料理家・小田真規子さんが明かす!絶品「小鍋レシピ」を作る3つの調理テクニック【小鍋生活のススメ Vol.1】

料理家・小田真規子さんが明かす!絶品「小鍋レシピ」を作る3つの調理テクニック【小鍋生活のススメ Vol.1】

NHK『きょうの料理』や『あさイチ』の料理コーナーでもおなじみの料理家・小田真規子さん。多くのレシピ本を出版されていますが、中でも人気を集めているのが『まいにち小鍋』(ダイヤモンド社)シリーズです。2019年9月には、シリーズ最新刊『まいにち湯豆腐』を発売し、365日食べても飽きない1〜2人前の小鍋レシピを数多くご紹介しています。本連載では、簡単においしくヘルシーな食卓を実現できる「小鍋生活」を、小田先生が直々にレクチャー。連載第1回目は、小鍋レシピに詰まった“料理の奥深さ”を明かします!

鍋は飽きるが「小鍋」は飽きない!

――小田先生はこれまで、作りやすく、健康に配慮した、おいしい家庭料理を数多くご提案されています。中でも、「小鍋レシピ」にフォーカスした『まいにち小鍋』(ダイヤモンド社)を執筆しようと思い立たれた理由は何だったのでしょうか?

家庭料理において、手軽においしい食事を取るための1つの手段として「つくりおき」はすっかり定着してきましたよね。私自身も、つくりおきのレシピ本を10年以上前から数々手掛けてきました。

ただ、つくりおきをしておいしく食べられるレシピを考案していく中、どこかで常に「やっぱりつくりたてのおいしさには勝てない」という思いもあって。冷蔵庫から取り出して食べるよりも、湯気が出てるできたてのお料理のほうが、やはり食べる喜びって大きいじゃないですか(笑)。

手軽でおいしく、かつできたてを楽しめるお料理って何だろうと考えた時、「小鍋レシピ」なら両立できるんじゃないかしらと思い至ったんです。

――確かに! 小鍋レシピなら、事前に具材を切ってスープを用意しておけば、食べる直前に火にかけるだけで、すぐにつくりたてをいただくことができます。ただ、ご著書の『まいにち小鍋』に付いていた「365日食べても飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集」というキャッチコピーが気になりました。お鍋って、味付けを変えたとしても、どうしても味に飽きてしまう印象があるのですが……。

そうですよね。大人数で囲む普通のお鍋なら、その通りです。水炊き、味噌鍋、キムチ鍋と味付けを変えたとしても、やっぱり飽きが来る。なぜかわかりますか? 理由は、たくさんの具材を入れているからなんです。

通常の大きな鍋で作る鍋料理ですと、白菜やネギ、春菊などの葉物野菜に、大根や人参などの根菜、きのこや白滝、それから魚介類や肉類と、さまざまな具材を入れますよね。いろんなものを入れると、それぞれの食材から出汁が出て、相乗効果でどんどんおいしくなる。そんなふうに思っている方が多いのではないでしょうか。

でも実は、いろんな具材を入れれば入れるほど、それぞれの素材が持つ本来の味が立たなくなり、相乗効果どころか逆に味が均一化されて、いわゆる「お鍋の味」になってしまうんです。スープの味付けを変えたとしても、だいたい5種類以上の具材が入ってくると、どのお鍋も似たような味になっていきます。そのせいで、鍋料理は頻繁に食べると飽きてしまうのだと思います。

その点、小鍋は容量が小さいだけに、入れる具材の数が必然的に限られてきます。『まいにち小鍋』でご紹介しているレシピも、使っている具材はどれも概ね3〜4点ほど。きちんとそれぞれの素材の味が引き出せるように設計してあります。一つひとつすべて違う味が楽しめるレシピばかりだから、「365日食べても飽きない」んですよ。

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飽きないおいしさを作る3つのコツ

――相乗効果……まさにそう思ってお鍋にはたくさんの具材を入れていました。素材を絞り込んでいることが、小鍋料理の最大の特徴でもあるんですね。さらに小鍋をおいしく仕上げるためのコツはありますか?

