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コラム

【サバやマグロも!】赤身魚に潜む「ヒスタミン食中毒」に気をつけよう

アレルギー体質ではないのにじんましんが…?

サバの塩焼きを食べて、じんましんが出た…という話を身近で聞いたことはありませんか? それはきっと「ヒスタミン食中毒」です。サバやイワシ、マグロ、アジ、サンマなど赤身の魚は、筋肉中にヒスチジンというアミノ酸を多く含んでいます。これはカジキやサワラにも多く含まれます。

ヒスチジンは体内では合成されない大切な成分のひとつですが、これが魚の表面やえらなどに付着している細菌が持つ酵素によって分解され、ヒスタミンという化学物質に変わります。
このヒスタミンが、食後数分〜30分くらいで顔面の紅潮、じんましん、頭痛、発熱など、アレルギーのような症状を引き起こします。これがヒスタミン食中毒。

アレルギーの原因となる物質が体内に入り込み、免疫反応としてヒスタミンが発生するアレルギーとは違うため、アレルギー体質でなくても発症する可能性があります。

ヒスタミンは加熱調理しても分解されない!

ヒスチジンをヒスタミンに変える細菌は、凍結中に増殖することはありませんが、死滅はせず、解凍すると増えます。また25〜35℃くらいの温度帯で活発に増殖しますが、10℃ほどの低温で増えるものもあります。冷蔵庫に入れても増殖するということです。

さらに、一度できてしまったヒスタミンは、加熱しても分解されることはありません。煮たり焼いたりしても中毒は起こります。実際、イワシのつみれ汁、カジキのみそ漬け焼きなどからヒスタミンが検出されたケースが報告されています。干物も例外ではありません。
ヒスタミン産生菌が増殖しないうちに調理することが大切です。

少量のヒスタミンでも、子どもにとっては発症に十分な量

実はヒスタミン食中毒は家庭においてはそれほど頻発する食中毒ではありません。ヒスタミンが蓄積しているかどうかは魚の個体差、切り身の部位等によって異なりますので、同時に調理された魚を食べても、症状が出る人、出ない人がいます。

それでもヒスタミン食中毒の多くは保育園や学校の給食などで起こっていることを考えると、小さな子どもたちは少量でも発症する可能性があります。子どもがいる家庭では気をつけるに越したことはありません。

温度管理を徹底して、ヒスタミン食中毒を防ぐ

まず、アジやイワシなど、一尾魚を調理する場合は、ヒスタミン産生菌が多く存在するえらや消化管などは、購入後できるだけ早く除去します。また菌の繁殖を少しでも抑えるため、常温に長時間放置したりすることのないようにしましょう。冷蔵庫に入れたからといって絶対安心というわけではないので、なるべく早く加熱調理します。

すり身、大型魚の切り身や味噌漬け等の冷凍品を解凍する場合は、常温での解凍はNG。必ず冷蔵庫で解凍してください。冷凍、解凍を繰り返すことも厳禁です。

輸送・保管中の温度管理がしっかりした仕入れ先・販売店を選び、鮮度が低下した魚は食べないようにすることも大切です。魚にヒスタミンが蓄積していても、見た目はそうでない魚と変わりません。ただ、口に入れたとき、くちびるや舌にピリピリとした刺激を感じることがあります。その場合は直ちに食べるのをやめてください。

刺身用の魚はしっかり冷蔵管理することができても、加熱用となるとうっかり放置してしまった、ということも考えられます。気温が上がりやすいこの季節、温度管理をきちんとして、魚をおいしく食べたいですね。

監修:公益社団法人日本食品衛生協会

飲食物が原因となって起こる食中毒などの健康被害を防止し、消費者の健康を守るため、食品等事業者に正しい食品衛生の知識を広めることを目的として、地域の保健所や食品製造業や飲食店等の人々と協力し、 食の安全を守るための活動を行っています。
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