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コラム

日本で作られているのは300種類以上!?食べ比べてみたい「お米の品種」

【お米ライターのコメバナシvol.5】私たちにとってお米はあって当たり前の存在ですが、実は意外と知らないことだらけ。そこで、巷でよく耳にするお米に関する「疑問」や気になる「噂」をお米ライター柏木智帆が検証します。おいしい白飯や米料理さえあれば食卓は豊かになる!をモットーにお米のおいしさを追究していきます。

品種名でレッテル貼りしてはもったいない

いま日本で作られている「うるち米」は約300品種あります。うるち米は私たちが日頃食べているお米のことです。酒米や糯米(もち米)も合わせると、約480品種もあります(農産物規格規定参考)。

その中でも作られている田んぼの面積が最も大きいのは、「コシヒカリ」。2位は「ひとめぼれ」。3位以降は順番に「ヒノヒカリ」「あきたこまち」「ななつぼし」「はえぬき」「まっしぐら」「キヌヒカリ」「あさひの夢」「ゆめぴりか」となっています。

では「あなたがおいしいと思う品種はどれ?」と質問されたら、何と答えるでしょうか。

「秋田県民だから『あきたこまち』が一番」
「やっぱり南魚沼の『コシヒカリ』」
「『ゆめぴりか』はもっちりしていておいしい」

たしかに、おいしい「あきたこまち」「コシヒカリ」「ゆめぴりか」もあります。でも、「あきたこまち」や「コシヒカリ」や「ゆめぴりか」ならばどの米もおいしいかと言うと、そうではありません。お米の味わいは品種だけで決まるわけではなく、地域×品種だけで決まるわけでもなく、生産者ごとに味が違うからです。同じ生産者でも年によっても違いますし、さらに言うと田んぼによっても違います。

特に「コシヒカリ」は、北は東北、南は九州まで各地で作られている稀な品種なので、同じ「コシヒカリ」とは思えないほど多様な味わいが出やすいように感じています。

そういう意味では、おいしいイメージがない品種だって、お米によってはおいしいのです。最近では多収穫のいわゆる「業務用米」の品種でも、栽培方法によってはとってもおいしいです。「コシヒカリ=おいしい」「業務用米=おいしくない」といった先入観は捨てて、まっさらな気持ちでお米と向き合うと、新しいおいしさに出会えるかもしれません

自分の“ベロメーター”を信じる

品種だけでお米の味は語れないということを大前提に、ここ10年以内に登場した品種、かつ都道府県オリジナル品種のほんの一部をご紹介します。

ゆめぴりか(北海道)

2011年デビュー。いわゆる「低アミロース米」。お米のデンプンにはアミロースとアミロペクチンがあり、アミロースの割合が低くてアミロペクチンの割合が高いと、やわらかくて粘りが強くもっちりとしたお米になります(それだけではなく、近年ではアミロペクチンの形状によっても粘りの強さが違うということも分かっているそうです)。品種特性としては、「甘い香りと強い粘り」「やわらかさとしっかりとした食感を併せ持つ餅のようなお米」「豊かな甘みで濃い味わい」などと言われています。

私が食べた蘭越町の生産者の「ゆめぴりか」は、ごはん粒の表面が非常になめらかで、しっとりとしてもちもちとした弾力がありながらも、低アミロース米にしては重たすぎない食感でした。餅のような香りが気になりますが、甘さが感じられて味が濃いので、白飯でそのまま食べるのが一番だと感じました

青天の霹靂(青森県)

2015年デビュー。「粒は大きめでしっかり」「粘りとキレのバランス、上品な甘み」「さっぱりしているが甘さと旨みがあとをひく」「どんなおかずとも相性がいい」「食べ応えがあるのに重すぎない」などと言われています。

私が食べた青森市の生産者の「青天の霹靂」は、しっとりとして粒立ちが良い一方で、粘りが弱くて弾力が少なく、「食べ応えがある」とは思いませんでした。ごはんを飲み込んだ後に甘さの余韻がありました。重たいわけでもあっさりしすぎているわけでもないので、たしかに、いろいろなおかずと相性が良さそうです

実りつくし(福岡県)

2015年デビュー。「外観、味が良好」などと言われています。食味についての言及が少ないのは、たくさん収穫できる「中食・外食向け」だからかもしれません。先ほどご紹介した、いわゆる「業務米」です。

私が食べた宮若市の生産者の「実りつくし」は、業務向け品種も栽培方法によっては非常においしいということを証明するお米でした。甘くて香ばしい香りで、ツヤが良く、なめらかな舌触り。そして、程よい粘りとしっかりとした弾力があり、粒立ちが良く、咀嚼すると旨みが感じられ、後味は甘い。あらゆるおかずの他、おむすびや弁当にも合いそうです。「おいしい業務向け品種は万能かもしれない!」と改めて感じました。

新之助(新潟県)

2017年デビュー。「大粒でツヤがあり、豊潤な甘みとコク、しっかりとした粘りと弾力」「比較的硬めでありながら、しっかりとした粒感と強い粘りがある」「一粒一粒がしっかりしていて、ほどよい粒感とほぐれ感があり、冷めてもおいしさと甘みが持続」などと言われています。

私が食べた妙高市の生産者の「新之助」は、ツヤがあり、炊きたての米粒の表面はなめらかで、程よい粘りがありました。炊きたてはやわらかく、冷めると粒がしっかりと感じられますが、いずれも弾力は少なく感じました。咀嚼中よりも飲み込んでから口の中に甘さが広がりました。個人的には冷めてからのほうが好みなので、おむすびやお弁当で楽しみたいお米です。

雪若丸(山形県)

2019年デビュー。「しっかりとした粒感と適度な粘り」「雪のように際立つ白さ」「つやのある外観」「あっさり上品な味わい」などと言われています。

私が食べた長井市の生産者の「雪若丸」は、粘りが少なくしっかりとした粒感であっさりとした印象ですが、ただ淡白なわけではなく旨みがありました。軽やかな食感で粒離れが良いので納豆ごはんやたまごかけごはんにも合います。炒飯も比較的作りやすいと思います。

ちなみに、お肉と同じようにお米にもランキングが存在し、「特A」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

一般財団法人「日本穀物検定協会」が全国の代表的な産地品種の食味試験を行い、収穫翌年の2月に発表している「米の食味ランキング」です。基準米よりも特に良好な米は「特A」、良好な米を「A」、おおむね同等の米を「A’」、やや劣る米を「B」、劣る米を「B’」とランク分けしています。

「特A」と聞くとおいしそうに感じますが、穀物検定協会がホームページに「供試試料を食味試験した結果に基づいて評価するものであり、流通するすべてのお米を評価しているものではありません」と但し書きしているように、このランキングは、あくまで大まかな傾向をつかめるかもしれないだけのものです。

つまり、「特A」と書かれたお米はそのお米が「特A」なのではなく、同じ地域の誰かのお米が「特A」だったということ。「特A」だからといってその地域のその品種がどれも抜群においしいわけでもなければ、「A」や「A’」だからといっておいしくないわけでもありません。

誤解を招かないように書き添えると、「米の食味ランキング」そのものを否定しているわけではありません。ただ、結果はあくまで参考程度として受け止めるにとどめ、自分でいろいろな米を炊いて食べてみて、自分の“ベロメーター”に合った米を見つけたほうが、きっと“ごはんライフ”は楽しくなります

柏木智帆

お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。
【ブログ】柏木智帆のお米ときどきなんちゃら
【クックパッド】柏木智帆のキッチン

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