世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さん。2020年12月18日に青幻舎から岡根谷さんの初の著書『世界の台所探検 料理から暮らしと社会がみえる』が発売されたのにあわせて、全3回でおすすめのエピソードとレシピを厳選してお届けします。
海外旅行に出かけられるようになるにはまだ少し時間がかかりそうですが、どうにかおうちで気分転換したい!という方も多いのではないでしょうか? そんなときは世界の料理にチャレンジしてみるのがおすすめです。でも材料がたくさん必要だったり手に入りづらかったりして作るのが大変そう...そんなイメージを持っていませんか? 今回紹介したいのは、そんなイメージを覆すような、スーパーで買えるたった2つの材料で作れる、やみつきスイーツです。
カリブ海に浮かぶ島キューバで教わったのは、「フラン(flan)」というデザートです。
フランは現地語(スペイン語)でプリンという意味。ミルキーで濃厚なプリンです。キューバでは、私たちの想像するカスタードプリンに近いのは「フラン」と呼ばれ、パンやレーズンが入ったかためのものが「プリン(pudin)」と呼ばれます。プリンという言葉は、卵と牛乳の液にいろいろ入れて湯煎して固めたものを意味し、甘いだけでなく食事系のものも含まれるのだそうです。
材料はたったこれだけ。ふつう日本でプリンを作るときは、牛乳・卵・砂糖などを用意しますが、キューバのフランは練乳を使うのが特徴です。練乳には牛乳と砂糖が含まれるので、一人二役果たします。
練乳を使うのは、キューバの物資供給が不安定で、冷蔵品である生乳が安定的に手に入りにくいから。そんな環境の中で生まれた知恵のレシピなのですが、少ない材料でいつでもつくれるのはうれしいですね。
卵...1個
練乳チューブ...1本(約120g)
1. ボウルに卵を割り入れる。ざるで2回漉し、なめらかな卵液にする。
2. 練乳を加え、泡立て器でまぜて均一にし、ココットに注ぐ。
3. 天板に2をのせ、深さ2cmのお湯を張り、150度のオーブン(予熱なし)で30〜40分焼く。フライパンに布巾を敷き、沸騰させない弱火で湯煎するでも可。
練乳のチューブをまるまる1本絞り出すと、「え、甘すぎないの?」とどきどきしますが、これが意外と甘すぎず、ベイクドチーズケーキのようなミルキーで濃厚スイーツになるのです。
記事の写真のように、カラメルソースをかけたい場合は、水と砂糖で作れます。クックパッドでレシピを探してみてくださいね!
今回ご紹介したキューバの「フラン」のように、世界各地の家庭で親しまれている料理の中には、日本でも手に入りやすい、馴染みの食材で作れたりします。
いつもの食材で、いつもと違う世界の料理をにチャレンジして、お家にいながら世界旅行を楽しんでみてくださいね!
読んで、作って、食べて、世界の暮らしをめぐる旅に出かけてみませんか?
”食から世界を旅する”本が、先月発売されました!
「世界の台所探検家」として世界各地の台所をめぐっている岡根谷実里さんが、現地の人と一緒に料理や食事をして体験した、リアルな暮らしと文化のストーリーをたくさんの写真と共に紹介。コラムでは、台所を飛び出して、市場や調理道具、その地域ならではの食習慣も味わえます。
観光ガイドブックとは違う、その国に住む“普通の人々の暮らし"を、現地家庭で教わった料理レシピ13品とともに、体験してみませんか?
台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。
公式ブログはこちら>>