが果てしなく思えて躊躇してしまうから。そんな時こそ、親は「大丈夫。ゆっくりゆっくり一歩ずつ進めば、必ずたどり着くことができるよ」と、ぽんっと子どもの背中を押してあげて下さい。

私は子どもに、困難に直面した時に「できない」「難しい」「無理だ、もうやーめた!」ではなく、「とりあえずちょっとだけやってみよっかな」と考える習慣を小さい頃から身に付けてほしいと願っています。

最初の一歩は一緒に踏み出そう

料理教室でも難しいメニューに挑戦することがあります。例えば、先日のレッスンでは子どもたちが手打ちパスタに挑戦。しかも、生地を「ファルファッレ」という蝶々の形のパスタに形成するというところまでやりました。

レッスンの最初に、私が「今日はみんながいつも食べているパスタを作ってみよう! ちょっと難しそうに見えるかな?」と問いかけると、皆一様に「うん」と頷き、不安げな表情。どうやら、ファルファッレの可愛い形がどのように作られているのか分からず不安なようです。

当たり前ですよね。一目見ただけだととっても難しそう……子どもだって尻込みしちゃいます。

少しずつ段階を踏んでレッスンを進めていきます。ついに難関と思われていたファルファッレの形成です。生地を長方形に切って、真ん中をつまむと蝶々の形になります。1人ずつ最初の1個を一緒に作ります。するとどうでしょう!

子どもは「なーんだ、簡単じゃん」という具合にすぐに要領を得てサクサク作り出します。一度覚えてしまったら、あっという間に出来上がってしまいました。皆お皿の上にある自分の作品を眺めてとっても満足そうです。難しいと思っていたことも、ゆっくり紐解いていけば意外と簡単だと子どもながらに肌で実感した瞬間です。

子どもたちが作ったファルファッレ

料理教室だから、「挑戦する」という雰囲気が出来上がっていて、皆躊躇せずに一歩を踏み出せました。でも家ではどうでしょう……子どもをその気にさせるのは中々難しいものです。そんな時はぜひ、ママが女優になって下さい(笑)。

「わー、これとっても難しそう! うーん、分からないなぁ。ここから少しずつやってみよう! あれ? できた! 嬉しい!」と、ちょっと大げさに子どもにアピールしていると、横目で様子を伺っていた子どももだんだん羨ましくなってきて、最後には「私もやりたい!」に変わったりします。ここは超お得意様へのプレゼン発表並みに力を入れてみて下さい。

一見難しそうなものでも、ママが「一緒にちょっとずつやってみよう。絶対できるよ」と伝えながら、一歩を踏み出す勇気と、問題を紐解いていく方法を見せていくと、子どもの背中を押してあげることがきっとできるはずですよ。

“失敗”も素敵なデコレーションに早変わり

今回の「ただいま工事中!ケーキ」も、やり方さえ見ればあっという間にできてしまうので大丈夫。ママも安心して取り組めます。ケーキが出来上がった頃には、すっかり見方が変わって「意外と簡単」となることでしょう!

まず、用意するものは全部市販のものでOKです。早速子どもと一緒にこのデコレーションに挑戦してみてください。

用意するもの

  • ココアスポンジ(丸型でもOK) 2個
  • 生クリーム
  • ココア
  • マシュマロ
  • ポッキー
  • チョコチップクッキー
  • パセリ
  • あとは何でもお菓子ならOK

デコレーションの仕方

(1)生クリームにココアを入れて泡だてます。はじめに粉が舞ってしまわないように気をつけて下さい。
(2)市販のスポンジを切って、生クリームを塗ったら土台は完成!
(3)次は、想像力を駆使しながらデコレーションをしていきます。ここが一番楽しいところですので、下記の写真を参考にいろいろ試してみてくださいね。

クッキーを砕いて砂利に見立てる

スポンジの一部をスプーンでくり抜いて、そこにクッキーの砂利をパラパラパラと振りかけていくと、あっという間に土砂崩れ! バリケードは爪楊枝にタコ糸を巻きつけて作る(写真は、和菓子を食べる時などに使う黒文字楊枝を使用)

パセリは木に大変身!

ポッキーは丸太に見立てて置いてみる

お気に入りの働く車(完成写真の車は新品のものを使用)は、ラップを敷いた上に置く

上から見た完成図。マシュマロやクッキーやチョコなど、自由にアレンジして配置

そして、このケーキのデコレーションの最大の魅力は、子どもがうっかりデコレーションに失敗しちゃっても全然大丈夫なところ。

普通のケーキならいかに綺麗にスポンジにクリームを塗れるかという美しさが重要ですが、何せこちらは工事中! ぐちゃっとなっちゃった所は、よしきた!とばかりにクッキーの砂利で土砂崩れにしちゃいえばいいんです。だから子どももママも安心してオリジナル作品を作ることができますよ。

スポンジから手作りしたいという方は、下のレシピもチェックしてみてくださいね。

困難にも挑戦できる強い心を育てたい

私は、子どもにこれから生きていく上で、困難なことにも勇気を持って挑戦できるような強い心を持ってほしいと願っています。一歩を踏み出さなければ、確かに失敗はしないかもしれないけど、以前と状況は何も変わらない。それよりも、意を決して一歩を踏み出してみてほしい。その結果が、たとえ失敗に終わっても、必ず前より大きく成長しているから。

失敗という糧を得ただけで十分。そして、何より一歩を踏み出したということは、千里の道を制覇できる大いなる可能性も出てきます。子どもには、勇気を持って大きな夢に向かって生きて行ってほしい。これは私たち親の願いですね。

そのためにも、日常生活におけるマインドの持ち方を、小さい頃から習慣づけていくことが重要です。当たり前の日常の中にあるお料理は、だからこそ子どもの心を育てる絶好の場だと私は思っています。

今年のバレンタインはぜひ「千里の道も一歩からケーキ!」…ではなくて(笑)、「ただいま工事中!ケーキ」に挑戦して素敵な思い出を作ってください。

*衛生面にご注意の上、調理してください。

武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2歳児から始められる料理教室を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。
【HP】https://little-chef-cooking.com/
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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