コツはずばり、レシピに忠実に作ること(笑)。小鍋は材料も少なく、いたってシンプルなお料理です。でも、だからこそ素材が持っている味を最大限引き出すための工夫が、レシピの工程一つひとつに込められています。

例えば、スープや具材を加熱していく順番。これも素材の味を引き出し、どう重ねていくと一番おいしい味に仕上がるかを考慮した上で、鍋に具材を投入する順序やタイミングを記載しています。お鍋というと具材を小さく切って入れて一斉に煮ることも多いかもしれませんが、本当はこの加熱の順番も大事なんですよ。

ですから、工程通りに調理を進めていただくことを前提として、さらに「レシピに記載された以外の具材を足さない」「具材の切り方は指示通りに」「市販の顆粒だしなどは使わない」、この3つを守っていただければと思います。

余っているからと具材を必要以上に入れてしまいがちですが、前述した通り、味が一辺倒になってしまいます。また、切り方にもすべて意味があります。そぎ切りなのか角切りなのか、5cm幅なのか3cm角なのかによって、素材の味の出方やスープの味しみ、食感が全く変わってくるのです。

――素材を鍋に入れる順番や切り方で、料理の味って変わるんですね…! 単に食べやすい大きさや形に切ればいいと思っていました。

普段あまり意識されていないかもしれませんが、料理は食材を切るところから始まっています。

素材が持つ味を最大限引き出すには、最適な切り方を選ぶことが大事。切る工程を疎かにするのは、料理をおいしく作るための大事な工程を1つスキップしてしまうのと同じことなんです。調理中、何だか味が決まらず、ついいろんな調味料を足しすぎてしまうことってありませんか? 切り方にちょっと気をつけてみると、案外変わってきますよ。

具材の量や切り方に配慮し、素材が持っている味を最大限に引き出すことができれば、わざわざ出汁をひかずともスープには十分旨みが出ます。市販の顆粒だしなど、余分な調味料を足す必要はありません。

そもそも昆布や鰹節で出汁をひくって、手間もお金もかかる贅沢なものですよね。昔から料亭などでプロの料理人たちが使っていたワザであって、もともと庶民の味ではありません。煮物や鍋物など、日本料理は出汁を取ってこそというイメージがありますが、そればかりを通していては、家庭で料理をする人がいなくなってしまいます(笑)。

素材の味をちゃんと引き出し、そして「塩」をうまく使えるようになると、料理はもっとおいしく簡単に作れるようになるんですよ。

――「塩」ですか? 確かに『まいにち小鍋』のレシピには、塩をベースにしたスープを使っているものが多くありました。

醤油や味噌は、香りも酸味も旨みもあって、種類も豊富。それぞれの家庭で使っているものも違い、味わいも違います。また、加熱すると、水分の中で味も香りも変化していくもの。味噌は最初は華々しいけれど、時間が経つと味が枯れていきます。お味噌汁のつくりたてと、しばらく時間が経った後とでは、味も香りも違いますよね。

対して、塩は余計な香りがなく、味も安定しています。どこの家庭でも、塩はだいたい同じ味ですよね。加熱後の味の変化もあまりありません。ですから、塩をベースにするとレシピ通りの味が再現しやすいですし、作った後も味がくたびれないのです。

醤油も味噌もそのままでおいしく食べられる、味の整った調味料ですから、使う時に不安がないし、これさえ使えば料理の味は何とかなると思いがち。でも、使いすぎると毎日の料理に飽きてしまいます。

塩で好みの味付けができるようになると、いつも作っている肉じゃがなどの定番料理も味わいがぐっと変わります。醤油や味噌に頼りすぎず、塩も活用して料理の幅を広げていけるといいですよね。

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多様なライフスタイルにマッチする小鍋生活

――小鍋レシピは、シンプルで簡単な料理だから失敗がないのかと思っていましたが、実は料理をおいしく仕上げるテクニックが満載だから成功率が高いんですね。

そうそう。実は奥深い料理なんです(笑)。

これまで私が出版してきたレシピ本は、主に普段からお料理をしている女性購読者の方が多かったんですが、『まいにち小鍋』の読者層は男女半々くらい。小鍋レシピは手軽でヘルシー、かつ1〜2名分の料理という特性上、料理初心者の方はもちろん、単身世帯の方、夫婦共働き世帯やお子さんが大きくなられたご家庭で家族の食事時間が合わないという方、高齢者の方など、さまざまなライフスタイルの方が手に取ってくださっています。

特に年配の男性で料理初心者の方は、真面目な方が多く、レシピに忠実に再現してくださるんですよね。料理慣れしていない分、最初から自分なりのアレンジを加えたりしないので失敗もなく、成功体験が積みやすいんです。

――初めて作った料理がおいしいと、また作りたくなりますよね。若い方や調理技術がないという方にとっても、小鍋レシピは料理の楽しみを知る良い機会になりそうです。

そうですね。読者の方に「小鍋が料理をするきっかけになった」と言ってもらえたことがあって、それはとても嬉しかったです。

基本的に鍋ものって成功体験が積みやすい料理なんですよ。例えば炒めものは、ご家庭によってフライパンのサイズや素材、油の種類もいろいろですし、レシピ通りに作っても温度が上がりすぎてしまったり、仕上がりにバラつきが出やすい。でも、鍋ものはお湯で調理するから温度が100度以上になることはないし、スープで煮るので味も均一に伝わりやすいですよね。特に小鍋の場合は、どのメーカーのものでもだいたいサイズは大きく変わりません。不確定要素が少ないので、再現性が高いんです。

料理を作り慣れている方も、ぜひ一度騙されたと思ってレシピ通りに作ってみていただけたらと思います(笑)。

――『まいにち小鍋』のシリーズ最新刊は『まいにち湯豆腐』ですが、「湯豆腐」といっても70種類ものバリエーションがあって驚きました。ポン酢に付けて食べる定番スタイルだけではなく、スープごと楽しめる豆腐を使った小鍋レシピがたくさん紹介されていますね。

2016年に『まいにち小鍋』を出版した後、おかげさまで多くの方に手に取っていただき、たくさんのご意見・ご感想をいただくことができました。その中で多かったのが、「豆腐を使った小鍋料理をもっと教えてほしい」というリクエストだったのです。

豆腐はどのご家庭でもよく使われていますし、満腹感を得られるのにカロリーも糖質も少ないヘルシーな食材。健康に配慮した食卓作りにぴったりですよね。さらに、今回レシピを考案する中で、私自身も改めて豆腐の魅力に気付かされました。素直な食材だから、いろんなバリエーションで楽しむことができるんです。

まず、豆腐はどんな食材や調味料と組み合わせてもおいしい。ニラやセロリなど、個性の強い野菜も受け入れて寄り添ってくれます。また、味が入りにくい食材と思われがちですが、お鍋だと食べ始めは味が入ってない状態、途中でこなれて、最後は味が染み込んだ状態と、3段階の味わいを楽しめるのも魅力です。ちぎっても良いですし、切るのも楽で、扱いやすいのも嬉しいポイントですよね。

『まいにち湯豆腐』のレシピは、豆腐一丁を使い切れるように設計しました。また、特別なこだわりの豆腐でなくても、値段の安い普通の豆腐で十分おいしくできます。やさしい味だけではなく、こってり味やエスニック風など、豆腐のいろんな顔を楽しめるレシピを用意しましたので、豆腐料理の新たな定番を見つけていただけるのではないでしょうか。

次回、連載第2回からは、『まいにち小鍋』『まいにち湯豆腐』の中から特にオススメの小鍋レシピをご紹介したいと思います。ぜひ皆さんの毎日の食卓に、小鍋料理を取り入れていただけたらと思います。


小田真規子先生の『まいにち小鍋』シリーズ

まいにち小鍋―毎日おいしい10分レシピ―』(ダイヤモンド社)

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小田 真規子さん

1e6550c5f1dba74678a77b7322e9e19d 料理家・栄養士・フードディレクター。女子栄養大学短期大学部卒業後、料理家のアシスタントを経て、有限会社スタジオナッツを設立。誰もが作りやすく、健康に配慮した、簡単でおいしい家庭料理をテーマに、『オレンジページ』『ESSE』などの生活雑誌や企業PR誌にオリジナルレシピを発表。家電、食品、調味料メーカーのメニュー開発、国内各地の産地・加工品の商品開発などもサポートしている。分かりやすいレシピが好評で、NHK『きょうの料理』『あさイチ』の料理コーナーに定期出演。『まいにち小鍋』『なんでも小鍋』『おつまみが晩ごはん!』(ダイヤモンド社)、『料理のきほん練習帳』(高橋書店)、『とにかく盛り上がる夜ごはん』(文響社)など著書多数。
【Instagram】パプリカマキコ

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